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ロサダ比とは|対人関係の黄金比と言われる内容や真偽について解説
「ロサダ比」という言葉をご存知ですか?ロサダ比はチームのパフォーマンスの向上につながる心理学的な法則としてかつて注目されていましたが、後に誤りが指摘されました。
今回はロサダ比がどのような法則だったのか、どのように活用されていたのかなどを解説します。
目次
ロサダ比とは、ポジティブな表現とネガティブな表現の比率が2.9:1の時を精神状態が充実する転換点だとする法則
ロサダ比は、心理学者のバーバラ・フレデリクソン博士とマーシャル・ロサダ氏が2005年に論文で発表した法則です。この法則では、チームにおいてプラスの感情とネガティブな感情の比率が2.9:1以上の時にチームメンバーの精神状態が充実することを示しました。
ロサダ比は厳密には2.9013:1と論文で示されていますが、簡略化して2.9:1や3:1と表されることもあります。以前からポジティブな感情がネガティブな感情に対して多ければ良いとは知られていましたが、このような転換点となる比率を数学的に証明したことが画期的だとされ注目されました。
ロサダ比ではある程度のネガティブな感情も必要だとされた
ロサダ比の根拠となった過去の研究では、適切な量や種類のネガティブな感情も、精神の充実に重要な影響を与えるとしました。例えば夫婦間での喧嘩はネガティブですが、夫婦関係改善のきっかけとなることが考えられます。このように、適切な量と種類のネガティブな感情は、より充実した未来を作るための重要な要素となることがあります。
また、ロサダ比では、ポジティブな感情はネガティブな感情の2.9倍を越えれば次第にチームのパフォーマンスなどにポジティブな影響を与えるとしましたが、ポジティブな感情が11.6346倍を超えるとその効果は逆に減少するとしました。
ロサダ比は多くのビジネスや教育の現場で応用された
ロサダ比を活用することで、革新的かつ柔軟性があり、安定した組織づくりが可能であるとされました。そのため、ロサダ比は発表されて以来、ビジネスでの人間関係にまつわる書籍や教育の現場での指導など、様々な場面において活用されました。例えば、「1つ叱って3つ褒める」といったフレーズはロサダ比がもとになっています。
また、ロサダ比自体、後の多くの論文で参考に用いられ、心理学の研究に貢献した発見だとされていました。
ロサダ比の根拠となった実験の内容
ロサダ比を求めるにあたって、60チームが経営の戦略を策定する様子を観察し、評価する実験を行いました。60チームのうち、その後の収益性や顧客満足度、上司や同僚などの身内からの評価が高く成功した15チームを分析対象としました。
ロサダ比を算出するにあたって評価対象となった行動の例
成功した15個のチームのうち、チーム内のコミュニケーションにおいて各メンバーがとった行動をポジティブとネガティブに分類し、それらの比率が成果に結びついているかを分析しました。ロサダ氏らがポジティブな行動とネガティブな行動とした行動の例としては以下のようなものが挙げられます。
ポジティブな行動 | ネガティブな行動 |
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後に、ロサダ比の背景にある数学的な根拠は否定された
多くの研究者や企業などに参考にされたロサダ比ですが、イギリス人のニック・ブラウン氏によって数学的な背景が誤りであったと証明されました。ブラウン氏は心理学に関しては駆け出しの学生ではあったものの、数学的な知識を豊富に持っていたため、心理学のプロであったロサダ氏らが導いた法則の数学的な間違いに気づきました。
ロサダ氏らもロサダ比の根拠となった数学的な論拠の誤りを認め、ロサダ比の理論は破綻することとなりました。しかし、ロサダ氏らは研究成果の数学的な部分以外には誤りがないとしました。
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