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マネジメントに必要な3つの能力とその育て方とは
「マネジメント能力」という言葉はビジネスの現場でよく耳にするかと思います。しかしそれが何を意味するのか、考えたことはありますか?
マネジメント能力は様々な要素が複雑に絡み合って形成されている能力です。リーダーシップやプロジェクトマネジメント能力などと混同されることが多いですが、それらはマネジメント能力の一角でしかありません。
今回は、マネジメント能力を構成する要素や、各要素をどのように育てていくかを解説します。
マネジメントの全体像から、マネジメント能力を定義する
前提として、マネジメントは組織の目標を設定し、そこに向かって組織を動かすものです。
マネジメントは大きな組織単位でのマネジメントと同時に、その中にある小さな組織(部署、プロジェクトetc…)も併せてマネジメントします。「ヒト・モノ・カネ・情報」といった経営資源を、それぞれの小さな組織がどれだけ必要としているのか、どのような分配をすれば全体の成果を最大化できるのかを考えて、最適な分配を行う必要があります。
さらに、分配した先でそれがどのような使われ方をしているのか、プロジェクトの進捗はどうか、目標に対する達成度はどうかを確認し、各組織の行動を管理することも重要です。
つまり、マネジメント能力とは、「経営資源を各小組織に適切に分配し、その行動を管理・最適化することで、設定した目標に向かって組織全体を動かす能力」を指します。
マネジメントに必要な能力とその育て方
それでは、マネジメント能力を構成する各要素について、その詳細と育て方を見ていきましょう。
リーダーシップ
第一にリーダーシップが重要な要素であることは言うまでもありません。リーダーシップとは「ヒト」のマネジメント能力、つまり、メンバーを適切に分配し、目標達成のために行動を管理する能力です。具体的には、メンバーとの適切な意思疎通を行うことができる「コミュニケーション力(傾聴力・伝達力)」、行動を促すための「コーチング力」に分かれます。
リーダーシップを育てるには、兎にも角にもメンバーに対して声をかけ続けることが重要です。リーダーシップを発揮するためのコミュニケーション手法は様々にありますが、あくまで一般化されたものであり、実際に自分のマネジメントする対象に効くかどうかはわかりません。実際のコミュニケーションの中で、そのメンバーがどのような価値観を持っていて、どのような長所・短所を持っているのか、どんな言葉がその人を動かすのかを捉えていきましょう。
例えば、メンバーとの面談で「営業が辛い」という言葉が出たとします。その際、「どんな時に辛い?」「辛いというのは苛立ち?悲しみ?怒り?」「逆に嬉しいときはある?」などと具体的な状況を把握し、どんなアドバイスをすべきかを考えるようにします。更にアドバイスをする際には、単に「こうしよう」というのではなく、より踏み込んで「まずは○日間でこれをやって、次に○日感であれをやって…」という風に、具体的な行動のイメージを伝えるようにしましょう。
財務力
次に、財務力も非常に重要であるといえます。財務力とは、組織の資産や収支の状態を把握し、「モノ」「カネ」の分配の状態は健全か、また、いかにして改善できるかを考える能力です。
様々な企業や組織の財務を見る中で、自身の組織と似たものを探し、その組織の動きを参考に自分の組織の動かし方を考えることが、この能力を育てるにあたって大切です。これに関しては、慶應義塾大学の大学院でも使用されている『ビジネス・アカウンティング<第4版>』という書籍が非常に参考になるため、おすすめです。
注意すべきなのは、これは「財務諸表を作る能力」とは異なるということです。マネジメントの役割はあくまで、状況を判断して組織を動かすことであり、財務諸表を作るのは経理の仕事です。
分析力・判断力
ここまで「ヒト・モノ・カネ」のマネジメントに触れてきましたが、これに「情報」を組み合わせて、組織の全体像を把握する能力が分析力です。また、そうした分析をもとに「この組織をどう動かしていけば良いのか?」という問題に対する答えを導き出していくのが判断力です。
この2つの能力を高めるには、「論理的思考力」と「メタ認知能力」が重要になってきます。
論理的思考力とは、主観を排して、事実をもとにあらゆる可能性を抜け漏れなく考慮し、その中で最も適切な結論を論理の飛躍なく判断・説明する力のことです。これを磨くことによって分析力を圧倒的に高め、それに基づく決定に説得力がもたせられるようになります。論理的思考力に関しては、コンサルティングファーム出身者の執筆した『ロジカル・シンキング 論理的な思考と構成のスキル』という書籍が参考になります。
一方、メタ認知能力とは、自身の置かれた状況をより高次な視点から見ることで、普通なら気づきもしないような可能性を発見する能力です。これを身につけることで、飛躍のない論理的思考では打破できない、組織の行き詰まりを解消するヒントが得られます。
代表的なメタ認知に「アナロジー思考」というものがあります。これは、一見関連のない2つの事柄を抽象化し、共通点を発見して成功のパターンを導き出す力のことです。例えばタイでは、「回転寿司」ならぬ「回転しゃぶしゃぶ」がチェーン展開していますが、これは寿司としゃぶしゃぶの間にある「少量ずつ食べる」「賞味期限が短い」という抽象的な共通点をうまくビジネスに転化した事例です。
マネジメントでは論理的思考を超えた発想力も重要な要素です。メタ認知に関しては『メタ思考トレーニング 発想力が飛躍的にアップする34問』という書籍がトレーニングに有効です。
いかがでしたか?
マネジメントに必要な能力と、それを身につけるために必要なことが理解できたかと思います。
何冊か書籍をご紹介しましたが、どの本も豊富な例題で思考を鍛えてくれるものばかりです。1人で集中して取り組むのも一手ですが、同僚や仲間と一緒に取り組んで、違う視点を感じてみるのも良いかも知れません。
3つの力を身に着け、マネジメントスキルを向上させていきましょう。