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コトラーのマーケティング2.0│フレームワーク「STP分析」も解説
「マーケティング2.0」と呼ばれるマーケティング理論をご存知でしょうか?
これは、経営学者のコトラーが時代ごとに提唱してきたマーケティング理論のひとつで、現代でも重要な意味を持っています。
今回はマーケティング2.0について、重要なフレームワーク「STP分析」もあわせて解説します。
目次
マーケティング2.0とは、「消費者志向」のマーケティング理論のこと
マーケティング2.0とは、主に1970年代〜1980年代に主流であった、「消費者志向」のマーケティングのことです。アメリカの経営学者フィリップ・コトラーが提唱しました。ここでの「消費者志向」とは、消費者を満足させるためのマーケティングを指します。
マーケティング2.0が登場した背景
マーケティングの始まりとされる1900年代から1960年代までは、産業革命を契機とした大量生産・大量消費の時代でした。需要が供給を大きく上回っており、安価な製品を大量に売ることを目的とした「製品中心」のマーケティングが行われていました。
しかし1970年代に入ると、次のような理由から「製品中心」のマーケティングが通用しなくなります。
1. 技術の発達と市場の価格競争の激化
技術が発達し、安価な製品を大量に生産することが容易になりました。また、市場には似たような製品が出回るようになったこともあり、価格面での差別化が困難になりました。その結果、安価な製品を大量に売るというマーケティング1.0は通用しなくなりました。
2. 消費者と生産者のパワーバランスの変化
経済が比較的豊かになった1970年代では、市場に似たような製品が溢れていることもあり、安いものを買うのではなく、主体的に自分が買いたいものを選ぶようになりました。その結果、安く作れば売れるという大量生産・大量消費の時代が終わりを迎えました。
このような背景から、マーケティングにおいては、製品を安く作ることではなく消費者を満足させることを重視したマーケティング(=マーケティング2.0)が重要になったのです。そうして、消費者のニーズを意識したマーケティング戦略が求められるようになりました。
マーケティング2.0とともに提唱されたSTP分析
マーケティング2.0の時代では、消費者のニーズを意識してアプローチ方法を考えることが必要になりました。そのために用いられたフレームワークが「STP分析」で、現代でもマーケティングの基礎的な理論として位置付けられています。
STP分析もコトラーが提唱したフレームワークで、セグメンテーション・ターゲティング・ポジショニングの3つの軸からマーケティング戦略を考えます。細分化した市場ごとに消費者を捉えることで、消費者のニーズに合ったマーケティングが可能になります。
Segmentation(セグメンテーション)
セグメンテーションとは市場の細分化を指します。市場には様々な消費者が存在しているため、複数の軸によって市場を分割することで「市場にどのような消費者が存在するか」を把握する必要があります。これによって、自社がどのような消費者をターゲットとするべきかを考える基盤ができます。
セグメンテーションの軸としては、次のようなものが考えられます。
- デモグラフィック属性(人口統計学的属性):性別、年齢、職業、年収、家族構成など
- サイコグラフィック属性(心理学的属性):価値観、性格、趣味、購買の動機など
- ジオグラフィック属性(地理学的属性):居住地域、住居の形態、文化、行動範囲など
- ビヘイビアル属性(行動学的属性):過去の購買行動、購買履歴など
Targeting(ターゲティング)
ターゲティングとは、セグメンテーションによって細分化した市場の中でどこを狙うべきかを決定することを指します。ターゲティングを行う際の判断基準のひとつとして、次の6つの要素からなる「6R」というものがあります。
1. Realistic scale(有効な規模):市場規模が適切か
2. Rate of growth(成長率):成長する市場であるか
3. Rival(競合):競争が激しくないか
4. Rank(優先順位):消費者にとって優先順位が高いか
5. Reach(到達可能性):ターゲットにアプローチできるか
6. Response(測定可能性):消費者の反応を測定できるか
Positioning(ポジショニング)
ポジショニングとは、ターゲットとして選択した市場においてどのようなポジションを狙うかを決めることです。言い換えれば、同一の市場をターゲットとしている競合に対してどのように差別化を行うかを考えることになります。
ポジショニングの軸としては、価格帯や品質・機能、デザインといったものが考えられます。
STP分析については、次の記事も参考にしてみてください。
現在までに4.0までのマーケティング理論が提唱されている
コトラーの提唱したマーケティング理論は、マーケティング1.0や2.0だけではありません。コトラーは時代ごとにマーケティングのあり方を理論化しており、現在では4.0までのマーケティング理論が提唱されています。
- マーケティング1.0:製品中心
1900年代〜1960年代の、安価な製品を大量に売ることを目的としたマーケティング - マーケティング2.0:消費者志向
1970年代〜1980年代の、消費者のニーズを満たすことを目的としたマーケティング - マーケティング3.0:価値主導
1990年代〜2000年代の、社会問題の解決といった製品以外の価値の提供を目的としたマーケティング - マーケティング4.0:自己実現
2010年代以降の、顧客の自己実現欲求を満たすことを目的としたマーケティング
コトラーの提唱したマーケティング理論の変遷については、次の記事も参考にしてみてください。
いかがでしたか?
マーケティング2.0は消費者志向のマーケティング理論で、セグメンテーション・ターゲティング・ポジショニングの3つの軸による「STP分析」とともに現代でも重要な考え方となっています。
この記事を参考に、マーケティング2.0についての理解を深めましょう。
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