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ビジネスにおける「させていただく」の正しい使い方とは
「させていただく」の正しい使用方法をご存知ですか?
丁寧な表現としてついつい多用している方も多いではないのでしょうか。
今回は正しい「させていただく」の使用方法や、誤用を防ぐためのポイントをご紹介します。
目次
「させていただく」の正しい用途
文化庁が発表した「敬語の方針」によると、「させていただく」は
- 相手もしくは第三者の許可を得ている
- そのことによって恩恵を受けるという事実や気持ちがある
の2つの条件を満たしている場合に使うことができます。
例えば、相手の許可を得た上で自分が参加したいと思っていた食事会に参加する際は、「本日の食事会に参加させていただきます」という表現を用いることができます。その一方で、以下のような使い方は間違った「させていただく」の使い方です。
- 司会を務めさせていただきます〇〇です。
- それでは、〇〇について発表させていただきます。
- 体調がすぐれないので早退させていただきます。
以上の例は誰かに許可を得て行う行為ではなく、自分が恩恵を受けている訳ではないので、この場合に「させていただきます」を使うと必要以上にへりくだった表現のように感じられ、違和感が残ります。1の例は、重要な会議などで司会として指名され、名誉に感じている際は適切ですが、自社が主催する説明会などで司会を務める際は不適切と感じられてしまう可能性があります。また、3の例は許可を求めているわけでなく、早退することを一方的に宣言しているように感じられてしまうため、避けましょう。
「させていただく」を含む二重敬語に注意する
敬語を使用する際に注意しなくてはならないのが、二重敬語です。二重敬語とは、「謙譲語+謙譲語」「尊敬語+尊敬語」のように、敬語にさらに敬語を重ねていることであり、敬語表現として誤りです。
例えば、「拝見させていただく」は、「見る」の謙譲語である「拝見」に、「させてもらう」の謙譲語である「させていただく」を組み合わせているため、二重敬語と捉えられてしまう可能性があります。人によっては正しい敬語とする人もいますが、気になる場合は、「拝見します」「読ませていただきます」とすると無難でしょう。
「させていただく」の誤用を防ぐためのポイント
「いたします」を代わりに使用する
「させていただく」を使用するのが適切でない場合は、「いたします」で代用すると誤用を防げる場合があります。
- 発表させていただきます → 発表いたします
- 休業させていただきます → 休業いたします
「さ入り言葉」は使用しない
「させていただく」を使用する際は、不要な「さ」を入れてしまう、いわゆる「さ入り言葉」に注意しましょう。
- 「読まさせていただきます」
→ ◯「読ませていただきます」 - 「歌わさせていただきます」
→ ◯「歌わせていただきます」 - 「休まさせていただきます」
→ ◯「休ませていただきます」
このように、過剰に「さ」を入れてしまうと不自然な敬語になってしまうので注意が必要です。
許可を求める形式で使用するのはOK
「させていただく」を使用する2つの条件を満たしていなくても、許可を求める疑問系として使う場合は使用可能です。例えば、「早退させていただきます」は相手の許可を得ていない上に、早退することでかえって相手に迷惑をかけてしまう行為であるため、「させていただきます」を使用することは適切とは言えません。
「早退させていただけますか」とすると、相手の許可を求め、「承諾されたら自分はありがたい」ということを正しい敬語表現を用いて表現できます。
役職を名乗る場合は「務めております」
初対面の相手に自己紹介などで役職を名乗る際は、「させていただく」を使用することは不適切です。説明会などで「〇〇担当を務めさせていただいております」と言っても、オーディエンスに許可を得て務めているわけではないため、違和感が残る言葉遣いになってしまいます。
「いただく」「頂く」の意味が異なることに気をつける
「いただく」と「頂く」では表す意味が異なります。「頂く」には「もらう」「食べる、飲む」という意味があるので、「させていただく」を使用する際はひらがなで表記しましょう。
「させていただく」の使いすぎに気をつける
過剰に「させていただく」を使用することは「させていただく症候群」と呼ばれることがあります。正しく使用すれば丁寧な言葉になる「させていただく」ですが、しつこく使用されてしまうと「回りくどくてわかりづらい」と思われたり、必要以上にへりくだっていると捉えられて逆に印象を悪くしてしまう可能性があります。適度に「いたします」などの他の表現も用いましょう。
いかがでしたか?
今回は「させていただく」の正しい使い方や、誤った使い方を防ぐためのポイントをご紹介しました。
一般的に丁寧な表現とされますが、誤った使用は悪印象を与える可能性があるので、気をつけて使用しましょう。
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