顧客体験（CX）とは｜5つの分類と向上させる方法を解説します

顧客体験という言葉をご存知ですか？

顧客と企業との関係性を築くために、注目を集めているマーケティング方法です。今回は、顧客体験の意味と向上させる方法を解説します。

顧客体験とは、顧客が経験する商品購入前からアフターサポートまでの全ての体験のこと

顧客体験とは、商品・サービスを知った時から購入後までの、企業とのすべての接点での顧客の体験を指し、カスタマーエクスペリエンス（CX）とも呼ばれます。

顧客と企業の接点には以下のようなものが挙げられます。

これらの接点において顧客が「価値があった」と感じられて満足できれば、優れた顧客体験を提供できたと言えます。

顧客体験から得られる5種類の価値

顧客体験の概念を提唱したアメリカの経済学者、バーンド・H・シュミット氏は、顧客体験を通して得られる感情的な価値を指す「経験価値」を以下の5つに分類しています。

• 感覚的価値
  視覚・聴覚・味覚・嗅覚・触覚といった、五感によって得られる価値
• 情緒的価値
  顧客の感情や内面に働きかけることで生まれる価値
• 創造的・知的価値
  顧客の探究心や好奇心に訴えかけることで生まれる価値
• 行動やライフスタイルに関わる価値
  今までにない体験や新しいライフスタイルを提供することで生まれる価値
• 帰属集団・文化に関わる価値
  特定の集団に帰属することで得られる価値

顧客体験が重要視されている理由

顧客体験が重要視されている背景には、スマートフォンなどのIT機器の普及により、以前より情報の取得や活用技術が発達したため、企業と顧客の接点が増加したことが考えられます。また、商品やサービス自体の差別化が難しくなったことも顧客体験が重要視されている理由として挙げられます。

顧客体験を向上させる方法

1. 現状の顧客体験を整理する

顧客体験を向上させるためには、まず最初に現状の商品・サービスに対する顧客体験を整理する必要があります。そのためには、「カスタマージャーニーマップ」を作成するのが一般的です。これは、どのような顧客と、どのような接点があるのか、時系列に沿って顧客の購買行動や思考プロセスの細分化・視覚化を行うものです。

また、カスタマージャーニーマップを作成する際には、見込み客がどのような気持ちで商品を探し、どのような目的を達成しようとしているのかなど、顧客の状況を具体的に考えることで自社と顧客との接点を知ることができます。

カスタマジャーニーマップの詳細は、以下の記事をご参照ください。

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2. 顧客の評価を調査・分析し、課題を明確にする

次に、作成したカスタマージャーニーマップをもとに顧客の評価を調査・分析します。サイトへのアクセス解析やユーザーレビューのほか、「NPS（ネットプロモータースコア）」を用いて、顧客が抱いている商品・サービスへの愛着や信頼がどのくらいあるのか定量的に測ることが大切です。

また、顧客の評価が分析できたら、顧客体験の5つの分類にもとづき、どこで顧客との接点を持てていないかを把握し、どのような課題があるのかを明確にします。

NPSについての詳細は、以下の記事をご参照ください。

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3. 課題を解決するための仮説を立案し、実行する

課題を明確にできたら、どのような改善策が考えられるのか仮説を立て施策を立案し実行します。その際、施策が商品全体に及ぶようにして、顧客体験の5つの分類をもとに考えるようにしましょう。例えば、感覚的価値における接点が弱いと考えられる場合は、メールマガジンのコンテンツの見直しやウェビナーの開催などを行い、顧客との接点を改善します。

また、仮説を立て実行したら必ず検証を行う、というサイクルを回しながら顧客の変化を確認することが重要です。この際に必ずNPSなどを用い定量的に検証を行いましょう。

顧客体験を向上させるには、全社で取り組む必要がある

顧客体験を向上させるには、商品・サービスすべてに関わる顧客体験の5つの分類について考え取り組むことが重要です。例えば、どれだけよい商品・サービスを用意し購買につながったとしても、購入後のアフターサポートが無かったり、問い合わせても窓口の対応が悪かったりすると、顧客体験全体の評価が下がってしまいます。

商品開発やマーケティングなど一部の部署だけでなく、全社で施策を実行し顧客体験を向上させましょう。さらに、部署をまたぐ施策を行う場合には、部署間の連携をとり施策を進めるようにしましょう。