ビジネスパーソンとして失礼のない挨拶状を作成したいけれど、自信がないという方も多いのではないでしょうか。今回は、ビジネスにおける挨拶状の種類や基本構成、文例を紹介します。
目次
ビジネスにおける挨拶状とは、感謝の気持ちや近況を伝えるために作成される文書のこと
ビジネスにおける挨拶状とは、仕事に関わる相手に感謝の気持ちや近況を伝えるために作成される文書のことを指します。
日本では、従来縦書きで挨拶状を書くのが一般的でした。しかし、近年インターネットが発達したビジネスシーンでは、親しい間柄の場合はメールで挨拶状を送信する人も増えてきました。状況に応じて書面とメールを使い分けましょう。
挨拶状の種類
挨拶状には以下のような種類があります。
- 会社・事務所移転
- 社名変更
- 会社設立・独立開業
- 代表取締役交代・就任・退任
- 役員就任・退任
- 組織変更・株式上場
- 支店・支社開設
- 店舗開店・移転
- 会社合併・統合・業務提携
- 閉店・廃業
- 転勤・異動・退職・退任
など
挨拶状の基本構成
挨拶状は基本的に「前文」「主文」「末文」「後付」で構成されます。各構成要素の詳しい内容は以下の通りです。
前文
前文の冒頭には、まず「頭語」を入れます。頭語とは最初の挨拶にあたる言葉で、使用した頭語と対になる結語を末文の最後に入れることがマナーです。頭語と結語はセットで用いるため、この項では結語についても合わせて解説します。
ただし、カジュアルな内容の場合は頭語・結語は省略しても構いません。また、年賀状・暑中見舞いなどの季節の書面、弔事の場合には頭語と結語は不要です。
代表的な頭語と結語の種類には以下のものがあります。なお、赤字のものはよく使われている組み合わせ例です。
- 頭語
拝啓(はいけい)、拝呈(はいてい)、啓上(けいじょう) - 結語
敬具(けいぐ)、敬白(けいはい)、拝具(はいぐ)
- 頭語
謹啓(きんけい)、謹呈(きんてい)、恭啓(きょうけい)、粛啓(しゅくけい)、謹白(きんぱく) - 結語
謹言(きんげん)、敬具(けいぐ)、排具(はいぐ)
次に、季節を取り入れた「時候の挨拶」を入れます。時候の挨拶には、取引先など改まった相手への挨拶状に使う落語調と、ある程度親しい間柄に使う口語調の2種類があります。また、落語調で時候の挨拶を入れる際は、旧暦の名称で新暦に合わせて入れるのが決まりです。
月(季節) | 落語調 | 口語調 |
1月(冬) | 新春の候(上旬)、寒冷の候(中旬)、大寒の候(下旬) | 「寒の入りを迎えまた一段と寒い日が続いております 穏やかに年が明けました」 |
4月(春) | 春眠の候(上旬)、陽春の候(中旬)、春日の候(下旬) | 「春風の心地よい今日この頃 春光うららかな好季を迎えましたが」 |
7月(夏) | 梅雨明けの候(上旬)、盛夏の候(中旬)、酷暑の候(下旬) | 「夏空が輝くこの頃 日増しに暑さが厳しくなってまいりました」 |
10月(秋) | 仲秋の候(上旬)、菊花の候(中旬)、紅葉の候(下旬) | 「菊薫る季節となり 紅葉の美しい行楽の季節になりました」 |
次に、相手の繁栄を祝う言葉や日頃の感謝の言葉を入れます。
- 繁栄を喜ぶ言葉の例
「貴社におかれましてはますますご清栄のこととお慶び申し上げます」
「○○様におかれましてはますますご活躍のことと存じます」 - 日頃の感謝の言葉の例
「平素は格別のお引き立てを賜り誠にありがとうございます」
「この度は身に余るお心配りをあずかり心から感謝申し上げます」
主文
主文の頭には、本題に入る前のワンクッションとして「さて」「この度は」などの起こし文を入れます。次に、挨拶状で伝えたいメインの内容である本題を書きます。
また、句読点で文章を切ることが「縁を切る」に通じるとされているため、使用しないのが一般的です。数字を使う際には、縦書きの場合は漢数字を、横書きの場合は算用数字を使いましょう。
末文
末文には、相手の繁栄や健康を祈り、支援をお願いする結びの言葉を入れます。
- 結びの言葉の例
「皆様のますますのご健勝を心よりお祈り申し上げます」
「今後とも変わらぬご愛顧を賜りますようよろしくお願い申し上げます」
末文の最後は、前文で説明した通り頭語とセットになる結語で締めます。
後付
後付には、日付・差出人名・宛名を書きます。また、差出人名を書く際は下を一文字分開け、相手の名前は一番最後かつ本文中の最も上にくるように記載します。ただしメールで送る際には、始めに入れる場合が多いです。
挨拶状の種類によって、適切な送付タイミングは異なる
挨拶状は適切なタイミングで送りましょう。
挨拶状を送るタイミングは以下の通りです。
移転・開業・起業のお知らせ | 移転・開業・起業の1ヶ月前頃 |
転勤・転任・異動のお知らせ | 転勤・転任・異動の1週間前頃 |
イベントへの招待状(返信が必要な場合) | イベント開催日の1ヶ月前頃 |
イベントへの招待状(返信が不要な場合) | イベント開催日の1週間前頃 |
お祝い・お見舞い | お祝いごとや病状を知ったあと早急に |
お礼状 | お世話になった当日中 |
お詫び状 | ミスやトラブルが起きたその日中、遅くても3日以内 |
特に、お祝いやお礼、お詫びなどの場合はその日中に送るのがマナーです。どうしてもその日中に送れない場合でも、3日以内には送るようにしましょう。
挨拶状の文例
会社移転時の挨拶状の文例を、横書きと縦書きで紹介します。
横書きの場合
件名:会社移転のご案内
○○株式会社 営業部○○ ○○様 拝啓 大寒の候 貴社におかれましてはますますのご繁栄のこととお慶び申し上げます さて このたび 弊社は業務拡大に伴いまして これを機に社員一同 皆様のご期待に添えますよう一層努力してまいる所存です 甚だ略儀ではありますが書中をもちましてご挨拶申し上げます 敬具 令和5年1月 吉日 ●●株式会社 記 新住所 |
縦書きの場合
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