皆さんは「ダブルループ学習」という学習法をご存知でしょうか。この学習法によって組織の成長スピードの向上を図れます。
この記事では、ダブルループ学習の意味やメリット、根付かせる方法および役立つフレームワークを解説します。
目次
ダブルループ学習とは、目的や前提を問い直し問題解決の方法を探る学習法
ダブルループ学習とは、PDCAサイクルを回すとともに既存の目的や前提を問い直すことで、これまでにない問題解決の方法を探る学習法を指します。ダブルループ学習は、ハーバード大学の名誉教授であるクリス・アージリス氏によって提唱された学習法です。
組織における学習法は「シングルループ学習」「ダブルループ学習」の2つの学習法があると言われており、シングルループ学習は過去の知見をもとに改善していく学習法です。ダブルループ学習は前提を疑う点で、シングルループ学習と異なります。
ダブルループ学習のメリット
組織の成長スピードが向上する
ダブルループ学習は既存の考え方に捉われず解決法を探るため、組織の成長スピードの向上が期待されます。
例えば、電話でアポイントメントを取り営業しているが、思うように成約が取れなくなってきた会社があるとします。シングルループ学習では、電話を掛ける回数を増やし試行回数を多くすることで成約数を増やそうとします。
一方でダブルループ学習では、電話でアポイントメントを取るという前提を問い直します。「顧客リストからDMを送り、問い合わせてもらう」「SNS広告を打ち出し、無料相談から成約につなげる」といった方法で成約数の向上を図ります。このように前提を疑い、これまでやってこなかった解決策を探るため、爆発的な成長が見込めます。
困難な課題にも挑戦し続けられる
前提を問い直すダブルループ学習を心がければ、困難な課題にぶつかっても多角的な視点から解決法を探り挑戦し続けられます。シングルループ学習では課題に対して正面突破するのみですが、ダブルループ学習では課題に対して用いる道具を変えたり、アプローチする順番を変えたりすることで壁を乗り越えようとします。このようにダブルループ学習によって、困難な課題に挑戦し続けられるようになります。
ダブルループ学習を根付かせる方法
管理職員がダブルループ学習を心がける
ダブルループ学習では「前提を疑う」行動が最も重要ですが、部下から上司に前提を問い直す発言をしにくいという課題があります。
ダブルループ学習を根付かせるために、管理職員側から積極的に前提を問い直す発言を部下に投げかけ意見を求めましょう。この時、部下から意見が出た場合には褒めるようにするなど、部下が意見を出しやすい雰囲気作りを行うことが効果的です。
既存の枠組みでは達成できない目標を設定する
既存の枠組みにとらわれないためには、今のやり方では達成できない目標を設定するとよいでしょう。例えば、簡単に達成できそうな低い目標を掲げるのではなく、売上前年比200%を目指すといった高い目標を掲げることで既存の方法では達成できない状態を作ります。困難な目標を達成するために前提を疑い、より影響力のある広告方法の検討、顧客へのアプローチ方法の再考などのダブルループ学習を心がけるようになります。
上下関係を気にせず、ブレインストーミングする
ブレインストーミングとは、相手の意見を否定せず自由にアイデアを出し合うことです。様々な役職・年齢の社員を集めブレインストーミングを行うことが効果的です。様々な視点から生み出されるアイデアを聞くことで、新たな発見や新しい事業案が思いつく可能性が上がります。またブレインストーミングで個人の考えを尊重する雰囲気が形成されるため、前提を疑う発言もしやすくなります。
ブレインストーミングに関して詳しく解説した記事がありますので、あわせてご覧ください。
ダブルループ学習に役立つフレームワーク
リフレーミング
リフレーミングとは、事象を見る枠組みを捉え直すフレームワークのことを指します。リフレーミングの例として、コップに半量だけ水が入っている状態をどう捉えるのかという例がよく挙げられます。「もう半分しかない」と嘆くのか、「まだ半分もある」と喜ぶのか捉え方によって物事の感じ方が変わります。前提を捉え直す際にリフレーミングを活用しましょう。
リフレーミングについて詳しく解説した記事がありますので、あわせてご覧ください。
適応課題サーチ
適応課題とは、技術的な問題ではなく、ものの捉え方や人間関係が変化しなければ解決できない問題のことを指します。ビジネスにおいて、技術的課題や知識不足だけに着目し適応課題に気づけていないパターンが往々にしてあります。技術的課題と思われる問題も捉え方を変えて、適応課題ではないかと疑ってみることでダブルループ学習のきっかけを作りましょう。
クリエイティブテンション
クリエイティブテンションは、ピーター・センゲ氏の著書『学習する組織』で紹介された考え方です。ゴムを上下に引っ張り、上端をビジョン、下端を現実とした時の、それらのギャップとなる縮む力がクリエイティブテンションです。現実とビジョンを整理し、ビジョンとのギャップを理解することで現状の枠組みの限界を把握できます。クリエイティブテンションを活用し、ダブルループ学習を心がけましょう。
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