経営戦略・事業戦略

労働分配率の求め方と目安とは|経営と人件費の安定性を保つ方法も紹介

労働分配率の求め方と目安はご存じでしょうか?労働分配率の設定を誤ると、経営難に陥ったり、社員の不満を増幅させたりする原因になります。
そこで今回は、労働分配率の求め方と、設定値を決める際に注意すべきことを紹介します。

労働分配率とは「会社の純利益のうち、社員に支払う金額の比率」である

労働分配率を計算することで、会社が創出した利益のうち、どれほど労働力に投資しているかが分かります。 労働分配率が高ければ労働力への投資が多く、労働分配率が低ければ労働力への投資が少ないことを示しています
労働分配率は、以下の式から算出されます。

労働分配率(%) = 人件費 ÷ 付加価値 × 100

例えば、年間の人件費が1000万円で、その年の付加価値が2000万円のとき、労働分配率は50%になります。

人件費とは「社員のために会社が支払うべきコストの総額」のこと

人件費には、社員に払う給料や賞与に加え、社会保険料の一部である法定福利費などの、会社が社員のために支払うべきコストが全て含まれます。他にも、役員報酬・退職金や福利厚生費、教育費などが含まれ、給料・賞与を除いても人件費はかなりの額に上ります
したがって、労働分配率を設定する際には、会社が負担する人件費を全て考慮して計算しなければなりません。

付加価値とは「売上高から外部に支払うコストを引いた利益」のこと

付加価値は、会社が創出した純利益を指します。例えば、50円のものを100円で売ることができれば、その付加価値は50円となります。付加価値の計算には「控除法」と「加算法」の2つがあります。

  • 控除法
    控除法では、会社の売上高から外部に支払った金額を引いて算出します。計算式は以下の通りで、中小企業が付加価値を計算するときに用いられることの多い計算方法です。

    付加価値 = 売上高 ー 外部購入価値

  • 加算法
    加算法は、自社が生み出した付加価値を構成要素ごとに分類して、加算していくことで算出する方法です。主に、大企業が付加価値を計算するときに用います。なお、各種費用には人件費賃借料金融費用が含まれます。

    付加価値 = 経常利益 +  減価償却費 + 租税公課 + 各種費用

労働分配率を設定するときに注意すべきこと

労働分配率の目安は概ね50%である

労働分配率の目安はおおよそ50%にするとよいと言われています。労働分配率を高くしすぎると、他の資源への投資や会社の貯蓄が少なくなってしまいます。ただし、目安は業種ごとに違いがあり、従業員が要の飲食・サービス業では標準労働分配率が約65%と高くなっています。(参照:経済産業省 2019年企業活動基本調査確報-平成30年度実績-

したがって、自社が投資すべき分野を把握して、配分のバランスがよくなるように労働分配率を設定することが重要です

労働分配率が低すぎると、労働環境が悪くなる

労働分配率を低くすれば、他への投資の規模を大きくすることができます。しかし、労働分配率を低くしすぎてしまうと、業績に報酬が見合わなくなる恐れがあります。その場合、社員のモチベーションを著しく下げてしまったり、反感を買ってしまうことにつながります。社員あってこその企業ですから、相応の給料を与えることや、働きやすい環境を整えることには十分な投資を行いましょう

年功序列では労働分配率が上がりやすい

年功序列制度で昇給を行う場合は、今の社員の給料が徐々に上がっていき、労働分配率が跳ね上がることを念頭に置いておかなければなりません。社員はいずれ入れ替わりますが、退職金などの人件費もかかるので、年功序列を採用するときには給与額を調整することが必要です。

「労働生産性」を上げることで、労働分配率のバランスを保つ

労働分配率をバランスよく設定するためには、「労働生産性」との関係を知ることが重要です。労働生産性とは「会社がかけた人件費に対して、どれだけの価値を創出できたかを示す経営指標」であり、以下の計算式から求められます。

 労働生産性(%) = 付加価値 ÷ 人件費 × 100

労働生産性が高ければ、会社の利益が大きくなり、人件費を増やすことに対する負担も軽くなります。したがって、労働生産性を上げることは、経営と人件費にとってバランスの良い労働分配率を維持するために、非常に重要な取り組みです。
労働生産性を上げて、労働分配率が50%に収まるように業績に応じた賞与を与え、モチベーションを高めてさらに労働生産性を上げる、というサイクルを回しましょう

まとめ

いかがでしたか?

労働分配率には、経営側の負担と社員側の満足度を考慮した、ちょうどよい設定値があります。会社の利益を向上させて、負担無く社員に報酬を与えるために労働生産性を上げられるよう努めましょう。

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