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ダイナミックケイパビリティの概要や成功事例3選を紹介します

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企業を取り巻く環境が目まぐるしく変化する現代では、環境の変化に対応するために企業自身が変革する「ダイナミックケイパビリティ」が必要です。

この記事では、ダイナミックケイパビリティの概要や、実際の成功事例を紹介します。

ダイナミックケイパビリティとは、周囲の環境の変化に応じて企業自身が変革する能力

ダイナミックケイパビリティとは、デイヴィッド・J・ティース氏によって提唱された戦略経営論の一つで、企業内外を取り巻く環境の変化に応じて、企業自身が変革する能力のことを指します。

ダイナミックケイパビリティが生まれた背景

ダイナミックケイパビリティが生まれた背景に、1980年代にマイケル・ポーター氏が提唱した「競争戦略論」があります。競争戦略論では、企業の戦略や業績を決定する要因は、産業構造や業界の状況などであると述べられていました。しかし、実証研究を通じ、同じ産業間や業界間でも企業によって戦略や業績が異なることから、競争戦略論では限界があると指摘されていました。

競争戦略論の限界が叫ばれる中で、マサチューセッツ工科大学教授のバーガー・ワーナーフェルト氏によって「資源ベース論」が提唱されました。資源ベース論は、企業の戦略や業績を決定する要因は企業の外部環境ではなく、企業内部の経営資源であるというものです。また、資源ベース論によって、企業固有の強みである経営資源を利用する能力(ケイパビリティ)が、企業の競争優位性を高める要因だという見方も広がりました。

しかし、企業の強みである経営資源も、外部環境が変化した場合には弱みに転じてしまう場合もあります。

このような背景から、外部の環境や状況が変化する中で、企業の競争優位性をどのようにして保ち続けるかという問題意識が生じ、それに対して「ダイナミックケイパビリティ」という考えが提唱されました。

ダイナミックケイパビリティが必要とされる背景

ダイナミックケイパビリティが必要とされる背景には、現代はデジタル技術の進化や企業のグローバル化などが進み、不確実性の高い時代(VUCAの時代)となったことがあります。

VUCAの時代とは、「Volatility:変動性」「Uncertainty:不確実性」「Complexity:複雑性」「Ambiguity:曖昧性」の4つの頭文字をとったもので、「不確実性が高く、将来の予測が難しい時代」を意味します。

現代はテクノロジーの目覚ましい発達などにより、企業を取り巻く環境が大きく変化しやすい状況にあるため、企業はこういった激しい変化の中で自身を変革し、対応していくことが求められています

オーディナリー・ケイパビリティとの違い

企業のケイパビリティは「ダイナミックケイパビリティ」と「オーディナリーケイパビリティ」の2つに分類されます。

ダイナミックケイパビリティでは企業内外の環境の変化に対し、組織内外の経営資源の再構築などを通じ、企業自身を変革させる能力であり、ティース氏は「正しいことを行うこと」と定義しています。

一方、オーディナリーケイパビリティは、企業内の経営資源をより効率的に利用することで企業の利益を最大化する能力を指しており、ティース氏は「ものごとを正しく行うこと」と定義しています。

ダイナミックケイパビリティを構成する3要素

感知(Sensing)

1つ目の要素は「感知(Sensing)」です。ティース氏の分類では、「脅威や危機を感知する能力」と定められています。具体的には、競合他社の動向や社会情勢の変化など、企業を取り巻く環境の変化を感知する能力を指します。

捕捉(Seizing)

2つ目の要素は「捕捉(Seizing)」です。ティース氏の分類によると捕捉は「機会を捉え、既存の資産・知識・技術を再構成して競争力を獲得する能力」と定められています。具体的には、「感知」によって見出した機会を捉え、既存の経営資源などを再利用することを指します。

変容(Transforming)

最後の要素は「変容(Transforming)」です。ティース氏の分類では「競争力を持続的なものにするために、組織全体を刷新し、変容する能力」とされています。変容はその名の通り、企業が新しい環境に対応すべく、組織などの再編成を通じて自身を変革していくことを指します。

ダイナミックケイパビリティの成功事例

富士フイルム

富士フイルムはかつて、写真フィルムの生産を主な事業としていましたが、1990年代にデジタルカメラが普及したため、富士フイルムは経営難に陥りました。

そこで富士フイルムは自社の利益や株主価値の最大化を目指すのではなく、自社技術など既存の経営資源の活用を決定します。特に、フィルム技術を活用した液晶保護フィルムの開発や生産に注力し、既存事業からの転換に成功しました。

ダイキン工業

ダイキン工業は家庭用や業務用などの空調機を専門に扱い、世界におよそ100以上の生産拠点を構えるメーカーです。

エアコンの需要は季節や気候などに左右されやすいという特徴があります。需要が増加した場合に備えエアコンを作り置きすると、冷夏の場合に在庫を抱えるというリスクや、競合他社が旧モデルを値引きして販売した場合に需要が減少するというリスクもあります。

このように、エアコンの需要は変動が多く、地域によっても需要や求められる性能が変わるなど、不確実性の高い事業だといえます。

そこで、作り置きをせずに急な需要の変化に対応する方法として、「市場最寄化戦略」を実践しています。汎用性の高い製品である「ベースモデル」を開発し、地域にあわせてカスタマイズする方法を取ったことに加え、生産ラインの要素をモジュール化し、工場の素早い立ち上げを可能にしました。

こうしたダイナミックケイパビリティにより、ダイキン工業は空調機事業の高い不確実性を乗り越えることに成功しています。

IKEA

IKEAは現在では家具を販売していますが、かつては家具を取り扱っていませんでした。家具を取り扱い始めたところ需要があることが判明し、そこから家具の販売に特化し始めました。

競合との価格競争が激しくなると家具の価格を下げる必要がありますが、価格の低下による品質の低下は必然的です。いかに品質を下げずに価格を抑えるかを考え、購入者自らが家具を組み立てる方式を導入しました。これにより、家具製造にかかる人件費や、輸送コストの削減にも成功しました。

しかし、時間が経過すると同業他社との兼ね合いから商品の仕入れがままならないという問題が新たに生じました。そこで、IKEAは完全自社生産へと転換しました。さらに、当初は従業員が商品を取りに行く方式でしたが、顧客自身が倉庫へ行き、商品を取りに行く方式に変更しました。

こうしたIKEAのダイナミックケイパビリティによって、IKEAは継続的に成長し続けることに成功しています。

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