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統合報告書とは?作成すべき理由と記載すべき要素を紹介します
統合報告書という言葉を聞いたことはありますか?
統合報告書は、企業独自の取り組みを伝えるために活用されている報告書です。
今回は、統合報告書を作成すべき理由と記載すべき内容を紹介します。
目次
統合報告書とは、社内外へ企業の今後の価値創造についての方針・戦略を報告する書類のこと
統合報告書とは、定性的データである知的資産と、定量的データである財務データ両方の観点から、自社の独自の経営ビジョンや今後の事業展開についてまとめた報告書のことです。自社の成り立ちやビジネスの特徴、自社の成長性や将来の活動についての価値創造ストーリーを伝える報告書を作成することで、企業イメージやブランド力が向上しビジネスの競争力が高められます。また、投資家向けに企業価値をアピールすることで資金調達に繋げられる重要な書類です。
統合報告書では、多面的に企業全体の価値をアピールする必要があるため社内で協力して作成する必要があります。経営企画部門やIR部門、CSR部門および企業ブランドや商品ブランドを統括する部門など社内全体で連携して進めましょう。
統合報告書の作成が求められる理由
企業価値が「財務上の価値」だけでは説明できなくなったから
今まで、企業価値は財務上の価値にのみ表れていました。しかし現在では、ビジネスのグローバル化やデジタル化が進み市場が複雑化したため、企業の本質的な価値が株主通信などの決算情報や財務上の価値だけでは説明できなくなってきました。そのため、統合報告書には、財務や非財務を含む「企業価値の全体像」の提示が求められています。
社会の中で企業が果たすべき役割が変化してきたから
先ほど述べたように、今までは自社ビジネスを拡大し、利益を生み出すことが企業価値とされてきました。しかし現在では、課題解決のために「経済価値拡大型のビジネスモデル」から「社会課題解決型のビジネスモデル」に変化することが求められています。
企業には、社会課題を解決する力があることを社会に説明する義務があります。そのため統合報告書を作成し、地球温暖化や大気汚染などの環境課題及び、エネルギー問題や食糧問題などの地球規模の課題を解決するための新しいアイデアや技術革新、資金を持っていると説明することが求められます。
統合報告書の構成に必要な要素
IIRC国際統合報告評議会や経済産業省などが、体系的な統合報告書の作成に必要なフレームワークを発信していますので、以下を参考にしてみてください。取り組みと企業価値を紐づけ、分かりやすく見やすいデザインで作成することがポイントです。
(IIRC 国際統合報告フレームワーク案の概要:https://www.meti.go.jp/english/policy/economy/corporate_accounting/pdf/pdf/130516_PC6_5_1.pdf)
原則主義要求事項の要約
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各企業の統合報告書
各企業が出している統合報告書には、以下のようなものがあります。
・KAGOME
飲料や食品および調味料の総合メーカであるカゴメ株式会社は、「感謝」「自然」「開かれた企業」を企業理念に掲げています。統合報告書では、現在取り組んでいる「健康寿命の延伸」「産業振興・地方創生」「世界の食料問題」などの社会課題に対する長期ビジョンを掲載しています。
(KAGOME統合報告書2020:https://www.kagome.co.jp/library/company/ir/data/integratedreport/2020/pdf/report_1.pdf)
・FUJIFUILM
カメラやデジタルカメラの製造・販売を行うFUJIFUILMホールディングスは、「富士フィルムグループの普遍の価値観」を企業理念に掲げています。成長に向けた取り組みを3つのステップ「1. 環境の変化に素早く、適切に対応する」「2. 変化を予測し先手を打つ」「3. 自ら変化を作り出す」で説明しています。
(FUJIFUILM統合報告書2020:https://ir.fujifilm.com/ja/investors/ir-materials/integrated-report/main/00/teaserItems1/01/linkList/0/link/ff_ir_2020_allj_a4.pdf)
いかがでしたか?
今回は、統合報告書を作成するべき理由と、構成に必要な要素を紹介しました。
この記事を参考に統合報告書を作成してみてください。