この記事は 10 分で読めます

購買行動プロセスの変遷を解説!現代のマーケティング戦略も紹介

URLをコピーする

購買行動プロセスの変遷を理解することは、効果的なマーケティング戦略を立案するにあたって重要です。この記事では、マスメディア時代からSNS時代へと移り変わる中での消費者行動の変化と現代のマーケティング戦略を解説します。

購買行動プロセスを理解する重要性

購買行動プロセスとは、消費者が商品やサービスを購入する際の心理的・行動的な段階を指します。

近年、インターネットの普及などにより顧客の購買行動プロセスが大きく変化しており、以前と比較して顧客に製品・サービスを購入してもらうことが難しくなっています。消費者の購買行動をより詳細に分析し、適切な宣伝やアプローチにつなげるために、購買行動プロセスを正しく理解することが重要です。

購買行動プロセスは時代とともに変化し、マーケティング研究や実践の中で、購買行動をパターン化した複数のモデルが提唱されています。本記事では、それらのモデルを4つの時代区分「マスメディア時代」「インターネット時代」「コンテンツマーケティング時代」「SNS時代」ごとに詳しく説明していきます。

1. マスメディア時代

マスメディア時代の購買行動プロセスの特徴は、情報が企業から消費者に一方的に伝達される点です。この時代、消費者は情報の受け手であり、企業や広告主がコントロールするメッセージによって製品・サービスについて知ることが一般的でした。

AIDA(アイダ)

AIDA(アイダ)は、マーケティングや広告の分野でよく使われる概念で、製品・サービスを購入するまでの顧客の心理的プロセスを表現します。

  • Attention(注意・認知)
    消費者が製品・サービスに注意を向ける段階
  • Interest(興味・関心)
    消費者が製品・サービスに興味を持つ段階
  • Desire(欲望)
    消費者が製品・サービスを欲しいと感じる段階
  • Action(行動)
    消費者が製品・サービスを購入する段階

AIDMA(アイドマ)

AIDMA(アイドマ)は、AIDAに「Memory(記憶)」のステップを加えた購買行動プロセスです。このステップは、消費者が製品・サービスを記憶し続けることの重要性を強調しており、情報過多の現代社会において、消費者の記憶に残るようなマーケティング施策の重要性を示しています。

  • Attention(注意・認知)
    消費者が製品・サービスに注意向ける段階
  • Interest(興味・関心)
    製品・サービスに興味を持つ段階
  • Desire(欲望)
    製品・サービスを欲しいと感じる段階
  • Memory(記憶)
    興味や関心を持った製品・サービスを、消費者が長期間に渡り覚えている段階
  • Action(行動)
    製品・サービスを購入する段階

AIDCAS(アイドカス)

AIDCAS(アイドカス)は、AIDMAモデルをさらに発展させたもので「Conviction(確信)」と「Satisfaction(満足)」の2つの段階を加えています。AIDCASは消費者が製品・サービスを深く理解し、それに基づいて購買決定を下すプロセスを詳細に示しており、マーケティングにおける顧客満足の追求を強調しています。

  • Attention(注意・認知)
    消費者の注意を引く段階
  • Interest(興味・関心)
    消費者の興味を引く段階
  • Desire(欲望)
    消費者が製品・サービスを欲しいと感じる段階
  • Conviction(確信)
    消費者が製品・サービスを購入する価値があると確信する段階
  • Action(行動)
    消費者が製品・サービスを購入する段階
  • Satisfaction(満足)
    消費者が購入した製品・サービスに対して満足感を得る段階

2. インターネット時代

インターネットの普及は、消費者の情報収集や意思決定プロセスに大きな変化をもたらしました。インターネット時代の購買行動プロセスでは、消費者が情報主体となり自ら情報を検索し、比較・検討するプロセスが強調されています。企業は、消費者が必要とする情報を提供し、ポジティブな購買体験を共有できるような環境を整えることが重要です。

AISAS(アイサス)

AISAS(アイサス)は、AIDAの「Attention(注意・認知)」Interest(興味・関心)」と「Action(行動)」の段階に、インターネット時代特有の要素として「Search(検索)」と「Share(共有)」を加えものです。

  • Attention(注意・認知)
    消費者の注意を引く段階
  • Interest(興味・関心)
    消費者の興味を引く段階
  • Search(検索)
    製品・サービスに関心を持った消費者が自ら情報を検索する段階です。この段階での情報の質が、購買行動に大きな影響をおよぼします。
  • Action(行動)
    消費者が製品・サービスを購入する段階
  • Share(共有)
    消費者が自身の購入体験や商品の口コミをオンラインで共有する段階です。他者の購買意思決定に影響を与えるため、ポジティブな情報を共有してもらうことが不可欠です。

AISCEAS(アイシーズ)

AISCEAS(アイシーズ)は、AISASに加えて「Comparison(比較)」とExamination(検討)」の段階を加えたものです。

  • Attention(注意・認知)
    消費者の注意を引く段階
  • Interest(興味・関心)
    消費者の興味を引く段階
  • Search(検索)
    製品・サービスに関心を持った消費者が自ら情報を検索する段階
  • Comparison(比較)
    消費者が複数の製品・サービスを比較する段階です。情報の理解と比較の容易さがポイントとなります。
  • Examination(検討)
    消費者が最終的な購入決定を下す前に、製品・サービスをじっくり検討する段階です。質の高い情報提供が求められます。
  • Action(行動)
    消費者が製品・サービスを購入する段階
  • Share(共有)
    消費者が自身の購入体験や商品の口コミをオンラインで共有する段階

3. コンテンツマーケティング時代

コンテンツマーケティングの時代は、情報の質と提供方法が消費者の購買プロセスに大きな影響を与えます。

DECAX(デキャックス)

DECAX(デキャックス)は、企業と消費者の関係構築を重要視したモデルです。

  • Discovery(発見)
    消費者が企業の提供する有益なコンテンツによって製品・サービスを発見します。
  • Engage(関係構築)
    さまざまなコンテンツに触れるうちに企業との関係構築へとつながります。
  • Check(確認)
    消費者は企業の製品・サービスが自分のニーズに合致するかを確認します。
  • Action(行動)
    確認を経て消費者は製品・サービスを購入します。
  • Experience(体験共有)
    購入後の体験や感想を消費者がコンテンツとして共有することで、他の潜在顧客への情報提供となります。

DECAXモデルにおいて重要なのは、単に製品・サービスを紹介するだけではなく、消費者にとって価値のあるコンテンツを提供し、それを通じて信頼関係を築くことです。この信頼関係が最終的に購買行動に繋がり、さらにはその体験が共有されることで、新たな顧客層へのリーチが可能となります。

MOT(モット)

MOT(モット)は、Moment of Truthの頭文字を取った言葉で、日本語では「真実の瞬間」と訳されます。企業、あるいは商品・サービスと消費者が接点を持つ瞬間のことを指します。企業はこれらの接点で良い体験を提供することが重要とされ、それぞれのMOTを戦略的に管理することが重要です。

MOTの具体的な段階は以下の通りです。

  1. FMOT (First Moment of Truth)
    顧客がブランドや商品を最初に認知する瞬間です。店頭で商品を見つけたり、広告を見たり、友人の口コミを聞いたりするときがこれにあたります。
  2. SMOT (Second Moment of Truth)
    顧客が実際に商品を手にし、使用する瞬間です。顧客は商品の質や性能を確認します。
  3. TMOT (Third Moment of Truth)
    顧客が商品を使用した後、ブランドとの継続的な関係を持つか判断する瞬間です。リピート購入や口コミ投稿などがこれにあたります。

ZMOT(ジーモット)

ZMOT(ジーモット)は、Zero Moment of Truthの頭文字を取った言葉で、日本語では「ゼロの瞬間」と訳されます。消費者が製品・サービスを購入する前に、インターネットで能動的に情報収集する瞬間を指します。

前述した購買行動モデル「MOT」では、消費者が店頭で製品を見て(FMOT)、その場で購入するか判断する(SMOT)というプロセスが想定されていましたが、ZMOTは「製品に触れる前にインターネットで情報収集を済ませている」とするモデルです。

ZMOTは消費者の購買プロセスにおける最初のタッチポイントとなるため、Webサイト・SNSでいかに情報発信を行うかが重要になってきます。

4. SNS時代

X(旧Twitter)やInstagramなどSNSの普及により、消費者同士が情報を共有し合う文化が生まれ購買行動に影響を与えるようになりました。SNS時代の購買行動モデルの多くは2010年以降に登場し、現代の消費者心理を反映しています。

VISAS(ヴィサス)

VISAS(ヴァイサス)は、消費者がSNS上で製品・サービスについて知り、影響を受けて共感し、購買行動に至るまでのプロセスを表します。

  • Viral(口コミ)
     製品・サービスに関する情報が、SNSを通じて自然に広がる段階です。消費者が友人やフォロワーに共有することで、信頼性の高い情報源となります。
  • Influence(影響)
    SNS上でのインフルエンサーや友人の推薦が、消費者の意思決定に大きな影響を与えます。信頼できる人物からの推薦は、購買意欲を高める効果があります。
  • Sympathy(共感)
    製品・ブランドの価値観に消費者が共感し、購買決定につながる段階です。共感を生むコンテンツの作成が重要です。
  • Action(行動)
    消費者が商品を購買する段階です。SNS上でのプロモーションや特典の提供が購入を後押しします。
  • Share(共有)
     購入した製品・サービスに関する体験を、SNS上で共有する段階です。

SIPS(シップス)

SIPS(シップス)は、SNSを活用した購買行動モデルで、「購買」をゴールと捉えず、消費者がSNSで製品やブランドに対する体験や意見を共有することをゴールに据えているのが特徴です。

  • Sympathize(共感する)
    商品やブランドに対して共感する段階です。共感を得るために、ブランドストーリーや価値観の共有が重要になります。
  • Identify(確認する)
    共感した後、商品の詳細や評判を確認する段階です。有益な情報を提供することで信頼関係の構築につながります。
  • Participate(参加する)
    SNS上での「いいね!」やコメントなど、消費者が積極的に参加する段階です。参加を促すためには、顧客満足度を高めるコンテンツ提供が必要です。
  • Share & Spread(シェア&拡散する)
    消費者が自らの体験や意見をSNSで共有し、情報を拡散する段階です。良い体験の共有は、新たな消費者の関心を引きつけるきっかけとなります。

ULSSAS(ウルサス)

ULSSAS(ウルサス)は、消費者自身がSNSに投稿したコンテンツを通じて製品・サービスを認知・検索・購入、そしてその体験を拡散するまでのプロセスを表します。

  • User Generated Contents(ユーザー投稿コンテンツ)
    消費者自身が作成し、SNSで共有するコンテンツを通じて商品やサービスが認知される段階です。
  • Like(いいね!)
     SNSでの「いいね!」や、商品に対する関心を示す段階です。
  • Search1(SNS検索)
     興味を持った製品・サービスについて、SNS内外で情報を検索する段階です。
  • Search2( 検索エンジン検索)
    興味を持った製品・サービスについて、GoogleやYahoo!などの検索エンジンを使い検索する段階です。
  • Action(行動)
    情報収集後、実際に商品やサービスを購入する段階です。
  • Spread(拡散)
    購入体験や商品の評価をSNSで共有し、さらに情報を拡散させる段階です。

現代の購買行動プロセスに対するマーケティング戦略

マルチチャネルを活用する

現代の消費者は、実店舗とオンラインショップといった風に、複数のチャネルを通じて製品・サービスに触れます。このため、企業はオンライン(Webサイト、SNS)、オフライン(実店舗、イベント)の両方で一貫した顧客体験を提供する必要があります。

例えば、店頭で購入した商品をSNSに投稿すると、次回割引クーポンがもらえるなどのキャンペーンが考えられます。

SNSを活用する

SNSは消費者が情報を共有し、意見を発信する場として利用されます。企業はSNSでのインフルエンサーを用いたキャンペーンやユーザーが発信するコンテンツを活用して、ブランドの信頼性を高められます。

具体的には、新商品のローンチ時に顧客に製品を使用した内容を投稿してもらい、それをブランドの公式アカウントでシェアすることが挙げられます。

最新技術を活用する

AI・VR・AIなどの最新技術を活用することで、より効果的な購買プロセスを提供することができます。

例えば、家具を購入する前に、ARによって実際の部屋に配置したときのイメージを見ることができます。これにより、店舗に行って実物を見ずとも配置スペースに収まるかを確認できたり、インテリアにマッチするかを検討できたりします。

 

最後に、効果的な見込み客獲得のために、ぜひ弊社が提供する営業リスト作成ツール「Musubu」をご活用ください。 業界や企業規模、設立年月から現在求人を出している企業まで、細かなセグメントでのリスト作成が可能です。
営業リスト作成ツール「Musubu」の詳細をみる

 

 

監修

Baseconnect株式会社 マーケティングチーム マネージャー

河村 和紀(かわむら かずき)

大手人材紹介会社に新卒入社。その後、Webメディア「ferret」を運営する株式会社ベーシックに入社。営業、営業企画、イベントマーケを経て、マーケティングマネージャーに就任。
2022年、Baseconnect株式会社に参画。イベントを中心とした、ユーザーとのコミュニケーション領域を管轄する。

主な寄稿実績『マーケター1年目の教科書』、『MarkeZine(マーケジン) vol.66

 

合わせて読むならコチラ

2018-05-18 10:55:19

「潜在顧客」と「見込み顧客」の違いは?最適なアプローチを理解しよう

2019-01-08 10:00:34

【ビジネス向け】日程調整メールの書き方と状況別のテンプレを紹介

2020-02-03 16:54:06

テレアポが成功しやすい時間帯・時期って?業種別に解説します

2020-04-02 16:04:27

マーケットシェア(市場占有率)とは?意味や種類を簡単解説!

マーケティングおすすめの記事

2020年7月22日

【マーケティングに必須】市場分析とは?フレームワークも併せて紹介

2020年4月28日

製品戦略(プロダクト戦略)とは?具体的なフレームワークも紹介

2018年8月1日

無料のマーケティングオートメーション(MA)ツール4選!簡単に使いこなそう