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U理論の基本知識|イノベーションが生まれる過程を解説します
U理論という言葉を聞いたことはありますか?
イノベーションがどのようにして生まれるのかを知るために、U理論を理解することが役立ちます。
今回は、U理論の基本知識を解説します。
目次
U理論とは、イノベーションを生む意識・行動の過程を示す理論のこと
U理論とは、イノベーションを生み出す際の意識・行動の過程を示す理論のことです。オットー・シャーマー氏による理論で、イノベーションに成功したリーダーへのインタビューと分析によって生み出されました。
現代は、高度情報化やグローバル化、少子高齢化などによって社会が複雑化し、将来の予測が難しくなっているVUCAの時代であるといわれています。そのような情勢の中、ビジネスでは「これまでのやり方では通用しなくなる」という意識が強くなっており、イノベーションへの需要が高まっています。
そこで、イノベーションが生まれる過程を明らかにしたU理論が注目されているのです。
VUCAの時代については、次の記事も参考にしてみてください。
U理論における7つのステップ
U理論では、イノベーションが生まれる過程を、意識の状態を指す1〜4と、行動の段階を指す5〜7の合計7つのステップに分類しています。このうち、1〜4のステップに対応して意識のレベルが4段階に分けられており、レベルが進むほどアイデアが生まれやすくなるとされています。
1. ダウンローディング(Downloading)
ダウンローディング(Downloading)とは、過去の経験や知識に基づいて思考している状態を指します。過去の枠組みに囚われており、頭の中ではこれまでの自分の思考や意見が再現されます。
当たり障りのないアイデアが生まれやすい状態であり、過去の枠組みに合わない考え方を排除してしまう傾向にあります。
2. 観る(Seeing)
観る(Seeing)とは、過去の枠組みに囚われず、目の前の事象に意識が向いている状態を指します。過去の経験や知識からの判断を一旦保留し、目の前のことに集中できる状態です。
既存の価値観と現在の自分の考えを照らし合わせて思考している段階で、ここではまだ新たなアイデアを生み出すには至りません。
3. 感じ取る(Sensing)
感じ取る(Sensing)とは、過去の枠組みが崩壊し、客観的に事象を把握できている状態を指します。これまでの枠組みを脱却することによって、新しい視点で思考できるようになります。
さらに、客観的に自分を見ることができるため、他者への共感性が高まります。他者の考えを理解しやすくなり、より内省的な思考を深めていきます。
4. プレゼンシング(Presencing)
プレセンシング(Presencing)とは、自身の源ともいえる深い部分まで思考が深まり、イノベーションに繋がるアイデアが生まれるようになった状態を指します。わかりやすく言い換えれば「悟りが開けた」状態です。
この段階に達すると、創造的・画期的なアイデアを生み出せるようになります。また、他者への共感性・影響力もより高くなり、リーダーとしての資質も高まります。
5. 結晶化(Crystallizing)
結晶化(Crystallizing)とは、これまでの思考で得たアイデアを実現化する行動の段階を指します。プレセンシングの状態で生まれたアイデアのビジョン・意図を、具体的なイメージに昇華させます。
6. プロトタイピング(Prototyping)
プロトタイピング(Prototyping)とは、アイデアを具体的な施策に形づくり、試行する行動の段階を指します。アイデアの完成を目指すのではなく、試行とフィードバックを繰り返すことによってアイデアのブラッシュアップを図ります。
7. 実践(Performing)
実践(Performing)とは、アイデアを実行に移す行動の段階を指します。具体的には、プロトタイピングの中で成功したことの再現性を高め、完成したアイデアを実現するための仕組みづくりを行います。
リーダーには、プレゼンシングに達することが求められる
U理論はリーダーを分析したものであるため、リーダー論としても用いられます。特にリーダーにとって重要なのは、個人の枠を超えて他者への共感性が高まったプレゼンシングの段階です。
リーダーの役割は目標達成に向かって組織を導くことであり、それを達成するには明確なビジョンを持って思考・行動する必要があります。プレセンシングの状態では、思考が深まって組織の目指すべき姿や実現すべきアイデアが明確になります。さらに、他者への共感性や影響力が高まることで、組織を導く力を得られます。
いかがでしたか?
U理論は、イノベーションが生まれる意識および行動の過程を示したものです。
この記事を参考に、U理論における7つのステップについて押さえておきましょう。
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