経営戦略・事業戦略

株式を譲渡する手順とは?メリット・注意点と併せて紹介!

株式譲渡はM&Aの際によく用いられる手法ですが、どのような手続きを踏むかご存知ですか?今回は株式譲渡のメリットや注意点、実施する際の手順について解説します。

株式譲渡とは売却企業のオーナーが保有株式を買い手に譲渡し、経営権も同時に譲り渡すこと

株式譲渡とは売却企業のオーナーが自分の保有する株式を、買収企業または個人の買い手に譲渡し、それにより会社の経営権も同時に譲り渡す手続きのことで、中小企業のM&Aで最も用いられる手法です。株式譲渡には以下の3つの方法があります。

  • 相対取引
    株主と直接取引し、株を買い取る手法。
    非上場企業の株式ではこの手法しか取引できない。
  • 市場買付け
    公開取引市場から株式を買い付ける手法。
  • 公開買付け(TOB)
    証券取引所を介さず市場外で株式を買い付ける手法。買い手が株式数と買付け価格、買付けの期間を公告し、賛同した株主から株式を買い集める。上場会社の株式を大量に買い付けたいときに用いられる場合が多い。

株式譲渡のメリット

【売却企業側】現金が手に入る

売却企業のオーナーは株式を譲渡する代わりに手早く現金を手に入れることができるので、早急に現金が必要なときに特に有効です。また、事業譲渡では売却して得た利益の約30%分の税金が課せられますが、株式譲渡では約20%しか課税されないというメリットもあります。

【売却企業側】売却企業が存続する

株式譲渡では株主は変わるものの、売却企業は存続するため、社名や従業員の雇用を維持することが可能です。従業員の雇用が維持されるかは経営者にとって大きな懸念事項ですが、株式譲渡を利用すると、安定した企業に買収された場合、安心して会社を譲渡できます。

また、事業の成長性や将来性はあるものの、後継ぎが存在せず廃業を考えている企業が株式譲渡した場合、事業を継続しつつ後継ぎ問題も解決できるといったメリットがあります。

【売却企業側・買収企業側】手続きが容易である

株式譲渡は交渉が円滑に進めば、他のM&A手法に比べて、簡単かつ迅速に手続きを進めることができます。また、株式譲渡では許認可も買収企業に継承されるため、許認可申請を改めて出す必要がなく、すぐに事業を始めることが可能です。

株式譲渡の注意点

【売却企業側】譲渡制限付き株式の場合がある

株式を譲渡する際の注意点として、譲渡制限付きの株式ではないかを調べる必要があります。譲渡制限付きの株式とは、譲渡する際に会社の承認が必要な株式のことを指します。株式は通常は自由に売買可能なものですが、譲渡制限付きの株式である場合は会社の承認が無い場合、譲渡されても効力が生じません。

したがって、譲渡制限付きの株式の場合は、取締役会または株主総会の承認を得る手続きが必要なので注意しましょう。譲渡に制限があるか否かは登記簿謄本、定款から確認できます。

【売却企業側】株券を発行している場合は譲渡方法が変わる

売却企業が株券を発行している場合は譲渡にあたり株券の準備が必要なため、売却企業が株券発行会社かどうかを確認する必要があります。

2006年に定められた会社法により、株券の発行は原則不要になりましたが、それ以前は株券の発行が必須でした。そのため、2006年以前から存在していた会社に関しては、株券不発行会社への移行手続きが行われているかを確認する必要があります。株券発行会社か否かは登記簿謄本で確認できます。また、登記簿謄本への反映が完了していない場合や、現在でも株券を発行している場合もあるため、日付の記載がある最新の定款を確認するとよいでしょう。

【買収企業側】債権や債務も引き継ぐ場合がある

株式譲渡では経営権に加え、会社に関わる資産や権利も全て引き継ぎます。したがって、場合によっては、自社にとって不利益となる債権や債務を引き継ぐ恐れがあります。

株式譲渡で企業の買収を考える際は、買収企業の経営状態や債務の有無をしっかりと確認しましょう。また、債権や債務が存在しても買収したい場合は、買収するメリットがあるかや投資のリターンを回収できるかを考慮することが大切です。

株式譲渡の基本的な手順

1. 株式譲渡承認を請求する

譲渡制限付きの株式の場合は、株式のオーナーが売却企業に対し、譲渡する枚数や譲渡先などを明記した株式譲渡承認請求書を提出し、株式譲渡承認を請求する必要があります。

譲渡制限付き株式でない場合は自由に売買できるので、請求は不要です。

2. 臨時株主総会の開催を決定し、株主への招集通知を送る

売却企業は株式譲渡承認請求書を受け取ったのち、臨時株主総会の開催と日程を決定し、株主への招集通知を送付します。承認請求から2週間以内に招集通知を送付しない場合は、譲渡を承認したとみなされるので株式譲渡を阻止したい場合は注意が必要です。

3. 株式譲渡の承認決議を行う

売却企業は臨時株主総会で株式譲渡に関する承認決議を行います。承認が可決されれば、株式の譲渡が可能になるため、請求者に対し承認された旨を伝えます。一方、否決の場合、売却企業は自社自ら買い取るまたは指定した人が買い取るの2択から選択します。

また、取締役会設置会社の場合は一般的に取締役会にて承認決議を行います。

4. 株式譲渡契約を締結する

承認の通知が来たら、株式のオーナーと譲渡先との間で株式譲渡契約書を作成し、株式譲渡契約を締結します。

5. 株主名簿の書き換え請求を行う

株式の譲渡契約を締結したら、次は株主名簿の書き換え請求を行います。会社が株式名簿を書き換えてはじめて、株式は効力を発揮します。

6. 株主名簿記載事項証明書の交付請求を行う

譲渡先は株主名簿記載事項証明書の交付請求を行い、売却企業は株主名簿記載事項証明書を交付して請求に応じます。これで株式譲渡の手続きは完了です。

株式譲渡の際に必要な書類 ※

株式譲渡に必要な書類には以下のようなものがあります。あくまで1例であり、取締役会の有無などで、必要な書類に差異があるので、事前に確認するようにしましょう。

【取締役会非設置会社の場合】

  • 株式譲渡承認請求書
  • 株主総会招集に関する取締役の決定書
  • 臨時株主総会招集通知
  • 臨時株主総会議事録
  • 株式譲渡承認通知書
  • 株式譲渡契約書
  • 株式名義書換請求書
  • 株主名簿
  • 株主名簿記載事項証明書交付請求書
  • 株主名簿記載事項証明書

【取締役会設置会社の場合】

  • 株式譲渡承認請求書
  • 取締役会議事録
  • 株式譲渡承認通知書
  • 株式譲渡契約書
  • 株式名義書換請求書
  • 株主名簿
  • 株主名義記載事項証明書
まとめ

いかがでしたか?

株式譲渡はM&Aの手法の中では比較的手続きが簡便であり、後継ぎ問題を解決し事業を存続させるなどのメリットがあります。この記事を参考に株式譲渡に関する知識を深めましょう。

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