この記事は 2 分で読めます
クラウンジュエルとは|実行したときのリスクについても徹底解説
クラウンジュエルという言葉を聞いたことはありますか?
これは買収防衛策のひとつですが、実行には大きなリスクが伴います。
今回はクラウンジュエルについて、実行の方法やリスクについて解説します。
目次
クラウンジュエルとは、買収企業が欲しがっている資産・事業を売却することによって、買収の意欲を下げること
クラウンジュエルとは、買収企業が欲しがっている資産や事業を売却することによって、買収の意欲を下げることを指します。敵対的買収への防衛策のひとつで、焦土作戦とも呼ばれています。
買収の対象となった企業を「クラウン(王冠)」に例え、その「ジュエル(宝石)」(=重要な資産)を王冠から外すことで、王冠の価値を下げる行為になぞらえて命名されています。
クラウンジュエルを実行する方法
事業の譲渡
クラウンジュエルの中でも、最も重大なものは事業の譲渡です。事業の譲渡とは、企業が行なっている事業の一部または全部を第三者に移譲することを指します。
事業譲渡は、株主総会での3分の2以上の承認を得なければ行なうことができません。
重要財産の売却
重要財産の譲渡は取締役会で決定することができ、株主総会での承認は必要ありません。そのため、最も重大な決定である事業売却に比べると、敵対的買収に対して迅速に対応することが可能です。
子会社の譲渡・分社化
買収の目的となっている事業を手掛ける子会社を第三者に譲渡することも、敵対的買収に対する防衛策となります。また、重要な資産を持つ子会社を分社化して切り離してしまうことも防衛策のひとつです。
子会社の譲渡は、一般的に株式譲渡の形で行なわれます。子会社の譲渡には、会社法467条と309条により、一定の場合に株主総会での特別決議が必要です。
負債の引き受け
負債を引き受けることで、企業の魅力を下げるのも買収防衛策であるといえます。負債の額が大きいほど買収意欲を削ぐことができますが、買収を防衛できた後の負担が大きくなることには注意が必要です。
クラウンジュエルに潜むリスク
重要な資産を失う
クラウンジュエルの最大のリスクは、買収防衛と引き換えに重要な資産や事業を失ってしまうことです。企業としての魅力や競争力を失うだけでなく、既存の株主にも大きなダメージを与えることになりかねません。
既存の株主からクラウンジュエルの実行に反対されてしまうと、株主が買収企業に与し、買収がスムーズに進められてしまうおそれがあります。クラウンジュエルを実行する際には、その目的を明示して、株主からの協力を得ることが必要です。
取締役の善管注意義務違反となるおそれがある
企業の取締役には、善管注意義務(=企業の資産を、経営のために責任を持って運用する義務)や忠実義務(=企業に忠実に行動する義務)が課せられています。クラウンジュエルによって重要な資産を処分した場合、経営に悪影響を及ぼしうるため、取締役がこの善管注意義務や忠実義務に違反したと判断されるおそれがあります。
最悪の場合には、株主から義務違反を追及されて訴えられることも考えられます。
このように、クラウンジュエルにおいては既存の株主との兼ね合いでいくつかの問題が発生します。そのため、買収防衛策としてクラウンジュエルを実行するのは現実的ではないと考えられています。
クラウンジュエルの事例:ライブドアによるニッポン放送の買収
買収防衛策としてクラウンジュエルが実行された事例はほとんどありませんが、2005年のライブドアによるニッポン放送の買収では、クラウンジュエルの実行がほのめかされました。
ライブドアは、ニッポン放送の買収によって、その子会社であるフジテレビの経営権を握ることを狙っていました。これに対してニッポン放送は、フジテレビの株式の売却をほのめかしました。しかし、ライブドアが買収から手を引いたため、ニッポン放送は実際にはこれを実行するには至らず、ライブドアとフジテレビは和解・業務提携を行なうこととなりました。
いかがでしたか?
クラウンジュエルは買収防衛策のひとつですが、重要資産の喪失など、大きなリスクが伴います。
この記事を参考に、クラウンジュエルによる買収防衛の方法や、デメリットについて押さえておきましょう。
まずはこれだけ。新規開拓営業を始める時の心得
無料でダウンロードするために
以下のフォーム項目にご入力くださいませ。