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「2025年の崖」とは?ITの変革失敗による問題と克服方法を解説

「2025年の崖」という言葉をご存知でしょうか?
この記事では、言葉の意味だけでなくITの変革失敗で生じる問題の克服方法も解説します。

「2025年の崖」とは、既存のITシステムを変革できなかった場合に経済損失が生じる問題のこと

「2025年の崖」とは、経済産業省が2018年に発表したDX(デジタル・トランスフォーメーション)に関するレポートの中で用いられた言葉です。

そもそもDXとは「ITの浸透が、人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させる」という概念です。経済産業省が2018年に発表したガイドラインにおいては「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」と定義されています。

企業が成長し競争力を強化するためにはDXが必要になりますが、DX実現にあたっては障害が山積しています。

DX実現における障害が克服できないと、2025年から2030年までの5年間で最大12兆円/年の経済損失が生じる可能性がある、というのが「2025年の崖」です。

出典:経済産業『DXレポート ~ITシステム「2025年の崖」克服とDXの本格的な展開~』(https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/digital_transformation/20180907_report.html

経済産業省「デジタルトランスフォーメーションを推進するためのガイドライン」(https://www.meti.go.jp/press/2018/12/20181212004/20181212004-1.pdf

DX実現における障害

既存のITシステムが複雑化・ブラックボックス化している

現状では、部署ごとに最適化されたシステムをバラバラに利用していたり、システムに過剰なカスタマイズがされていたりすることが多々あります。そのため、独自のノウハウが何らかの理由で消失すると、既存のITシステムがブラックボックス化してしまう可能性があります。

また、既存のシステムが利用できている間は、そのシステムが抱える問題に気付きにくいです。問題に気付いたとしても、根本的な解決には長時間と多額の費用、そして失敗のリスクが伴います。その結果、正常に稼働している間はITシステムの問題解決は先送りにされてしまうのです。

経営者側と現場側でDXへの意識が異なる

多くの経営者はDXの必要性を理解しており、ITシステムの全体最適化・標準化を試みることもあります。しかし、事業部ごとに最適化されたシステムをバラバラに利用しているケースは多く、現場側が標準化に抵抗してDXが進まないことがあります。

ユーザー企業がベンダー企業頼りになっている

ユーザー企業はIT人材が不足していることが多く、ベンダー企業に頼らざるを得ない状況にあります。システムに必要な機能や要求をまとめる段階からベンダー企業が請け負う、という丸投げも少なくありません。

また、業務委託の契約においてユーザー企業とベンダー企業の責任関係が不明確なことがあります。その結果、訴訟などのトラブルにつながることもあり、多くの時間と費用がかかってしまいます。

こうしたユーザー企業とベンダー企業の関係性が、DX推進を妨げる障害になっています。

ITを担う人材が不足している

少子高齢化の影響もありIT人材の不足は深刻です。経済産業省のレポートによれば、2025年には約43万人のIT人材が不足すると予測されており、DX実現に必要な人材の確保が難しくなります。

また、既存のシステムを構築した人の多くはベテラン層になっており、今後退職などで減少すると考えられます。さらに、若い人材を雇用しても、老朽化したシステムの保守に魅力を感じられずに離職してしまうという実態があります。
そのため、既存システムを保守・運用する人材が不足してしまい、セキュリティ上の問題やシステムトラブル、データ消失が起こるリスクが高まります。

「2025年の崖」を乗り越えるには

既存のシステムの現状と問題点を明確にする

経営者がDXの必要性を認識し、ITシステムの現状と問題点を把握することが必要です。その上で不要な機能を廃棄し、細分化して段階的にシステムを刷新していきます。

経済産業省がDXのための評価指標として「DX推進指標」を作成しているので、このような指標も活用してみましょう。
出典:経済産業省「デジタル経営改革のための評価指標(「DX推進指標」)を取りまとめました」(https://www.meti.go.jp/press/2019/07/20190731003/20190731003.html

DXで目指すゴールを共有する

新たなIT技術を導入しビジネスモデルの変化に迅速に追従できるシステムを構築することが、DXで目指す目標です。こうした目標を経営者、事業部、IT部門などの関係者全てで共有して、DXを推進できる体制を構築することが必要です。
DXで目指すゴールが十分に共有できていないと、目指していたものとは異なるシステムになってしまったり、部署ごとにバラバラに刷新されたりする可能性があります。その結果、刷新したシステムも既存システムと同様に複雑化・ブラックボックス化といった問題を抱えてしまいます。

ユーザー企業とベンダー企業の契約関係を再構築する

DXを推進するには、既存システムの再構築を想定して契約を見直す必要があります。

また、トラブルが生じた際に対応できるよう、裁判外紛争解決(ADR)の活用が推進されています。契約においても、トラブル発生時にはADRを活用する旨をあらかじめ盛り込んでおくとよいでしょう。

DXを担う人材を育成・確保する

IT人材の深刻な不足が予想されているため、DXを担う人材を育成し確保することが重要です。
既存システムの保守・運用に割いていた人員をDXに関連する分野にシフトすることで、すでにいるIT人材を活かせます。

また、システムやソフトウェアの開発においては、システムを小単位に区切って実装とテストを繰り返す「アジャイル開発」という手法が用いられることがあります。このアジャイル開発を実践することで、事業部の人材でもIT開発の手法を学べるためIT人材へと育成できます

さらに、大学を含めた産学連携によってもIT人材を育成できます。自社のプロジェクトを大学とともに取り組むことで、AIやデータ活用といったスキルを実践的に獲得できます。

DX人材については、以下の記事も参考にしてみてください。

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まとめ

「2025年の崖」とは、DXが実現できなかった場合に巨額の経済損失が生じる問題のことです。「2025年の崖」を回避するには、既存システムの現状把握と刷新、DXで目指すゴールの共有、人材育成といった対応が重要です。DXを進める際には、この記事を参考にしてみてください。

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