監査報告書をどのように作成するのか、どのような内容を記載するのか分からないという方もいらっしゃるのではないでしょうか。
今回は、監査報告書における意見の種類や監査報告の流れ、記載内容を紹介します。
監査報告書とは、企業の財政状態や経営状態に対して、監査役が意見を表明する書類のこと
監査報告書は、企業が作成した財務諸表に対して監査役が意見を表明したもので、財政状態や経営状態が基準と照らし合わせ、適正であるかを判断する際に利用される書類です。監査役は、貸借対照表や損益計算書、有価証券報告書などの計算書類や事業報告書類など社外に公開する書類を監査し、監査報告書を作成します。この監査報告書を基に、投資家は投資をするかどうかといった判断を行います。
監査報告の流れ
監査報告は、以下の流れで行われます。
- 経理担当者が貸借対照表や損益計算書などの財務諸表、事業報告書やこれらの附属する明細書の作成
- 会計監査人による会計監査
計算書類の監査を担当
企業の役員ではなく公認会計士の資格が必要
- 監査役(監査役会)による財務諸表や事業報告書の監査
計算書類の監査に加え、取締役・会計監査人の業務の監査を担当
資格の有無は関係なく企業の役員が勤める
- 取締役会による計算書類、事業報告やこれらの附属する明細書の承認
- 定時株主総会の中で承認
監査報告書の記載内容
監査報告書には以下の内容を記載します。
- 監査意見
財務諸表の年度、種類を記載し「適正か」「不適正か」4つの監査意見のいずれかを記載する
無限定適正意見(=「計算書類等が適正に表示されている」という意味の意見)が付されることが多い
ページの下記で意見の種類について解説します - 監査意見の根拠
どのような監査基準に基づき監査意見を表明したのか、監査の根拠を十分に入手したのかなど監査意見に対する根拠を記載する
※2021年3月期の有価証券報告書から義務化されている - 監査上の主要な検討事項
監査の過程でリスクがあると判断し協議した項目のうち、特に重要であると判断した項目を記載する - 財務諸表に対する経営者、監査役、監査人の責任
財務諸表作成の責任は経営者にあり、監査役は監査においての責任のみ負うことを記載する - 利害関係
企業と監査役に利害関係がないことを明確にするために記載する
監査意見の種類
監査役が監査報告書で表明する意見の種類は、以下の4つに分類されます。
- 無限定適正意見
一般に公正妥当と認められる会計基準によって「計算書類等が適正に表示されている」と監査報告書に記載する監査意見 - 限定付適正意見
一部に不適切な事項があるものの、財務諸表全体にそれほど大きな影響を与えていないと判断された場合、該当する不適切事項を記載したうえで「その事項を除き計算書類が適正に表示されていること」と監査報告書に記載する監査意見 - 不適正意見
一部に不適切な事項があり、財務諸表全体に大きな影響を与えていると判断された場合、不適切な事項を記載したうえで「計算書類等が適正に表示されていない」と監査報告書に記載する監査意見 - 意見不表明
監査手続きが実施できず十分な監査証拠が入手が困難な場合、理由とともに「計算書類等が適正に表示されているか意見表明しない」と監査報告書に記載する監査意見
基本的には「無限定適正意見」が表明される場合が多いですが、それ以外の意見が表明された際は、不適切な事項を社外へ公表していることになるため信頼の低下につながります。また、「無限定適正意見」以外を表明する場合、監査人はその理由を分かりやすく説明することが求められます。
監査報告書の提出期限
監査報告書の提出期限は、会社法において以下のように定められています。
以下のうちいずれか遅い日(計規130 条第1項 1号)
イ)計算書類の全部を受領した日から4週間を経過した日
ロ)計算書類の附属明細書を受領した日から1週間を経過した日
ハ)特定取締役、特定監査役及び会計監査人の間で合意により定めた日
以下のうちいずれか遅い日(計規132 条第1項1号)
イ)会計監査報告を受領した日から1週間を経過した日
ロ)特定取締役、特定監査役の間で合意により定めた日があるときは、その日
いかがでしたか?
今回は、監査報告書に記載する監査意見の4つの種類と監査報告の流れ、記載内容を解説しました。この記事を参考に、監査報告書の作成に役立ててみてください。
まずはこれだけ。新規開拓営業を始める時の心得
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