この記事は 7 分で読めます

機会損失を防ぐ!発生原因や具体例、効果的な対策方法を解説

URLをコピーする

機会損失という言葉をご存知ですか?機会損失は、多くの企業が見過ごしがちながら、経営に深刻な影響を与える可能性がある問題です。
今回は、機会損失の概念や発生原因、具体例に加えて、機会損失への対策を解説します。

機会損失とは、利益が得られるはずだった機会を逃してしまうこと

機会損失とは、本来は利益を得られるはずだったのに、その機会を逃してしまうことを指します。簡単に言うと、「稼ぎ損ない」「儲け損ない」を指す言葉です。機会損失は具体的な減少を伴わないため、見えにくい損失として扱われることが多く見落とされる場面も多く見られます。しかし、機会損失の影響は経営の収益性に深く関わり、長期的には企業の競争力低下を招くおそれがあるため注意が必要です。

機会損失の関連用語

機会損失と混同されやすい言葉には、以下のものがあります。

  • 機会費用
    ある行動を選択した際に、他の行動を選べば得ることのできた利益。
  • 逸失利益
    不法行為や事故などによって将来得ることができなくなった利益。

機会損失率の計算方法

機会損失率の計算は、多くの業界や部門で応用可能ですが、例として、営業部門における機会損失率の計算方法を紹介します。

営業における機会損失率は以下の計算式で算出できます。

機会損失率 = (対応できなかった問い合わせ数 ÷ 全問い合わせ数) × 100

 

例えば、企業の営業部門が受け取った問い合わせ100件のうち、15件が時間内に対応されなかったとします。これらは、購入意欲が高い時期に対応が間に合わず、顧客が競合他社に流れる原因となり得ます。

機会損失率 = (15 ÷ 100) × 100 = 15

 

本例でいくと、この15%が機会損失率、すなわち対応できず顧客獲得のチャンスを逃したかもしれない問い合わせの割合です。

機会損失額の計算方法

具体的な損失額を把握するには、機会損失額を算出します。機会損失率の計算式で挙げた例と同様、問い合わせを捌ききれず機会損失が生じた場合の機会損失額は、次の計算式で求められます。

機会損失額 = 対応できなかった問い合わせ数 × 契約率 × 平均単価

 

例えば、対応できなかった問い合わせ数が100件の場合、平均契約率が20%、平均単価が5,000円と仮定した際の機会損失額は以下のようになります。

機会損失額 = 100 × 0.2 × 5000 = 100000

 

この計算により、営業部門の対応不足によってその月に失われた機会損失額は100,000円であると推定できます。この情報は、人員配置や営業プロセス改善に役立てることができます。

機会損失の発生原因

外的要因

機会損失の外的要因として、市場の変動や競合の戦略変更、経済情勢の急激な変化、顧客からの一方的な契約解除などが挙げられます。これらの外部要因は、企業が直接コントロールできない要素であるため、予測が困難な場合があります。

具体的には、市場の変動によって需要が急減し、商品やサービスの売上が低下するおそれや、競合の戦略変更によって自社製品が選ばれなくなることなどが考えられます。

内的要因

機会損失の内的要因には、在庫管理の過不足や効率の悪い営業戦略、顧客対応の不備などが含まれます。在庫管理では、過剰な在庫や不足が発生し、必要な商品が適時に提供されないことで機会を逃してしまいます。また、営業戦略が市場のニーズに合っていなかったり、顧客サービスが不十分で顧客満足度が低かったりする場合も機会損失につながります。

【営業】機会損失の具体例

クライアントを待たせたことによる契約不成立

営業における機会損失の例として、クライアントとの商談が順調に進んでいたのに、契約成立の機会を逃してしまう、ということがあります。契約書や資料の用意や、契約を結ぶかどうかの判断に時間がかかってクライアントを待たせてしまうことは、機会損失の原因の一つです。

各種資料の用意は計画的に進める、意思決定の基準を明確にしておくなど、事前に対策しておきましょう。

社内のリソース不足による顧客の離脱

社内のリソース不足によって、一度獲得した顧客が離脱してしまうことも、機会損失の一例です。一度自社の顧客となった相手は、その後のサービスの質やアフターフォロー次第で継続的に取引をしてくれる可能性があります。

しかし、社内で想定していた以上の顧客が殺到した場合などには、リソース不足によって丁寧な対応をする余裕がなくなってしまい、不満を持った顧客が離脱していくおそれがあります。

初回以降のアプローチ不足

リード獲得に成功したのに、その後のアプローチが足りなかったせいで契約の機会を逃してしまう、という事態も考えられます。広告やセミナーなどで顧客の興味を引くことに成功しても、その後に十分なアプローチができなければ顧客は興味を失ってしまいます。

リードの獲得に成功しても、電話やメールなどを用いて積極的に商談を進めていかなければ、契約成立にはつながりません。

【小売業】機会損失の具体例

小売店の在庫切れ

顧客が小売店舗に来ているにもかかわらず、在庫切れが発生したため購買に至らなかったというのは、販売業における機会損失の代表例です。特に人気商品や生活必需品の在庫切れは、顧客に不便さを感じさせやすく、その後の来店モチベーションにも影響するおそれがあります。

しかし、在庫切れを回避するために必要以上に商品を入荷しても、逆に売れ残りが大量発生する可能性があります。その店舗では何がどのくらい売れているか、を見極めなければ大きな損失につながるでしょう。

店舗オペレーションの失敗

飲食店などにおいては、店舗での注文・提供のオペレーションがうまくいかずに機会損失を招いてしまうことがあります。行列を捌けずに並んでいた人が帰ってしまう、という事態が典型的な例です。

また、商品の提供スピードが遅かったり、提供を急ぐあまり雑な対応になってしまった場合、不快に思った顧客が来なくなってしまうという将来的な機会損失のおそれもあります。

大手の飲食店などでは、どのようなオペレーションが最適かを徹底的に研究した上でマニュアルが作られているため、無駄のないオペレーションが可能であるといわれています。店舗を運営している場合は、一度オペレーションが適切であるか見直してみましょう。

製造元の準備不足

製造元の体制に無理があった場合、結果的に予定通りに商品を販売できないという事態に陥るおそれがあります。これも、機会損失の一例です。

例えば、予定していた生産数を製造元が期日までに確保できなかったために、販売者の方に機会損失が起きてしまうことが考えられます。このような事態を防ぐためには、製造元との密な連携が必須です。また、確実に製造したい商品に関しては、自社生産も一つの手です。

決済方法の選択肢の少なさ

決済の方法には、現金の他に、クレジットカード決済やキャッシュレス決済などが普及しています。店舗での支払いが現金のみであった場合など、決済方法が少ないために顧客が購入をあきらめてしまうことも考えられます

現在ではキャッシュレス決済に対応した店舗も増え、それに伴って現金を持ち歩かない人も多くなってきました。キャッシュレス決済ができないため購入しなかった、というのも機会損失です。

【製造業】機会損失の具体例

生産計画の誤りによる損失

製造業においては、過剰生産や生産不足が機会損失につながります。例えば、需要を見込みすぎて過剰生産してしまった場合、倉庫スペースを圧迫し他製品の在庫を増やすことができなくなってしまうことで機会損失が生じます。

一方、生産不足が起こると、本来得られるはずだった売上の分だけでなく、競合他社に顧客が流れることによる機会損失も起こり得ます。

資材調達の遅延

原材料の遅延は生産プロセスに遅れをもたらし、結果として市場での販売機会を逃すことになります。天災や輸出入規制の変化、輸送トラブルのほか、原材料の需要が急増し供給が追い付かなくなる場合などに原材料遅延が起こり得ます。

また、サプライヤー自身が財務問題や生産障害が生じた場合にも、予定された納期に間に合わず調達の遅延につながるおそれがあります。

技術的な障害

設備の故障や技術的な問題により製品の生産がストップし、機会損失を招くこともあります。また、新たな技術を導入し生産工程が変わる際も、一時的に生産を中断せねばいけないことがあり得ます。

機会損失によって受ける影響

ブランド評価の低下につながる

機会損失が繰り返されると、消費者や取引先の中でブランド評価の低下につながります。特に、製品・サービスの供給が安定していないと見なされる場合、顧客は信頼を失い始めます。この信頼の低下は、新規顧客の獲得をより困難にし、市場での競争力を低下させるおそれがあります。

顧客満足度の低下につながる

機会損失が顧客体験に直接影響すると、リピート購入やサービスの利用が減少につながります。顧客が一度不満を感じると、その記憶は長く残り、競合他社に移行するきっかけとなり得ます。長期的に顧客を維持するためには、一貫して高品質のサービスを提供し、顧客満足を最優先することが不可欠です。

【場面別】機会損失への対策方法

小売業・製造業|最新のテクノロジーを活用する

機会損失を減少させるためには、最先端テクノロジーの導入が欠かせません。AIによる需要予測や自動化された在庫管理システムは、供給過剰や在庫不足といった問題を防ぐのに有効です。

テクノロジーを活用すると、過去のデータと現在の市場動向を分析し、将来の需要を正確に予測することができます。結果として、企業は適切な在庫量を維持し、顧客のニーズに迅速に応えられるようになります。

営業|SFAやCRMなどのツールを導入する

リードや案件を個別に管理していると適切なタイミングでの対応が漏れてしまい、機会損失が発生するリスクが高まります。この問題を解決するには、SFAやCRMなどの顧客情報管理ツールを活用して情報を一元化し、部門内でのコミュニケーション強化が効果的です。

SFAやCRMなどのツールを導入することで、すべての顧客に対して迅速かつ一貫した対応が可能となり、見込み客の獲得を逃すリスクを最小限に抑えられます。

営業|従業員教育を徹底する

従業員が最新の市場動向や技術を理解し適切な判断ができるようにするためには、継続的な教育とトレーニングが必要です。トレーニングを徹底することで、変化する顧客ニーズに応じたサービスを提供できるようになるため、販売タイミングを逃すといった機会損失が防げます。

さらに、定期的なパフォーマンスの監視とフィードバックを通じて、従業員のスキルアップを図り、組織全体の生産性を向上にもつながります。

 

最後に、効果的に見込み客を獲得するために、ぜひ弊社が提供する営業リスト作成ツール「Musubu」をご活用ください。 業界や企業規模、設立年月から現在求人を出している企業まで、細かなセグメントでのリスト作成が可能です。
⇒ 営業リスト作成ツール「Musubu」の詳細をみる

 

 

監修

Baseconnect株式会社 マーケティングチーム マネージャー

河村 和紀(かわむら かずき)

大手人材紹介会社に新卒入社。その後、Webメディア「ferret」を運営する株式会社ベーシックに入社。営業、営業企画、イベントマーケを経て、マーケティングマネージャーに就任。
2022年、Baseconnect株式会社に参画。イベントを中心とした、ユーザーとのコミュニケーション領域を管轄する。

主な寄稿実績『マーケター1年目の教科書』、『MarkeZine(マーケジン) vol.66

 

ビジネススキル・知識おすすめの記事

2023年9月4日

【厳選】請求書電子化サービス6選|メリットや確認すべきポイントも解説

2020年9月17日

【新人必見!】効率のよい仕事の進め方とは?手順に沿って紹介します

2020年3月24日

ビジネスにおける定量分析とは?定性分析との違いも解説