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シンジケートローンとは?用語やローン結成の流れを紹介します
シンジケートローンという言葉をご存知でしょうか?
この記事では、複数の金融機関から同一の条件で融資を受けられることが特徴のシンジケートローンについて、用語の解説やメリット・デメリットを紹介します。
目次
シンジケートローンとは
シンジケートローンとは、一つの融資に対し複数の金融機関が連携してシンジケート団を結成し、同一の条件で融資を行なう形態のことです。
シンジケートローンには、コミットメントラインとタームローン、コミット型タームローンの3種類があり、下の表に特徴をまとめています。
コミットメントライン | 借入人と金融機関の間であらかじめ設定した上限額・期間の範囲内で借り入れられる融資。契約書の条件を満たすことを前提に、借入人の請求に基づいて短期の融資を約束する。 用途:緊急時の資金調達や、バランスシートのスリム化 |
タームローン | 融資期間が中長期で、一括で実行される融資。 用途:長期的な運転資金の調達や、借入口の一本化 |
コミット型タームローン | 融資期間が中長期であるが、一定期間分割で実行される融資。 用途:調達時期が未定の運転資金や、設備資金用の資金枠 |
また、シンジケート団の結成の際には、既存の取引先金融機関のみで構成される「クラブシンジケーション」と、新規の金融機関もシンジケート団に含む「ジェネラルシンジケーション」の2つがあります。
シンジケートローンでは、次の用語がよく使用されます。
- シンジケート団
借入人に対し融資を行なう、連携した複数の金融機関のこと - アレンジャー
借入人とシンジケート団の間を取り持ち、融資条件の検討・借入人に対して融資を行なう金融機関の招聘・契約手続きなどを行なう金融機関のこと - エージェント
シンジケート団を構成する各金融機関の代理人として、借入申込や融資実行などの契約後の融資事務を一括で行なう金融機関のこと
通常はアレンジャーがエージェントも務める場合が多い - マンデート
シンジケートローンの契約に伴い、アレンジャーにシンジケート団の結成等を委任すること
シンジケートローンの流れ
シンジケートローンで融資を受ける一般的なプロセスは次のようになります。
- 借入人がアレンジャーとなる金融機関を指定し、アレンジャーが借入人に対して、融資条件のタームシート(基本条件書)を提示する
- 借入人がアレンジャーに対し、マンデートレター(組成依頼書)を提出する
- アレンジャーが貸付人となる金融機関の招聘を行なう
- 貸付人となる金融機関から参加表明書をアレンジャーが受け取る
- 契約書の作成、調印
- 融資の実行
シンジケートローンの組成までの期間は、クラブシンジケーションなら1〜2ヶ月、ジェネラルシンジケーションなら2〜3ヶ月が一般的です。
シンジケートローンの4つのメリット
大口の融資を受けやすい
シンジケートローンでは、複数の金融機関から融資を受けることが可能なため、通常よりも大きな金額の融資を受けられる可能性があります。
例として、とある企業に5千万の融資を行なう場合に、通常の融資では貸付人となる金融機関が5千万すべてを融資します。一方で、シンジケートローンの場合はシンジケート団を構成する金融機関全体で5千万を融資するため、一つの金融機関あたりの融資額は小さくなります。
このように、シンジケートローンを利用した場合、一つの金融機関の融資額が小さくなり、返済不能になった場合などのリスクを軽減できるため、より大口の融資を受けやすくなります。
事務作業量を軽減できる
シンジケートローンでは、エージェントとなる金融機関が、融資前の契約条件の交渉や、シンジケート団への元利金の支払いなどの融資に係る事務事項を代行するため、借入人となる企業の事務作業量が軽減されます。
複数の金融機関に対し同一の条件で融資を受けられる
シンジケートローンでは、複数の金融機関から同一の条件で融資を受けられます。そのため、借入人となる企業にとっては金利を一つにまとめることができるため、複数の金融機関に対し個別の条件で融資を受ける場合よりも、財務管理が容易になるというメリットがあります。
将来の資金調達先の幅が広がる
ジェネラルシンジケーションでシンジケート団を結成する場合、新規の金融機関と取引を行なうため、完済することで信用が得られ、将来の資金調達先の選択肢が増える可能性があります。
一つの金融機関としか取引を行なっていなかった企業や、新たに取引先を開拓したい企業にとってはシンジケートローンを利用するのも一つの手段だと言えます。
シンジケートローンの3つのデメリット
融資までに時間がかかる
シンジケートローンの組成には、およそ1〜3ヶ月を要し、通常の融資よりも契約までに時間がかかります。
アレンジャーの指名に加え、融資額が大きいため詳細な事業計画を策定し、それを複数の金融機関に提出する必要があります。その他に、通常の融資に比べ必要な書類の数も増えます。そのため、緊急性を要した資金調達には不向きなものであるといえます。
様々な手数料が発生する
シンジケートローンでは、エージェントが事務を代行するため、借入人となる企業にとっては事務作業量の軽減が見込めますが、それに付随した事務手数料が発生します。
例として、シンジケート団を結成するための手数料であるアレンジメントフィーや、借入人と貸付人の間の通知取次・元利金支払いといったエージェント業務に付随するエージェントフィーなどの手数料があります。
小口の融資を受けにくい
シンジケートローンは一般的に融資額が大きい場合に用いられることが多い融資の形態であるため、少額の資金調達には向いていません。
いかがでしたか?
シンジケートローンをうまく活用すれば、資金繰りの改善や融資に係る事務作業量の軽減、新規金融機関の開拓などが見込めます。
一方で、事務手数料の発生などのデメリットもあるため、シンジケートローンを組む際には熟慮が必要です。
まずはこれだけ。新規開拓営業を始める時の心得
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