経営戦略・事業戦略

中小企業によるランチェスター戦略活用のコツ|大企業と差別化するには

「自社のような中小企業が大企業に負けないためには、どうすればいいのだろうか?」といった疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、中小企業の経営戦略に応用できる「ランチェスター戦略」の概要や活用方法、成功事例をご紹介します。

ランチェスター戦略とは

ランチェスター戦略を端的に表現すると、「『弱者』が『強者』に対し、有利に戦局を進めるための戦略」です。第一次世界大戦中に、イギリスのランチェスターが発見した軍事戦略を、日本のコンサルタントである田岡信夫が1970年代にビジネス戦略として体系化しました。

ここでいう「弱者」「強者」は、当該企業が市場において占めるシェアによって決定されます。シェア率が一位の企業のみが「強者」、シェア率が二位以下の企業は「弱者」と分類されます。多くの場合大企業が「強者」、中小企業が「弱者」にあたります。

ランチェスター第一法則

ランチェスター第一法則は小さな市場において適用される法則であり、中小企業(弱者)が大企業(強者)に対抗するために取るべき戦略であるといえます。

ランチェスター第一法則

「戦闘力=武器効率(質)×兵力(量)」

これを企業に置き換えると、「同じ仕事の質を持つ企業どうしが戦えば、従業員数が多い方が戦闘力が高い」「同じ従業員数を持つ企業どうしが戦えば、仕事の質が高いほうが戦闘力が高い」ということです。

つまり、従業員数で劣る中小企業(弱者)にとっては、仕事の質の向上に集中することが大企業(強者)に対抗するための戦略です。

ランチェスター第二法則

ランチェスター第二法則は大きな市場において適用される法則であり、大企業(強者)が中小企業(弱者)を圧倒するために取るべき戦略であるといえます。

ランチェスター第二法則

「戦闘力=武器効率(仕事の質)×兵力(従業員数)の二乗」

第二法則においても、「戦闘力は武器効率(仕事の質)と兵力(従業員数)に依存する」という点は第一法則とも共通しています。しかし、第二法則と第一法則の違いは「大きな市場では、兵力(従業員数)の差がより顕著に戦闘力に影響する」という点です。

つまり、大きい市場で中小企業(弱者)が成功を収めた場合に、大企業(強者)はその戦略を真似た上で多くの兵力をつぎ込むことで、中小企業(弱者)を戦闘力において圧倒する戦略を取るべきだといえます。

中小企業がランチェスター戦略で成功するには

第一法則から直接導くことができる「仕事の質を高める」という方法以外にも、中小企業がランチェスター戦略を利用して大企業に打ち勝つ方法があります。

ニッチな分野でシェア1位を目指す

もともと弱者である中小企業が、特定の市場でシェア一位の「強者」を目指すという方法が考えられます。大企業が注目しないようなニッチな分野に特化し、集中的にリソースを投下することで、その分野におけるシェアが高まり「強者」となることができます。

一つの地域に特化した戦略で、局地戦に持ち込む

また、特定の地域におけるシェア一位の「強者」を目指す方法も考えられます。もともと従業員数で大企業に劣る中小企業は、広域戦は圧倒的に不利な立場にいます。そこで、一つの地域に特化してそこに従業員をつぎ込むことで、その地域で大企業に勝るシェアを確立し、「強者」になることができます。

ランチェスター戦略の成功例

婦人下着メーカー「トリンプ」

婦人下着で知られるトリンプの日本法人が設立された当時、日本の婦人下着業界はワコールがシェア一位の座に君臨していました。そこでトリンプは、シェア率で劣る弱者が生存するための方法としてランチェスター戦略を取り入れました。

それまでの女性用下着は、着け心地などの機能面が訴求ポイントでしたが、トリンプは「天使のブラ」「小悪魔ブラ」など独自のネーミングによって他社との差別化をはかり、知名度の向上に注力しました。また商品以外にも、社員の労働環境の改善にも取り組むことで、メディアからの注目も手に入れました。今や社会に浸透している「ノー残業デー」も、トリンプは日本でいち早く導入しました。

格安海外旅行会社「HIS」

HISは大手の旅行会社との差別化を図るために、有名ではない航空会社や閑散期などを狙った「格安の海外航空券」の販売を展開します。富裕層でなければ海外旅行ができなかった時代に、お金のない若者や学生をターゲットにすることで支持を受けました。

海外旅行というニーズでは、JTBなどの大手企業に資本力で劣ってしまいます。そこで、「低価格の」海外旅行というニッチなニーズに応えることで、旅行業界において確固たる地位を確立しました。

コンビニエンスストア「セブンイレブン」

今やセブンイレブンは全国的に圧倒的なシェアを誇るコンビニエンスストアチェーンですが、1990年代までは関西方面における出店は多くありませんでした。そこでセブンイレブンは、大阪府に進出するにあたり、多くの店舗を集中して出店する戦略を取りました。

この戦略によりセブンイレブンの知名度は大阪府においても飛躍的に向上し、その結果セブンイレブンは関西においても高いシェア率を得ることができました。

 

まとめ

いかがでしたか?従業員数や知名度が小さい中小企業であっても、ランチェスター戦略を用いることで大企業にも対抗することができます。今回紹介したポイントを参考にして、大企業に負けない戦略を考えていきましょう。

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