ウェルビーイング経営を徹底解説｜意味やメリット、実践時のポイントを紹介

皆さんは、「ウェルビーイング経営」という言葉をご存知ですか。ウェルビーイング経営は、社員の生産性を高める上で重要な経営方法です。
この記事では、ウェルビーイング経営の概要やメリット、実践時のポイントなどを紹介します。

ウェルビーイング経営とは、社員の心身の健康を保ち、仕事へのモチベーションを高める経営方法

ウェルビーイング経営は企業の利益を追求するだけでなく、社員の心身の健康を保ち、仕事へのモチベーションを高めるための経営方法です。ウェルビーイング（well-being）とは、身体的・精神的に健康であり、社会的にも満たされた状態を指しています。つまり、ウェルビーイング経営は社員の幸福に重点をあてた経営方法であり、働き方改革や健康経営が推進される現代において重要視されています。

ウェルビーイング経営のメリット

社員の満足度の向上

ウェルビーイング経営によって、社員の満足度を向上できます。職場の環境が整えば、社員のストレスも軽減され周りの人々へ配慮した行動ができるようになります。そして、職場の雰囲気が良くなれば、仕事に対するモチベーションが上がるほか、従業員エンゲージメントの高まりも期待できます。

生産性の向上

ウェルビーイング経営によって社員のモチベーションが向上すれば、生産性の向上も期待できます。さらに組織の繋がりを強化すれば、個々の生産性だけでなく組織としての生産性も向上するでしょう。また、経営コストの面でも社員の医療費が削減される他、生産性が上がり残業時間が少なくなれば人件費も削減できます。

社員の離職防止

社員の満足度が高まれば、自社への貢献意欲が向上し離職防止になります。さらに、ウェルビーイング経営の活動や離職率の低下などを外部にアピールすれば、企業のブランドイメージが向上し採用活動においても好印象を与えられます。

ウェルビーイング経営の成功につながる「PERMAモデル」

ウェルビーイング経営を成功につなげるためには、「PERMAモデル」を参考にすることがおすすめです。PERMAモデルとは幸福を5つの要素に分割して考えたものであり、ウェルビーイング経営によって5つの要素にアプローチすることで社員の幸福度を上げられます。

Positive emotion：心身共に健康な状態を保つ

Positive emotionは、嬉しい・楽しいといった「前向きな感情」を表し、体だけでなく精神も健康であることを指します。例えば、フレックスタイム制やリモートワーク導入など、社員が働きやすい環境を整えることでこの要素を高められます。さらにメンタルヘルスケアにも力をいれれば、心身共に健康な状態を保てるでしょう。

Engagement：コミュニティへの帰属意識を芽生えさせる

Engagementとは「没入すること」「夢中になること」といった意味であり、仕事に集中することや会社への帰属意識を指します。例えば、フリーアドレス制を導入し好きな位置に座って仕事してもらうことで、集中しやすい環境を提供できるでしょう。
さらに、メールや電話に代わる効率の良い社内コミュニケーションツールを導入することによって、交流を深められ、会社への愛着心も湧きます。また、社員から会社環境に対する意見を聞き、取り入れることでエンゲージメントの向上が期待されます。

Relationship：良好な人間関係を築く

Relationshipは「人間関係」を表し、良好な人間関係が幸福に繋がるとされています。メンターやバディ制度を設けて、相談や協力がしやすい関係を築きやすくすると効果的でしょう。また、社内の部活動推進や懇親会の補助を行うことで社内の交流を深められます。

Meaning：モチベーションアップのための目標を設定する

Meaningは「人生の意義」を表し、人生全体の満足度や幸せの追求に繋がります。例えば、キャリアプラン研修の実施やライフステージにあわせたワークライフバランス研修を行うことで、社会人生活のモチベーションを向上させられます。

Accomplishment：目標が達成できるように支援する

Accomplishmentとは「達成感」「功績」といった意味であり、目標を達成したときに感じる幸福感を表しています。資格取得支援制度の導入によって、社員の目標達成を援助することが重要です。また、安定した生活基盤を維持した状態でなければ達成感は得られないため、ファイナンシャルプランナーによるライフプラン研修も効果的でしょう。

ウェルビーイング経営を取り入れている企業例

企業例1：楽天グループ株式会社「ハピネス大作戦」

楽天グループ株式会社は、「ハピネス大作戦」と題して各部署に「しあわせ係」を配置し、ウェルビーイングの考え方を全社的に浸透させています。また、社員にやりがいを感じながら働いてもらうべく、創業以来大事にしている価値観「楽天主義」を伝えるワークショップも実施しています。

企業例2：味の素株式会社「徹底したセルフケア」

味の素株式会社では社員のセルフケアを徹底し、ウェルビーイング経営に力を入れています。具体的には、社員の健康データが集められたポータルサイトを活用し、健康をサポートしています。また、スマホアプリでの健康管理や年1回以上の面談による不調の発見を行うことで、全社的に健康維持を促進しています。

企業例3：デンソー株式会社「健康リーダーを各部署に配置」

デンソー株式会社では各部署に健康リーダーを配置し、ウェルビーイング経営を取り入れています。部署ごとに働き方もコミュニケーションも異なるため、抱えている課題も様々です。そこで、各部署にリーダーを配置することで、それぞれに合った施策が行えるほか、従業員一人ひとりの健康が管理しやすくなりました。