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ジョブ理論で顧客のニーズを捉える|具体例を交えて解説
ジョブ理論という考え方をご存知でしょうか?今注目を集めている考え方で、多くの経営者が取り入れています。この記事では、ジョブ理論について具体例も交えて解説します。
目次
ジョブ理論は、顧客の消費のメカニズムを分析した理論
ジョブ理論とは、顧客の消費のメカニズムを分析した理論です。ハーバード・ビジネススクールのクレイトン・クリステンセン教授が提唱しました。
ジョブ理論は実際に多くの経営者が取り入れており、イノベーションを予測可能にする考え方だとして注目を集めています。
ジョブ理論では、「ジョブ」「ハイア(雇用する)」といった独特の表現が使われます。
ジョブ:顧客が片付けなければならない問題
「ジョブ」とは顧客が成し遂げたい進歩や苦労している問題を意味し、機能的なものだけでなく、感情的・社会的なものもあります。例えば、衣料品において「寒さをしのぎたい」という機能的なジョブもある一方、「美しく着飾りたい」という感情的・社会的なジョブも存在します。
ここで、ジョブとニーズは似ていますが異なるものであることに注意しましょう。ニーズは「顧客が商品に向ける関心・行為」です。一方、ジョブは「顧客の抱える課題」を意味し、そこからニーズが生まれるのです。
ハイア(雇用する):ジョブを片付けるために製品・サービスを消費する
「ハイア(雇用する)」とは、ジョブを片付けるために製品・サービスを消費する行為を指します。これは、米国企業において、発生した新しい仕事に応じて、必要なスキルを持つ人材を雇用することに例えた表現です。
顧客の状況によって、雇用する製品・サービスが変化する
ジョブ理論では、顧客はただ単に製品・サービスを購入するのではなく、ジョブを片付けるために製品・サービスを雇用すると考えます。顧客は、置かれている状況とそれによって生じるジョブをもとに、どの製品・サービスを雇用するか判断するのです。そのため、商品開発やマーケティングにおいては、顧客そのものだけでなく顧客の状況やジョブにも注目することが重要です。
ジョブ理論を用いると、顧客のニーズを正確に捉えられる
現代では、顧客の年齢や性別といったデータを分析するマーケティング手法が広く用いられています。この手法ではデータ間の相関関係は見つけられますが、顧客が製品・サービスを選択する理由までは分かりません。
一方、ジョブ理論では、顧客が置かれている状況とジョブを考慮することで、顧客のニーズを正確に捉えられるのです。これにより、製品の新規開発や改良をニーズに沿って的確に行うことができ、イノベーションを加速できます。また、プロモーションにおいても、より効果のある広告を打ち出せます。
イノベーションについては、この記事も参考にしてみてください。
ジョブ理論活用の具体例
ジョブ理論をビジネスに活用する具体例として、有名な「ミルクシェイク店の逸話」を紹介します。ミルクシェイクとは、牛乳に甘味料などを加えて作る飲料のことです。
あるミルクシェイク店が売上を伸ばしたいと考えていました。そのために購入者のデータを整理してアンケート調査を行い、「安い」「美味しい」という声に合わせて値段や味を改善しましたが、売上は伸びませんでした。
そこで、ジョブ理論を用いて顧客がどのようなジョブを片付けるためにミルクシェイクを雇用しているかを調査しました。その結果、平日の朝は「通勤の退屈しのぎと小腹を満たせる間食」として購入されていました。バナナより長持ちし、ドーナツと違って手が汚れない点からミルクシェイクが選ばれていました。
一方、休日は「子どもを喜ばせられるおやつ」として購入されていることが判明したのです。
この結果をもとにすると、「通勤中に気を紛らわして、小腹を満たす」というジョブに対しては、長持ちするようドロッとしたシェイクを開発することが考えられます。一方、「子どもを喜ばせたい」というジョブに対しては子どもでも飲み切れるサイズを販売するといった施策ができます。
このように、ジョブ理論を用いることで気づきにくいニーズを正確に捉えられ、イノベーションが可能になるのです。
ジョブ理論は、顧客が「ジョブ」を片付けるために製品を「雇う」という考え方で、顧客のニーズを的確に捉えることができます。ぜひジョブ理論をビジネスに取り入れてみてください。
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