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させていただく症候群とは?間違いと言われる理由や正しい例を紹介
「させていただく症候群」という言葉をご存知でしょうか?「させていただく」という言葉は、便利で使い勝手が良い反面、使い方に注意しなければ相手に不快感を与えるおそれがあります。
今回は、させていただく症候群という言葉の意味や、「させていただく」が間違いだと言われる理由、さらに正しい使用例や間違った使用例を紹介します。
目次
させていただく症候群とは、「させていただく」を必要以上に乱用すること
させていただく症候群とは、「させていただく」という敬語を、必要以上に乱用するさまを揶揄する言葉のことです。「させていただく」という言葉は、丁寧でへりくだっている印象を相手に与えます。しかし、相手や場面に合わない「させていただく」を多用すると、過剰な敬語表現になってしまいます。そのため、かえって相手を不愉快にさせたり、円滑な意思疎通を阻害したりすることに繋がります。
「させていただく」は「させてもらう」の謙譲語
「させていただく」とは、「させてもらう」の謙譲語のことです。「させてもらう」という言葉は、自らの動作に対して人から許可を得たとき、かつその恩恵を受けるときに使う言葉です。したがって、「させていただく」も許可や恩恵を受けるときに使うのが、本来の正しい使い方です。
文化庁の公式ホームページでも、「させていただく」は次の条件に当てはまる場合に使用するのが正しいとされています。
「 (お・ご)……(さ)せていただく」といった敬語の形式は,基本的には,自分側が行うことを,ア)相手側又は第三者の許可を受けて行い,イ)そのことで恩恵を受けるという事実や気持ちのある場合に使われる。
出典:文化庁「敬語の指針」(https://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkashingikai/kokugo/hokoku/pdf/keigo_tosin.pdf)
「させていただく」を正しく使うためには、相手の許可に対する感謝と敬意、そして自分が動作を行うときの遠慮がちな気持ちを表現する際に用いることを意識しましょう。
「させていただく」が間違いだと言われる状況
相手の許可を得るときでない場合
「させていただく」が間違いだと言われる状況の1つは、相手の許可を得る必要がない場合です。相手の許可を得る必要がない場面で「させていただく」を乱用すると、必要以上にかしこまりすぎてしまい、くどい印象を与えるおそれがあります。
自分が恩恵を受けるときでない場合
「させていただく」が間違いだと言われるもう1つの状況は、自分が恩恵を受けるときでない場合です。自分が恩恵を受けるわけではない場面で「させていただく」を乱用すると、過剰な敬語のせいで、かえって謙虚さに欠ける印象を与えるおそれがあります。
「させていただく」の正しい例・間違った例
「させていただく」の正しい例
- 体調不良の際に会社を休む場面で使う「本日は会社を休ませていただきたいです。」
この場合では、会社を休むことに対して上司の許可を得ている、かつ自分が会社を休むという恩恵を得ており、「させていただく」という控えめな敬語表現が適切だといえます。
- 日程の再調整をお願いする場面で使う「それでは日程を変更させていただきます。」
この場合では、日程変更することに対して相手の許可を得ている、かつ自分にとって日時の都合が良くなるという恩恵を受けているため、「させていただく」という遠慮がちな敬語表現が適切です。
「させていただく」の間違った例
- プレゼンの場面で使う「それでは、発表させていただきます。」
この場合では、発表を行うことに対する観衆の許可を取る必要がないため、やや冗長な印象を与える不適切な例だといえます。
- 自己紹介の場面で使う「今の職場に5年以上勤めさせていただいています。」
この場合でも、働くことに対する勤務先の許可を取る必要がないため、冗長な印象を与え、不適切だと言われる可能性があります。
「させていただく」の言い換え例
- プレゼンの場面で使う「発表させていただきます。」➝「発表します。」「発表いたします。」
相手の許可を必要としない自らの動作、また自らの一方的な行動に対しては、「させていただく」ではなく「~します」や「~いたします」を使いましょう。「します」は、「する」の丁寧語です。また、「いたします」は、「する」の謙譲語「いたす」のあとに丁寧語の「ます」がついた言葉です。謙譲語を使うことで、自身がへりくだり相手を立てられるため、相手への敬意を簡潔に表現できます。
- 自己紹介の場面で使う「今の職場に5年以上勤めさせていただいています。」➝「今の職場に5年以上勤めております。」
この場合も相手の許可を必要としないため、「させていただく」ではなく「~おります」を使いましょう。「おります」は「居る」の謙譲語です。相手への敬意を端的に表現できます。
「させていただく」の乱用を防ぐために、自分が使おうとしている「させていただく」が、「~いたします」「~します」「~おります」に置き換えられないか確認しましょう。
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