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【事例でわかる】CPM分析の基本と応用方法を徹底解説

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顧客分析の手法に「CPM分析」というものがあります。施策立案に必要な顧客の分類を簡単に行なうことができるフレームワークであり、マーケティングに関わるならぜひとも覚えておきたい考え方です。

今回は、CPM分析の概要や具体的な分析方法、例題をご紹介します。

CPM分析とは、顧客を属性ごとに分類して行なう分析のこと

CPM(Customer Portfolio Management)分析とは、顧客情報を10個のまとまりに分類し、「優良顧客を育成するためには、どの顧客にどのようなアプローチを行なうべきか」を考える顧客分析の手法です。

CPMでは顧客は「離脱状況」「取引期間」「購入回数」「購入頻度」「購入金額」によって、以下のように分類されます。

CPM分析 10の顧客分類

  • 初回現役客 / 離脱客
    • 期間内に初回購入を行なっている顧客。
      最終購入日から一定期間が経過すると「離脱」として扱う(以下同様)。
  • よちよち現役客 / 離脱客
    • 期間内に2回以上の購入を行なっている顧客。
  • コツコツ現役客 / 離脱客
    • 期間内に安定してリピート購入を行なっている顧客。
  • 流行現役客  / 離脱客
    • 短期間に一定金額以上の購入を行なっている顧客。
  • 優良現役客 / 離脱客
    • 長期間に一定金額以上の購入を行なっている顧客。

期間や金額、頻度などの分類定義は固定的なものではありません。自社の特性に合わせて抜け・漏れがないように設定しましょう。

顧客の中長期的な育成にはCPM分析が最適

一般的に企業の売上のほとんどは、優良な既存顧客が作り出していると言われています。そのため、マーケティングの大きな目標は「強い既存優良顧客の地盤を作り出すこと」「優良顧客に集中してアプローチを行なえる状態を作ること」になります。

この目標達成に役立つのがCPM分析です。CPM分析によって「一時的な取引にとどまっている顧客はどんな行動をしているのか」を客観的に把握し、顧客行動から「いかにして優良な顧客に育成するか」を考える事ができます。

CPM分析の実践方法を3ステップで解説

1. 顧客の分類定義を作成

CPM分析を行なうには、まず各分類の定義を作成する必要があります。「初回 / よちよち / こつこつ / 流行 / 優良」の分類定義と、「現役 / 離脱」の分類定義をそれぞれ作成して、掛け合わせることで全体の分類方法を定めましょう。

■5類型(初回 / よちよち / こつこつ / 流行 / 優良)の分類例

初回 過去1年間に1回だけ購入を行なっている
よちよち 過去1年間に2回以上の購入を行なっているが、
購入スパンに平均1ヶ月以上のばらつきがある。
加えて、流行・優良顧客の定義にあてはまらない。
こつこつ 過去1年間に2回以上の購入を行なっており、
購入スパンのばらつきが平均1ヶ月未満。
加えて、流行・優良顧客の定義にあてはまらない。
流行 3ヶ月以内に5万円以上の購入を行なっている。
優良 過去1年間で、10万円以上の購入を行なっている。

■2類型(現役 / 離脱)の分類例

現役 最終購入日から150日以上が経過している。
離脱 最終購入日からの経過日数が150日未満。

2. 顧客データの収集・分類・分析

分類の定義が作成できたら、指定した期間の顧客情報を集めて、集計しましょう。

近年では、CRMソフトを導入し、全社で一括した顧客情報管理を行なっている企業が多数あります。CPM分析においては、その情報が大いに役立つでしょう。

一方で、顧客情報が部署や個人でバラバラに管理されている状態の企業も少なくありません。CPMなどの分析を行なう際に多大な労力がかかってしまい、マーケティング施策の起案・改善ができなくなってしまうため、ぜひCRMソフトを活用した顧客情報の一括管理を検討しましょう。

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また、Excelを使用した分析では、大きなデータを扱いづらいという問題があります。データを活用したマーケティングに取り組んでいく計画のある企業では、分析用のソフトウェア(BIツール)の使用を検討すると良いでしょう。

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3. 表に分析結果を記入し、施策を検討

データが集まったらCPM分析の10類型ごとに顧客を分類し、その数を比較分析します。加えて、分析結果をもとに「集中して育成すべき顧客」の特定、および「いかにして優良顧客に育てるか」の戦略・施策の考案を行ないます。

この際に注意すべきなのは「顧客は段階を踏んでしか育成できない」ということです。「よちよち顧客」がいきなり「優良顧客」になる、というようなことは基本ないと考えましょう。

例えば、長期にわたり「よちよち顧客」がボリュームゾーンになっている場合、まずは「どうすれば安定して定期購入してもらえる(『こつこつ顧客』になる)のか?」を考えるところから始めましょう。

CPM分析のケース問題で理解を確認

A社、B社、C社の顧客を分析したところ、以下の図のような傾向が見られました。それぞれの会社で、どんな短期・長期のマーケティング施策を実行していけばよいでしょうか?なお、ここ1年間でこの分析結果に大きな変動は生じていないものとします。

商材やエリアなど、その他の仮定は自由に設定して考えてみてください。条件を変えると答えも変わってくるはずです。また、経時の数値変動があることを仮定してみても良いでしょう。

まとめ

いかがでしたか?

CPM分析は顧客に関する詳細な洞察をもたらしてくれる分析手法です。この記事を参考に、貴社のマーケティング施策の起案・改善に役立ててみてください。

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