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営業活動におけるKPIとは|指標の例と設定時のメリットも紹介
営業活動において、目標達成に向けて適切な指標を設定し、進捗を管理することは非常に重要です。
その中でもKPIは、営業パフォーマンスを評価し、改善につなげるための重要な指標として注目されています。
今回は、営業活動で使用するKPIとはどのようなものなのか、設定のメリットやポイントなどと合わせて紹介します。
KPIとは、最終目標に向けた「中間の目標」
KPIとは「Key Performance Indicator」の頭文字を取った言葉で、「重要業績評価指標」と訳されます。目標を達成するためのプロセスの状況・達成度合いを示し、事業の成功を測る上で重要な指標です。
営業活動においては、売上目標の達成に向けて、様々な指標を用いてパフォーマンスを評価し、改善につなげていくことが求められます。
例えば、営業活動の中で「来月の売上を500万円にするために、成約率を10%上げよう」という目標が設定された場合、KPIは「成約率を10%上げる」という部分が該当します。「来月の売り上げを500万円にする」という最終目標の達成に向かって、中間の目標である「成約率を10%上げる」というKPIが設定されるイメージです。
KPIとKGIの違い
KPIを設定する際には、KGIとの違いを理解することが重要です。KGIは「Key Goal Indicator」の略称であり、「経営目標達成指標」と訳されます。
先ほどの「来月の売上を500万円にするために、成約率を10%上げよう」という例に当てはめると、KGIは「来月の売上を500万円にする」という部分が該当します。以下の図のように、KGIを達成するために様々なKPIを設定し、ひとつずつ達成していくのが一般的です。
主な営業KPIの指標例
営業活動の中で設定されるKPIの指標には、主に以下のようなものがあります。自社の目標や課題に合ったKPIを設定しましょう。
- リード件数
リード件数は、広告やマーケティング活動で獲得した見込み客の案件数を指します。営業活動の努力とは直接関係ないことに注意しましょう。 - 訪問件数
訪問件数は、成約を見込める顧客への実際の訪問数であり、営業活動の進捗を日々確認する指標です。 - 成約率
成約率は、アプローチを行い成約できた案件の割合を示し、効率的に売上を伸ばすために重要です。 - 平均顧客単価
平均顧客単価をKPIに設定することで、顧客数が同じでも売上を伸ばせます。 - 継続率
継続率は、特にサブスクリプション型のビジネスサービスにおいて重要であり、解約される原因を明確にする必要があります。
営業KPIを設定するメリット
営業活動を可視化できる
営業KPIを設定することで、営業活動の進捗状況や成果を可視化することができます。これにより、営業チームのパフォーマンスを定量的に把握し、課題を早期に発見することが可能になります。
また、営業KPIを用いてPDCAサイクルを実践することで、継続的な改善活動を行うことができます。具体的には、KPIの目標値を設定し(Plan)、営業活動を実行し(Do)、定期的にKPIの達成状況を確認し(Check)、必要な改善策を講じる(Act)といったサイクルを回すことで、営業活動の最適化を図りましょう。
営業効率の向上が図れる
営業KPIを設定し、適切に運用することで、営業活動の効率化を図ることができます。例えば、新規顧客獲得数や商談成約率といったKPIを設定し、重点的に取り組むべき活動を明確にすることで、限られたリソースを効果的に配分することが可能になります。
また、営業KPIを営業チーム全体で共有することで、メンバー間で目標を共有し、一丸となって目標達成に向けて取り組むことができます。これにより、チームワークの向上やベストプラクティスの共有が促進され、営業チーム全体のパフォーマンス向上につながります。
営業担当者のモチベーション向上につながる
営業KPIを設定することで、営業担当者のモチベーション向上にもつながります。明確な目標を持つことで、営業担当者は自身の成長や進捗状況を実感しやすくなります。また、KPIの達成状況に応じてインセンティブを設定することで、より高い目標達成意欲を引き出すことができます。
さらに、営業KPIを用いて公平な評価を行うことで、営業担当者のモチベーションを維持することができます。業績だけでなく、プロセスにおける貢献度なども評価の対象とすれば、営業担当者の努力を適切に認識し、評価することが可能になります。
営業KPIの設定方法
営業KPIを効果的に活用するためには、適切な設定方法を理解することが重要です。ここでは、営業KPIを設定する際の主なステップについて解説します。
1. KGIの明確化
営業KPIを設定する前に、まずはKGI(最終目標)を明確にする必要があります。KGIは、営業活動の最終的な目標を表す指標であり、売上高や利益率などが該当します。
KGIを設定する際は、自社の事業戦略や経営方針を踏まえ、達成すべき目標を具体的に設定することが重要です。また、目標の達成時期や目標値についても明確に定めておく必要があります。
2. 営業プロセスの細分化と重要指標の選定
次に、営業プロセスを細分化し、各プロセスにおける重要指標を選定します。営業プロセスは、リード獲得、商談、成約、フォローアップなど、複数のステップで構成されます。
各プロセスにおいてKGIの達成に関連する重要な指標を特定し、KPIとして設定します。例えば、リード獲得プロセスでは「新規リード獲得数」、商談プロセスでは「商談成約率」などが重要な指標となります。
3. SMARTの原則に基づいた数値目標の設定
KPIを設定する際は、SMARTの原則に基づいて数値目標を設定しましょう。SMARTとは、以下の5つの要素を満たす目標設定の原則です。
- Specific(具体的):明確で具体的な目標を設定する
- Measurable(測定可能):数値化して測定できる目標を設定する
- Achievable(達成可能):現実的に達成可能な目標を設定する
- Relevant(関連性):組織の目標や戦略と関連性のある目標を設定する
- Time-bound(期限設定):目標達成の期限を設定する
これらの原則に基づいて営業KPIの数値目標を設定することで、より効果的にKPIを運用することができます。
4. 運用上の課題と対策の検討
営業KPIを設定したら、実際に運用する上での課題や対策について事前に検討しておくことが重要です。例えば、データの収集方法や集計作業の効率化、KPIの達成状況の共有方法など、運用面での課題を洗い出して対策を立てておく必要があります。
また、KPIが未達の場合の対応策についても事前に検討しておくことが望ましいでしょう。未達要因の分析方法や改善施策の立案プロセスなどを明確にしておくことで、迅速かつ効果的にKPIの達成状況を改善することができます。
営業KPIの設定と管理のポイント
重要度の高い指標に絞り込む
営業KPIを設定する際は、重要度の高い指標に絞り込むことが重要です。KPIを多く設定しすぎると、管理の負荷が増大し、かえって効果的な運用ができなくなるおそれがあります。
また、選定した指標が営業チームでコントロール可能であるかを確認することも重要です。営業チームの努力で改善可能な指標を選定することで、KPIの達成に向けた取り組みが促進されます。
分数KPIの分母は定数化する
商談成約率や顧客満足度など、分数で表されるKPIを設定する場合は、分母を定数化することが望ましいでしょう。分母が変動するとKPIの値が変動してしまい、適切な評価ができなくなるおそれがあります。
例えば、商談成約率の場合、分母を「商談数」ではなく「目標商談数」とすることで定数化が可能です。これにより、商談数の増減に影響されずに、成約率の改善に注力することができます。
ツールやスプレッドシートを活用してデータ管理する
営業KPIの運用において、データの収集や集計は欠かせません。効率的にデータを管理するために、営業支援ツールやスプレッドシートを活用することが有効です。
営業支援ツールを用いることで、商談の進捗状況や成約状況などのデータを自動的に収集・集計することができます。また、スプレッドシートを用いて、KPIの達成状況を可視化することで、進捗管理がしやすくなります。
定期的なモニタリングを行う
営業KPIの運用において、定期的なモニタリングは欠かせません。週次や月次など、一定の期間ごとにKPIの達成状況を確認し、問題点の把握や改善策の立案を行う必要があります。
また、外部の視点を取り入れることで、KPIの設定や運用における改善点を発見しやすくなります。他社の事例を参考にしたり、営業コンサルタントなどの専門家からアドバイスを得たりすることで、より効果的なKPIの運用が可能になります。
業界・業種別の営業KPIの例
営業KPIは、業界や業種によって異なるため、自社の事業特性を踏まえて設定する必要があります。ここでは、いくつかの業界・業種における営業KPIの例を紹介します。
不動産業界での媒介契約・物件案内数
不動産業界では、媒介契約数や物件案内数が重要な営業KPIです。これらのKPIを高めることで、成約件数の増加や収益の拡大につなげることができます。
媒介契約数を増やすためには、効果的な広告手法の選択や、顧客ニーズに合った物件情報の提供が重要でしょう。また、物件案内数を増やすためには、顧客との信頼関係の構築や、適切なフォローアップが欠かせません。
小売業界におけるアップセル・クロスセル率
小売業界では、アップセルやクロスセルによる収益拡大が重要な戦略となります。そのため、アップセル率やクロスセル率を営業KPIとして設定し、管理することが有効です。
アップセル率を高めるためには、顧客ニーズの的確な把握と、付加価値の高い商品・サービスの提案が重要です。また、クロスセル率を高めるためには、関連商品の提案力向上や、店舗レイアウトの工夫などが求められるでしょう。
SaaS企業における解約・更新率
SaaS企業では、解約率と更新率が重要な営業KPIとなります。解約率を低く抑え、更新率を高めることが、安定した収益の確保につながります。
解約率を改善するためには、顧客満足度の向上や、製品・サービスの価値訴求が重要です。また、更新率を高めるためには、顧客との継続的なコミュニケーションや、アップセルやクロスセルの促進が有効でしょう。
SES企業における要員獲得プロセス上の数値
SES(システムエンジニアリングサービス)企業では、エンジニアの獲得・配置が重要な営業活動です。そのため、要員獲得プロセスにおけるKPIの設定がポイントになります。
例えば、求人応募数、面接実施数、内定出し数、内定承諾率などがKPIとして設定されることが多いでしょう。これらのKPIを高めることで、プロジェクトに適した人材を確保し、収益の拡大につなげることができます。
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監修 | |
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Baseconnect株式会社 マーケティングチーム マネージャー 河村 和紀(かわむら かずき) 大手人材紹介会社に新卒入社。その後、Webメディア「ferret」を運営する株式会社ベーシックに入社。営業、営業企画、イベントマーケを経て、マーケティングマネージャーに就任。 主な寄稿実績『マーケター1年目の教科書』、『MarkeZine(マーケジン) vol.66』 |