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ピーク・エンドの法則とは|営業活動や信頼関係を築く際の使い方を紹介

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ピーク・エンドの法則をご存知ですか?ピーク・エンドの法則は、相手との信頼関係を築く際や営業活動を行う際に役立てることができます。
今回は、ピーク・エンドの法則の意味と、ピーク・エンドの法則を信頼関係の構築や営業活動で利用する方法を解説します。

ピーク・エンドの法則とは、最も盛り上がったシーンと終わり方だけで、印象が決まってしまう法則のこと

ピーク・エンドの法則とは、最も感情が昂る絶頂の瞬間(Peak)と終わる瞬間(End)で、ある経験の印象がほとんど決まってしまう法則のことをいいます。つまり、ピークとエンドの印象がよいものであれば、他の出来事の印象が悪くても全体的にはよい記憶として残ります。逆に、ピークとエンドが悪ければ、他をどれだけ素晴らしくしても悪い記憶として定着してしまうこともあります。

ピーク・エンドの法則は、心理学者・行動経済学者のダニエル・カーネマン氏によって提唱されました。同氏は2002年に、不確実性の下で人はどのように意思決定を行うかを記述した「プロスペクト理論」でノーベル経済学賞を受賞しています。

プロスペクト理論について知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

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ピーク・エンドの法則を証明した実験

ピーク・エンドの法則を証明した有名な実験に、ある2つのグループに騒音を聞かせたものがあります。1つ目のグループには一定時間、大音量の不快な騒音を聞かせ続け、2つ目のグループには1つ目のグループと同じ騒音を同じ時間聞かせた後に、少し控えめの騒音を追加して聞かせました。その結果、2つ目のグループは1つ目のグループよりも長く騒音を聞き続けたにもかかわらず、実験後の不快感は1つ目のグループよりも小さくなったことが分かりました

また、同様の結果が冷水を用いた実験でも得られています。ある1つのグループを用意し、1回目は一定時間冷水に手を入れてもらい、2回目は同じ温度の冷水に同じ時間手を入れてもらった後に加えて数秒間、少しずつ温度を上げてその間も手を入れ続けてもらいました。この実験でも、2回目の方が冷水に手を入れている時間は長いものの、不快感は小さくなっています

これらの結果が得られた理由は、「不快感が軽減された」という終盤の印象が強く残ったからだと考えられ、ピーク・エンドの法則が立証されました。

日常で見られるピーク・エンドの法則の例

ピーク・エンドの法則が見られる代表的な例が、テーマパークのアトラクションです。テーマパークのアトラクションでは、乗るために数時間も並ばなければならないことがあります。そのような行列に並ぶことは骨の折れるものであり、アトラクション自体はほんの数分で終わってしまいますが、終わってしまえば並んだことに対する大変さよりもアトラクションの楽しさが残っています。これは、「アトラクションを体験する」というピークとエンドが非常に楽しいものであり、印象のほとんどがそれらで決まってしまうからです。

また、多くの人が映画の評価を感動的なシーンや迫力のあるシーン、クライマックスの印象で決めてしまうこともピーク・エンドの法則による現象です。細かいところまで手の込んだ映画でも、重要なシーンが観客にとって期待外れであれば、低評価になることも少なくありません。

ピーク・エンドの法則で信頼関係を築く方法

よい第一印象を与える

初めて出会ったときの第一印象で、その後の人間関係が決まると言っても過言ではありません。出会う瞬間は1つ目のピークであるため、別れた後の記憶に強く残るとともに、その日の話しやすさや打ち解けやすさにも影響してきます。服装や身なりを整えて清潔感を保ち、気持ちのよい挨拶をしましょう

また、出会ったときは腰を低くして相手に敬意を払い、相手の警戒心を解くことが大切です。

別れ際まで気を抜かない

別れ際は出来事のエンドに当たるため、別れ際こそ丁寧に接する必要があります。別れ際に相手より下に出過ぎてしまうと、頼りない印象を与えてしまいます。別れ際は丁寧な対応は心掛けながらも、堂々とした態度を取るようにしましょう。また、早々に去ってしまうと相手には冷たい印象が残ってしまうので、名残惜しさを出しながら去るのもポイントです。

加えて、商談で相手先に訪問する場合などは、商談後に相手先の近くで気を抜かないようにしましょう。カフェなどでだらしなく休憩している姿を相手に見られると、印象が悪くなってしまいます。

感謝の言葉を忘れず伝える

別れ際には感謝の言葉を伝えることも重要です。出来事のエンドで感謝の気持ちを述べると、相手に丁寧な印象を残すことができます。また、感謝の言葉は日頃から積極的に伝えるようにしましょう。

商談では受注してもらったときはもちろん、受注されなかったときでも別れ際に、時間を割いて話を聞いてもらったことに対するお礼を述べましょう。相手によい印象が残り信頼してもらいやすくなるため、今回は上手くいかなかった場合でも、次の商談以降の受注確度を高めることができます。

ピーク・エンドの法則を営業活動で利用する方法

購買体験におけるピークとエンドを把握する

ピーク・エンドの法則を営業活動で利用するにはまず、顧客の購買体験におけるピークとエンドを理解する必要があります。例えば、レストランの接客では顧客にとって食事がピーク、退出するときがエンドに当たります。そのため、素晴らしい食事を提供することや、帰り際に最後まで見送ることが顧客の満足度を高めます。

また、顧客が高額商品を購入する場合には、購入時や開封時、初めて使用するときがピークに当たります。購入手順のスムーズさや、開封時のワクワク感、商品を使用したときの完成度に対する感動を提供することで、企業に対する顧客の印象が大きく高まります。

さらに、商品に不具合が生じた場合や接客で失敗してしまった場合には、丁寧なアフターサービスを心掛けることで、途中の悪い印象も最終的には好印象に置き換えられます。
顧客の満足度を高めるには、顧客の購買体験におけるピークとエンドを把握し、その場面でより大きな感動を与える戦略を練ることが重要です

商談・会話の中に特別感を出す

商談や会話で特別感を出してピークを演出することも、ピーク・エンドの法則を活用する有効な手段です。「ここだけの話」「今回だけ」「お客様にだけ」というような特別感を与える文言を用いることで、顧客は気分が上がって話に対する興味を持ちます

また、特別感を出すとともに割引を加えるなどして、お得感を味わってもらうことで顧客の購買意欲も高まります。自らピークを作り出し、顧客によい印象を与えましょう。

ピーク・テクニックを用いる

ピーク・テクニックとは、話に意外性を持たせて聞き手の興味を引く会話術のことです。ここでのピークは「Pique」と表記される言葉で、好奇心をそそるという意味を指すため、ピーク・エンドの法則のピーク「Peak」とは異なります。

商談でピーク・テクニックを用いる具体的な方法として、「3分10秒だけ時間をください」「今だけ12%引き」のようにキリの悪い数字を用いることが挙げられます。あえて中途半端な数字を出すことで、顧客に違和感が生じ興味を持つきっかけを作ります

顧客の要望を一度断る

顧客の要望を一度断ることも、ピーク・エンドの法則を利用するには効果的です割引や追加サービスの要望を渋々受け入れると、顧客は交渉に成功したという達成感を味わうことができ、商談に満足感とお得感が得られます。逆に、簡単に要望を飲み込んでしまえば、もともとその要望込みの商談であったのではという疑念が顧客に生まれ、損をしてしまったと感じることもあります。これは、アメリカの認知心理学者マックス・H・ベイザーマン氏が提唱した「勝者の呪縛」という心理作用によるものです。

顧客が「交渉に勝ったのに負けた」と感じないように、仕方なく要望を飲んだという雰囲気を出して、満足感を与えることを心掛けましょう。

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