サーキュラーエコノミーを徹底解説｜注目されている理由や企業事例も紹介

皆さんは、「サーキュラーエコノミー」という言葉をご存知でしょうか。これは新たな資源の消費を抑える経済システムで、事業による環境負荷の低減が求められる昨今では、サーキュラーエコノミーを実現することが重要です。
この記事では、サーキュラーエコノミーの意味や注目される理由、3Rとの違いや企業実例を紹介します。

サーキュラーエコノミーとは、資源を再利用することで資源を循環させながらモノを生み出す経済システム

サーキュラーエコノミーとは、資源の再利用を前提にモノを生み出し、資源を循環させることで新たな資源の消費を抑える経済システムを指します。日本では循環型経済とも訳され、SDGsを達成するためにも重要な経済システムです。

従来の経済システムはリニアエコノミー（直線型経済）と言われ、資源を消費してモノを生み出し、廃棄するといったシステムです。リニアエコノミーでは廃棄物を大量に生み出してしまうため、サーキュラーエコノミーという新しいシステムが考案されました。

サーキュラーエコノミーの3原則

サーキュラーエコノミーを推進する英国のエレン・マッカーサー財団は、サーキュラーエコノミーの3原則として以下のように提案しています。

1. Eliminate waste and pollution（廃棄や汚染を取り除く）
   廃棄や環境汚染を排除することでシステムの効率性を高める
2. Circulate products and materials（製品と原材料を、高い価値を保ったまま循環する）
   技術的なサイクルや生態系のサイクルにおいて、製品と原材料を高い価値を保ったまま循環させる
3. Regenerate nature（自然を再生する）
   消費・生産する資源量を制御して収支を合わせることで、自然資源を保存・増加させる

サーキュラーエコノミーが注目されている理由

サーキュラーエコノミーは資源の大量消費を抑え、未来に資源を残すために注目されています。人口は増え続け、2060年には消費資源量が2倍に増えるとされており、大量生産・消費・廃棄を前提とする現在の経済システムでは、資源枯渇や生態系破壊、気候変動を引き起こす可能性が高いと言えます。そのため、サーキュラーエコノミーによって資源を保全し、持続可能な社会を実現する必要があります。

3R「リデュース・リユース・リサイクル」との違い

「サーキュラーエコノミー」と「リデュース・リユース・リサイクル（3R）」とは、廃棄物を出すか出さないかという前提が異なります。3Rでは廃棄物を減らしたり、再利用したりしますが、少なからず廃棄物を出すことを前提としています。一方で、サーキュラーエコノミーでは廃棄しないことを前提としているため、3Rの考えを取り入れつつも、より環境負荷の低い経済システムであると言えます。

サーキュラーエコノミーの企業事例

テラサイクル「Loopプロジェクト」

20カ国以上でリサイクル事業を行うアメリカのテラサイクル社が2019年から「Loopプロジェクト」を開始しました。商品のパッケージを企業の財産として捉え、商品を使った後にパッケージを回収・洗浄することで再利用します。また、Loopプロジェクトの商品は専用配達バッグによって配達および回収されるため配達バッグも再使用でき、配送にかかるコストや資源も削減できます。

日本においても、2021年3月から日本版「Loopプロジェクト」が実施されており、アース製薬、味の素、江崎グリコ、エステー、大塚製薬、キッコーマン、キヤノン、キリンビール、資生堂、P&Gジャパン、ユニ・チャーム、イオンといった大手企業が参画しています。

NIKE「Reuse-A-shoe」・adidas「PARLEY OCEAN PLASTIC」

NIKEは1992年から「Reuse-A-shoe」というプロジェクトを実施しています。使用済みシューズや不良品を回収して、寄付・修理・リサイクルを行うプロジェクトです。現在では、炭素と廃棄物の排出をなくす「Move to Zero」という目標を掲げ、サーキュラーエコノミーの実現を目指しています。

また、adidasは海岸で回収されたプラスチックごみを素材化した「PARLEY OCEAN PLASTIC」を使用して、サーキュラーエコノミーを目指しています。さらに単一素材で作成し、使用後は回収・溶解することで100%再生可能なランニングシューズ「FUTURECRAFT.LOOP」を生産し、資源を再利用するプロジェクトを推進しています。

ファーストリテイリング「RE.UNIQLO」

ファーストリテイリングは、全商品をリサイクルおよびリユースする「RE.UNIQLO」プロジェクトを推進しています。回収した衣服を燃料や素材にリサイクルし、リサイクルダウンジャケットを生産しています。さらに、回収した衣服を難民キャンプに寄贈し、リユースも実施しています。