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ポートフォリオ分析とは?具体的な分析手法3種類を解説します
ポートフォリオ分析という言葉をご存知でしょうか?これは、製品やサービス、事業などの現状や改善点を分析する際に用いられる手法です。この記事では、ポートフォリオ分析の具体的な手法3種類を解説します。
ポートフォリオ分析とは、2次元のグラフを用いて注力すべき項目を抽出する分析手法
ポートフォリオ分析とは、重要な指標2つを軸にした2次元のグラフを作成して、注力すべき項目を抽出する分析手法です。
ポートフォリオ分析では、2次元のグラフを4つのエリア(象限)に分け、縦軸・横軸の指標の高低によって項目を各エリアに配置します。これにより、注力すべき項目を抽出でき、戦略的な判断に役立てられます。
具体的なポートフォリオ分析の手法としては、CSポートフォリオ、PPM(プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント)、バリューポートフォリオなどがあります。
CSポートフォリオ:顧客満足度の向上に利用
CSポートフォリオは、顧客満足度の調査に用いる手法です。
CSポートフォリオでは、縦軸を「項目ごとの満足度」、横軸を「総合満足度への重要度」としたグラフを作成します。横軸の「総合満足度への重要度」とは、その項目の満足度と総合満足度の相関の強さを指します。
CSポートフォリオでは、グラフを以下の4種類のエリアに分類します。
- 重点維持項目
重点維持項目は、満足度と重要度の両方が高い項目です。
現時点では顧客満足度の源泉となっています。差別化できる要素として強化を続け、満足度が下がらないよう維持に努めます。 - 維持項目
維持項目は、重要度は低いものの満足度が高くなっています。
差別化には寄与しないので、現状を維持すればよい項目です。 - 改善項目
改善項目は、重要度も満足度も低い項目です。
今後の成長が望めないため、廃止・撤退を検討する必要があります。 - 重点改善項目
重点改善項目は、重要度が高いにもかかわらず顧客の満足度が低くなっています。
総合満足度を向上させるにあたって、最優先に改善すべき項目です。
CSポートフォリオを活用することで、顧客がどの項目に満足しているのかが分かります。また、改善すべき項目の優先度を視覚的に把握することができます。
PPM:投資配分の決定に利用
「PPM(プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント)」は、大手コンサルティング会社であるBCG(ボストン・コンサルティング・グループ)が提唱したフレームワークです。PPMでは、縦軸を「市場成長率」、横軸を「市場占有率」としたグラフに製品・サービスや事業を配置して分析します。
PPMでは、「花形(スター)」「問題児」「負け犬」「金のなる木」という4種類のエリアに分類されます。
- 花形(スター)
「花形(スター)」は、市場成長率・市場占有率ともに高い項目です。
投資を続けて「金のなる木」にすることで、将来的にも安定した収益をもたらしてくれます。しかし、他社との競争が激しいため、経営資源の投入や適切な戦略立案が重要になります。 - 問題児
「問題児」は、市場成長率は高いものの市場占有率は低い項目です。
市場の競争が激しく、現時点では十分に利益が得られていません。しかし、投資を行い市場占有率を高めることで、「花形(スター)」や「金のなる木」へと変わる可能性も秘めています。 - 負け犬
「負け犬」は、市場成長率・市場占有率ともに低い項目です。
短期的にも長期的にも収益が見込めないため、廃止・撤退を検討する必要があります。 - 金のなる木
「金のなる木」は、市場成長率が低く市場占有率が高い項目です。
市場成長率が低いため競合他社が少なく、収益が安定的に得られます。「金のなる木」に積極的に投資するよりも、「金のなる木」から得た利益を「花形(スター)」や「問題児」に投資する方が好ましいでしょう。
PPMについては、この記事も参考にしてみてください。
PPMを活用することで、中長期的に利益をもたらす製品やサービス、事業を見極められます。これにより、効率的な投資配分を決めることができ、企業の持続的な成長に繋げられます。
バリューポートフォリオ:事業の経営判断に利用
バリューポートフォリオでは、事業に関して分析を行います。
バリューポートフォリオでは、縦軸を「企業のビジョン・経営理念との整合性」、横軸を「ROI(投資利益率)の高さ」としたグラフを作成します。
ROIとは、投資に対して得られた利益を指します。ROIについては、この記事も参考にしてみてください。
バリューポートフォリオでは、グラフを以下の4種類のエリアに分類します。
- 本命事業
本命事業は、企業のビジョンと整合性が取れており、ROIが高い理想的な事業です。
積極的に経営資源を投下し、事業の拡大を目指します。 - 課題事業
課題事業は、企業のビジョンとの整合性は高いもののROIが低い事業です。
事業の問題点を解決して利益率を向上させることで、本命事業への成長を目指します。 - 見切り事業
見切り事業は、企業のビジョンと整合性が取れておらず、ROIも低い事業です。
利益も得にくく、ブランドの価値を下げる原因となってしまうため、早期に撤退すべき事業です。 - 機会事業
機会事業は、ROIは高いものの企業のビジョンとの整合性は低い事業です。
事業内容の修正やビジョンの変更により、事業とビジョンの整合性を取ることが望ましいです。何もせずに事業を続けると、社員のモチベーション低下やブランド力の低下などを引き起こす可能性があります。
バリューポートフォリオは、事業の拡大・撤退などの経営判断に役立ちます。「企業のビジョンとの整合性」という経営者の視点だけでなく、「ROI」という投資家の視点も取り入れられるため、バランスの取れた経営に繋がります。
ポートフォリオ分析は、2次元のグラフを4つのエリアに分けて、注力すべき項目を抽出する手法です。具体的には、CSポートフォリオ、PPM、バリューポートフォリオなどがあります。ぜひこの記事を参考にして、ビジネスにポートフォリオ分析を取り入れてみてください。
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