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人的資源管理(HRM)とは|モデルや運用すべき諸制度も解説
「人的資源管理」という言葉を耳にする機会はあっても、その詳細な内容までは知らないという方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、人的資源管理の定義やモデル、運用すべき制度などについて紹介します。
目次
人的資源管理とは、人的資源を活用する仕組みをつくること
人的資源管理とは、経営資源(人・モノ・お金・情報)の一つである人的資源を、組織の目的達成のために活用する制度の設計や運用を行うことです。Human Resource Managementの頭文字を取って、HRMとも呼ばれます。近年の人事管理において重要な考え方であるといえます。
人的資源は、他の経営資源にはない特徴を持つ
人的資源は、他の経営資源であるモノやお金、情報とは異なる特徴を持ちます。まず、人は育成可能な資源であるということです。育成によって潜在能力を引き出しうるなど、他の経営資源にはない可能性を秘めた資源であるといえます。さらに、人的資源はモノやお金、情報といった他の資源を動かす原動力であるということです。そのため、経営資源の中でも人的資源は重要な役割を持っているといえます。
また、人は他の経営資源とは違い、それぞれが異なる感情や思考を持っています。そのため一人一人に応じた配慮が必要であり絶対的な管理方法が存在せず、マネジメントが困難であるという点も特徴です。
人事労務管理との違い
人的資源管理と比較される言葉に、「人事労務管理(PM・Personal Management)」というものがあります。両者は、組織の発展のための人材管理という点では共通していますが、人材に対する考え方において異なります。
人事労務管理では、人材をコストや労働力として捉えることで、コストを押さえながら会社の利益を最大化するという考え方を持っています。一方で人的資源管理では、人材をコストではなく経営資源として捉え、育成によって経済的価値を高めるという考え方です。
従来は人材をコストと捉える人事労務管理が一般的でしたが、近年は人的資源管理の概念が浸透しつつあります。
人的資源管理のモデル
人的資源管理には主に「ミシガンモデル」と「ハーバードモデル」の二つのモデルがあります。人的資源管理を適切に行うために、この二つのモデル概念を理解しておきましょう。
ミシガンモデル
ミシガンモデルでは、人的資源管理は経営戦略の一部であるという考えのもとに、両者の適合性が重視されます。ミシガンモデルにおける人的資源管理の具体的な内容としては以下の四つが挙げられ、それぞれを経営戦略に落とし込むことで会社全体のパフォーマンスの向上が期待できます。
- 採用・選抜
・・・職務遂行に対して最適な人材を選ぶ - 報酬
・・・業績に応じた報酬を与えることでモチベーションを向上させる - 人材評価
・・・客観的な基準で適切な評価を与える - 人材開発
・・・将来的に高い業績をあげられるような育成を行う
ハーバードモデル
ハーバードモデルにおいて人的資源管理は、社員の特性や経営戦略などの「状況的要因」と、経営者や従業員などの「ステークホルダーの利害」から大きな影響を受けるものであると定義されています。
その上で、人的資源管理は以下の四つの要素から構成されると考えられています。
- 従業員からの影響
・・・従業員の意見や現場の声を人的資源管理システムに積極的に取り入れることで、システムの最適化を目指す - 人的資源のフロー
・・・従業員を財産として捉え、入社から昇進、退社までの一連のフローを扱う - 報酬システム
・・・従業員のモチベーションを向上させるために、仕事のやりがいなどの内的報酬と給与などの外的報酬を調整する - 職務システム
・・・従業員の自発性や組織へのコミットメントを高めることを目的として、個々の従業員に対して目標や適度な責任を与える
これらの要素に対して働きかけを行うことで、「従業員の幸福感」や「組織の有効性」「社会全体の繁栄」という長期的な効果が期待できます。
人的資源管理において設計・運用すべき制度
人材採用制度
人材を採用するにあたって、中途採用にも力を入れていくことで組織の活性化を見込めます。新卒採用は自社で育成することが前提ですが、中途採用では多様な職歴や経験を持つ人材を取り入れることができます。
人材育成制度
人的資源を育成するにあたり、自社の業務を行うOJT(企業内教育)だけでなく、社外における研修も取り入れることで、自社にはないノウハウを習得させることができます。
また、資格取得試験の受験料を助成するなど、入社後も学習を継続できるような環境作りを行うという人材育成方法も考えられます。
人事評価制度
各従業員による企業への貢献を評価する制度は、これまで多くの企業が職能資格制をとっていました。しかし、職能資格制は年功序列のような運用になりやすく、すべての従業員が平等に昇級していくことから人件費が高くなると言う欠点があります。
そこで、従業員各自が持つ能力ではなく、従業員の企業への貢献度合いを基準とした人事評価制度を整備することが求められています。
いかがでしたか?
人的資源管理は、従業員をコストではなく資源として捉えて活用するという点において新しい考え方です。今回紹介したポイントを参考にして、より人材を活用できる環境づくりを進めていきましょう。
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