「ゴールデンサークル理論」という考え方をご存知ですか?ゴールデンサークル理論を知れば、納得感のある説明力を身に付けることができます。
今回は、ゴールデンサークル理論の概要や、これが有効である要因に加えてビジネスでの活用方法を解説します。
目次
ゴールデンサークル理論とは、「Why→How→What」の順番で話すことで、心を動かせるという考え方
ゴールデンサークル理論とは、「Why(なぜ)→How(どのようにして)→What(何を)」の順番で説明することで、人の心を動かせるという考え方です。
ゴールデンサークル理論は、マーケティングコンサルタントであるサイモン・シネック氏が「TED Talks」で演説した「優れたリーダーはどうやって行動を促すのか」という講演の中で提唱した概念です。優れたリーダーは「Why→How→What」の順で話すことで、部下の心を動かして行動を促します。
ゴールデンサークル理論の話し方
ゴールデンサークル理論は、リーダーが部下に行動を促すためだけでなく、人に何かを説明する際にも活用できます。ゴールデンサークル理論の話し方を活用したApple社の例を見てみましょう。
- Why:私たちには世界を変える力があり、多様な考え方に価値があると信じています。
- How:そこで、美しいデザインや操作方法がシンプルな製品を開発することに励みました。
- What:その結果、素晴らしいコンピュータが出来上がりました。いかがですか?
人は「What」ではなく「Why」に心を動かされます。そのため、Apple社のように最初に「Why」を説明し聞く人の感情に訴えることで、コンピュータを欲しいと思っていない人の潜在ニーズや購買意欲を高められるのです。
一方、普通の話し方では「What→How→Why」という、ゴールデンサークル理論とは逆の順序で説明します。Apple社のコンピュータの紹介を普通の話し方で見てみましょう。
- What:私たちは素晴らしいコンピュータを完成させました。
- How:このコンピュータは美しいデザインかつ、操作方法がシンプルである点が特徴です。
- Why:これは私たちに世界を変える力があり、多様な考え方に価値があると信じているからです。いかがですか?
普通の話し方よりもゴールデンサークル理論の話し方に心を動かされたのではないでしょうか?このように、何かを説明するときに「What」から始めても人の心を動かすことはできません。また、コンピュータを欲しいと思っていない人の興味を引き出すことも不可能でしょう。人に納得してもらうには、「Why」から話して注意を引くことが重要なのです。
ゴールデンサークル理論が有効な要因
ヒトの脳の仕組み
ヒトの脳は、感情をつかさどる「大脳辺縁系」の外側に、理性をつかさどる「大脳新皮質」が存在しています。得られた情報は大脳辺縁系に運ばれた後、大脳新皮質へと通達されます。そのため、脳が情報を受け取ると、まずは本能的な感情面に影響を与え、続いて理性がその感情を制御するのです。
したがって、相手に何かを伝えるときは最初に感情に訴える必要があり、「Why」から始めることで心を動かせるというゴールデンサークル理論は理にかなっていると言えます。
イノベーター理論
ビジネスにおいて、ゴールデンサークル理論が有効な要因に「イノベーター理論」があります。イノベーター理論とは、新商品が市場に普及していく段階を5つの層に分けたものです。イノベーター理論では新商品が出ると、最初に「イノベーター」と呼ばれる、非常に敏感なアンテナを張っている消費者に知られます。イノベーターは、商品としての実用性よりも目新しさに注目しており、イノベーターの興味を引くには感情面に訴えなければなりません。
イノベーター理論の詳細については、以下の記事をご参照ください。
ゴールデンサークル理論のビジネスにおける活用方法
企業の事業展開
企業が事業展開で成功するには、企業のミッションやビジョンといった存在意義を示し、企業や商品・サービスの価値を顧客に伝え、提供するという流れを一貫して行わなければなりません。このような事業展開で、ゴールデンサークル理論を応用させることができます。
まず、企業のミッションやビジョンとは、その事業をする理由の「Why」に当たります。そのため、最初は企業のミッション・ビジョンを広めるというブランディングが重要です。続いて、企業や商品・サービスの価値をどのようにして知ってもらうのかという「How」を考える必要があり、これはマーケティング活動と言えるでしょう。そして、顧客に何を提供するのかという「What」を考慮し、顧客のニーズに合わせた商品を開発・改善します。
企画や商品のプレゼン
企画や商品のプレゼンで、聞く人に納得感を与えるためにもゴールデンサークル理論は有効です。企画の場合は、なぜ企画を立案しようと思ったのか、企業の現状としてどのような課題があるのか「Why」を説明し、現状を打開するためにどのようなアプローチがあるのか「How」を述べます。そして、企画の内容「What」を説明することで、論理的な企画のプレゼンとなります。
商品の場合は、まず商品を提案するに至った顧客の潜在ニーズ「Why」を理解してもらい、次にストーリーを交えながら解決策「How」を提示します。最後に具体的な商品・サービス「What」を伝えることで、顧客の購買意欲を高められるでしょう。
部下の育成
部下を育成する際に、何をどのようにすればいいのかという「What」や「How」だけを伝えても、応用する術や自分で考える力は身に付きません。なぜその教育が必要なのか、どのような場面で活躍できるのかという「Why」を説明して、部下自身にイメージしてもらいましょう。
持ち運べる!BtoBマーケティング用語単語帳
無料でダウンロードするために
以下のフォーム項目にご入力くださいませ。