「カスタマーエクスペリエンス(CX)」という言葉を聞いたことはあっても、詳しい意味は知らないという方もいらっしゃるのではないでしょうか。
この記事では、カスタマーエクスペリエンスの意味や向上させる方法・メリットについて解説します。
目次
カスタマーエクスペリエンス(CX)とは、商品・サービスを利用した際に感じる心理的・感覚的な価値観のこと
カスタマーエクスペリエンスはCXと略されることもあり、日本語では「顧客経験」「顧客経験価値」とも言われます。
カスタマーエクスペリエンスは、顧客が商品・サービスを購入する際の体験のみならず、購入する前の対応から購入後のサポートまでを通した体験全体のことを指します。カスタマーエクスペリエンスの考え方は、企業側が顧客に提供した体験のことではなく、顧客視点での体験のことを指しているため、捉え方には注意が必要です。
カスタマーエクスペリエンスの分類
カスタマーエクスペリエンスは、以下のように分類することができます。カスタマーエクスペリエンスを向上させるためには、この分類を押さえておく必要があります。
- 感覚的経験価値
視覚・聴覚・味覚・触覚・嗅覚といった五感を通じて感じる価値を指します。
(例)BGMや香り、居心地のよさ - 情緒的経験価値
丁寧な接客や気配りなどによって、顧客の内側にある感情に働きかけることで生まれる価値を指します。
(例)リゾートホテルやテーマパーク - 創造的・認知的経験価値
顧客の知的好奇心を満たしたり、探求心を刺激したりすることで生まれる価値を指します。
(例)最先端の技術を用いた商品・サービス - 肉体的経験価値とライフスタイル
顧客のライフスタイルに変化を起こすことで生まれる価値を指します。これは、便利さ・快適さと言い換えることができます。
(例)スマートフォンのアプリやロボット掃除機 - 帰属集団・文化への関連づけ
帰属意識による特別感によって生まれる価値を指します。
(例)アーティストのファンクラブやスポーツチームのグッズ
ユーザーエクスペリエンス(UX)との違い
カスタマーエクスペリエンスと間違われやすい用語に、ユーザーエクスペリエンス(UX)があります。UXは、顧客が商品・サービスを利用した際に得られる体験・印象のことを指します。UXでは、商品購入前・購入時・購入後といったように、個々の体験が複数生じるのが特徴です。
つまり、UXは個々の体験を指す用語で、CXは顧客が商品・サービスの利用を通じて受けた体験全体を指す用語です。このことから、両者の異なる点は体験の対象数にあり、CXはUXを融合したものと考えることができます。
UXについては、この記事で詳しく説明しています。
カスタマーエクスペリエンス向上によるメリット
リピーターの獲得
カスタマーエクスペリエンスが優れている企業は、リピーターの獲得率が高いというデータがあります。顧客にとって満足度の高い商品・サービスを提供し、「また利用したい」と思ってもらうことは、企業や商品・サービスを継続的に利用してくれるリピーターの獲得に直結します。
ブランド乗り換えの防止
顧客に対して満足のいくエクスペリエンスを提供できなければ、競合への乗り換えは避けられません。
一度離れてしまった顧客を取り戻すことは容易ではなく、企業にとっても大きな痛手となります。
また、カスタマーエクスペリエンスを向上させることは、ブランドのイメージアップにも効果的です。ブランドのイメージアップにより、顧客は最初に購入した商品・サービスだけでなく、同じブランドを積極的に購入するようになります。
このように、カスタマーエクスペリエンスを向上させることは、顧客の満足度を高め、ブランド乗り換えの防止やイメージアップにつながります。
口コミによる宣伝効果
新規顧客の獲得には、既存顧客の維持と比較して5倍のコストがかかるといわれています。しかし、いくらコストがかかるからといっても、事業の拡大・成長に新規顧客の獲得はかかせません。
カスタマーエクスペリエンスを向上させると、既存顧客の口コミによる宣伝効果が期待できます。既存顧客の口コミを利用することにより、コストをかけずに自社の商品・サービスの存在を広めることができます。
カスタマーエクスペリエンスを向上させる方法
1. ミッションステートメントを作成する
ミッションステートメントとは、企業全体が共有するべき価値観や行動指針などを文章化したものです。抽象的な経営理念を具体的な行動指針に落とし込んだものともいえます。
ミッションステートメントを作成することで、上で紹介したカスタマーエクスペリエンスの分類のうち、どの顧客経験価値に力を入れるべきかをはっきりさせることができます。
ミッションステートメントの作成は、企業や商品・サービスに対する顧客の信頼や愛着を得る上でも効果的です。ミッションステートメントを理解してもらうことは、企業全体として商品・サービスの価値を高めることはもちろん、顧客が利用するきっかけにもなります。
ミッションステートメントについては、この記事で詳しく解説しています。
2. 顧客プロファイルを作成・管理する
顧客プロファイルとは、顧客の購買履歴から購買傾向・特性をまとめたデータファイルのことをいいます。
顧客プロファイルを作成し、顧客への理解が深まることで、効果的なアプローチが可能になり、カスタマーエクスペリエンスの向上につながります。顧客プロファイルには、年齢や性別といった属性だけでなく、ソーシャルメディアや動画、位置情報などのデータも取り入れた上で、複数のチャネル間で連携させることが重要です。
顧客プロファイルの運用には、継続した維持管理が必要です。適切な価値を提供するために、常に最新のデータを維持するよう心がけましょう。
3. 顧客一人ひとりに合わせた対応を実施する
顧客プロファイルをもとに、それぞれの顧客の興味関心に合わせて、対応をパーソナライズしましょう。
顧客のライフスタイルに応じた適切なオファーやおすすめ情報など、柔軟な情報発信を心がけることが重要です。パーソナライズを的確に行うことができれば、ブランドロイヤルティの向上につながります。
4. カスタマーエクスペリエンスの分析・改善を行う
実施した内容の分析を行い、有効であったかを検証しましょう。この時、商品・サービスの検討、購入の決断、購入後の利用体験など、各段階で分けて行う必要があります。分析ができたら、段階ごとの課題を洗い出し、具体的な改善を図りましょう。
いかがでしたか?カスタマーエクスペリエンス(CX)は、顧客が商品・サービスを購入する前の対応から購入後のサポートまでを通した体験全体のことを指します。この記事の内容を参考に、CXの向上に取り組んでみましょう。
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