DaaSの基本知識｜VDIとの違いや3つのタイプについて解説

DaaSという言葉を聞いたことはありますか？
これは、コンピューターのデスクトップ環境を拡張する「仮想デスクトップ」の一形態です。

今回はDaaSについて、混同されやすいサービスであるVDIとの違いとあわせて解説します。

Daasとは、クラウド上の仮想デスクトップを利用できるサービスのこと

DaaS（Desktop as a Service）とは、クラウド上に構築された仮想デスクトップを利用できるサービスのことです。仮想デスクトップとはPCのデスクトップ環境を拡張するサービスであり、DaaSはその一形態です。

通常は個人のPCにデスクトップ環境が存在しますが、DaaSではクラウド上にデスクトップ環境が存在し、ネットワークを通じてそれを使用することになります。これにより、次のようなメリットが得られます。

• ネットワーク環境があれば、ディスプレイやモニターなど最低限の機器だけでデスクトップ環境を利用できる
• 個人のPCにデータが保存されないため、PC紛失時の情報漏洩リスクが低下する

一方で、DaaSには次のようなデメリットもあることに注意しましょう。

• 同一クラウドに多くのユーザーが接続すると、動作が遅くなる場合がある
• DaaSを提供している事業者側のサービスやサーバーに不具合が生じると、接続しているPCすべてに影響が及ぶ
• 他社と共通のクラウドを利用している場合、セキュリティ面でのリスクがある

IaaS・SaaS・PaaSとの違い

DaaSと混同されやすいサービスに、IaaSやSaaS、PaaSといったものがあります。これらはクラウドを利用している点で共通していますが、それぞれ次のような違いがあります。

IaaS （Infrastructure as a Service）	クラウド環境に存在するサーバーやネットワークなどのインフラ環境を利用できる
SaaS （Software as a Service）	クラウド環境に存在するソフトウェアを利用できる
PaaS （Platform as a Service）	クラウド環境に存在するプラットフォーム（＝アプリケーションの動作環境）を利用できる

VDIとは、自社のサーバー内にデスクトップ環境を構築するもの

DaaSと混同されやすい仮想デスクトップサービスに、VDIがあります。VDI（Virtual Desktop Infrastructure）とは、自社のサーバー内にデスクトップ環境を構築するサービスです。これに対し、DaaSでは事業者が提供するクラウド上にデスクトップ環境が構築されます。

DaaSとVDIの違い

DaaSとVDIの最大の違いは、デスクトップ環境が構築される場所です。DaaSでは、事業者がクラウド上にデスクトップ環境を構築し、それを使用します。これに対し、VDIでは自社で所有するサーバー内にデスクトップ環境を構築します。

これによって、DaaSとVDIでは異なるメリットが存在します。

DaaSは、仮想デスクトップの場所によって3つに分類される

DaaSは、仮想デスクトップがクラウド上のどこに構築されるかによって3つのタイプに分けられます。

プライベートクラウドDaaS

プライベートクラウドDaaSとは、DaaS事業者がユーザー企業専用に構築したクラウド環境から提供されるDaaSサービスです。

カスタマイズ性が高く、クラウド環境も独立しているため高いセキュリティ性能を持っています。ただしその反面、運用には専門的なスキルが必要になり、コストも高くなります。

パブリッククラウドDaaS

パブリッククラウドDaaSとは、パブリッククラウド（＝インターネットを通じて不特定多数のユーザーが利用できるクラウド環境）上に構築された仮想デスクトップを利用する形のDaaSサービスです。

サービス利用にかかる費用は3種類の中で最も安価ですが、同じクラウド環境を不特定多数の企業が利用する可能性があるため、他のDaaSサービスと比べるとセキュリティ面で劣ります。

バーチャルクラウドDaaS

バーチャルクラウドDaaSとは、DaaS事業者がIaaSやPaaS上で仮想デスクトップを構築して提供するDaaSサービスです。

完全に独立したクラウド環境が存在するわけではありませんが、不特定多数のユーザーと環境を共有することもありません。カスタマイズ性も高く、コストやセキュリティ性能など多くの面でプライベートクラウドDaaSとパブリッククラウドDaaSの中間くらいの立ち位置です。