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根本原因分析(RCA)とは|手順や目的別のツール、ポイントを解説
根本原因分析(RCA)をご存知ですか?聞いたことはあるけれど、具体的なやり方は分からないという方も多いのではないでしょうか。
今回は根本原因分析の手順や目的別のツール、原因を見つけるためのポイントを解説します。
目次
根本原因分析(RCA)とは、問題の症状だけでなく、その根本的な原因を見つけるための分析手法のこと
根本原因分析(Root Cause Analysis)とは、問題の根本原因を発見し、解決策を実施・検証する一連のプロセスを指します。その特徴は問題の症状だけでなく、根本原因を把握して対策を講じようとする考え方にあります。
例えば、水道管が水漏れして床が濡れているとき、バケツを置けば床が濡れることは防げますが、問題の根本的な解決にはなりません。水がどこから漏れているのかを確認し、その水道管を締め直すことで、水漏れは根本的に解決できます。
このように水漏れの場合は水道管を見ればよいのですが、組織が複雑化した現代の企業では、問題の原因を見つけるのはそう簡単ではありません。そこで根本原因分析が役に立ちます。
根本原因分析を行なうと、それぞれの企業が抱える構造的な弱点を把握し、問題の根本的解決や再発防止に役立てることができます。
根本原因分析の手順
1. 問題を明確にする
まずは問題についてのデータを集め、その種類と症状を明確化することで、何が問題であるのかを特定します。
一般的に根本原因分析は複数人で行なうため、問題意識を共有するためにも問題を明確にすることが重要です。問題はいつごろ、何回発生し、どこで見つかったのか、その問題によってどのような症状や不利益が生じているのかなど、具体的な内容を確認しましょう。このように問題を明確にしておけば、後々の分析メンバー間での前提の食い違いを防げます。
2. ツールを用いて原因を探る
問題を特定したら、分析ツールを用いて原因の候補を列挙し、特に問題に直結する根本原因を特定します。
最初は原因の深刻さを問わず、現在のワークフロー全体を見渡して原因の候補を網羅的に挙げていきましょう。次に各原因の問題への影響を分析し、今回の問題においては原因とは言えないものを除外します。最後に残った原因の中から、影響が大きく早急に対処すべき原因を特定します。
3. 問題解決のためのプロセスを明確にする
問題の根本原因が見つかったら、対策できるものを選び出し、解決に必要なプロセスを明確に列挙します。
対策案の実施にあたって、どのような工程が必要か、誰が責任を持って主導するか、誰が効果を監視するかなど、明確に実施内容を決めておきましょう。具体的な内容が決まっていないと、立案者の意図した通りに対策が進まない可能性があり、後の効果検証も適切に行えません。ほかにも、実施期間や副作用など対策に関する予測もこの時点で立てておきましょう。
4. 実施したプロセスの有効性を検証する
対策実施から1か月ほど後、問題特定の際に集めたデータと見比べるなどして、対策が効果的に働いたかを確かめ、その評価に応じて今後の方針を決定します。
問題の改善が認められない場合は調整を加え、それでも上手くいかないときは別の対策案を考えます。先にリストアップした根本原因に立ち戻り、別の原因への対策を講じることも考慮に入れましょう。
目的ごとの根本原因分析ツール
根本原因の候補を見つける:なぜなぜ分析
根本原因を見つけるのに特化しているのが、なぜなぜ分析です。ある問題に対し、それが「なぜ」起きたか、その原因は「なぜ」生じたのか、それは「なぜ」……と原因を深く掘り進めていきます。一般的に5回「なぜ」と掘り進めると根本原因に辿り着けると言われていますが、問題に応じて回数は異なります。
注意点は、この分析手法では1つずつしか根本原因を見つけられないことです。問題の原因は複数あることが多いので、それぞれの原因の関係や、重要度の違いを確かめましょう。
根本原因のカテゴリーを特定する:特性要因図
問題を起こした要因を特定することに適しているのが、特性要因図(石川ダイアグラム)です。図の見た目から魚の骨図(フィッシュボーンチャート)と呼ばれることもあります。
まず右を向いた魚の骨の図を描き、頭に分析対象の問題を書きます。次に背骨から突き出た大骨に、それぞれ1つずつ要因を割り当てます。要因は人(Man)、機械(Machine)、材料(Material)、方法(Method)、測定(Measurement)、環境(Milieu)の「6M」が一般的ですが、問題ごとに適切なカテゴリーを追加、削除していきましょう。その後、各大骨において問題の原因と思われる要素を小骨として書き足していきます。こうすることで、それぞれの要因の問題との関連度が視覚的に把握できます。
注意点は、アイデアの発案を妨げないことです。分類の正確さにこだわりすぎず、ときにはサブカテゴリーを作るなどして、たくさんの小骨を付けていきましょう。
対処する根本原因を決定する:故障モード影響解析(FMEA)
見つけ出された根本原因の中から実際に対策を行なうものを決めるには、故障モード影響解析(FMEA)が役に立ちます。今までの分析で見つけ出した根本原因を、影響度、発生頻度、検出難易度によって、それぞれ5段階か10段階で評価します。この3つの点数を掛け合わせたものが危険優先度となり、より高いものが早急に取り組むべき根本原因とされます。
注意点は、評価基準の客観性です。評価基準がブレてしまえば、原因の重要度を正しく把握できません。問題についてのデータを根拠としたり、異なる視点を取り入れたりすることで、なるべく主観的判断を除き、客観的な基準で危険性を判断しましょう。
より良い根本原因分析のためのポイント
多くのデータ・視点を取り入れる
問題は多くの場合、複数の原因が重なり合って発生します。そのため、思わぬところに重大な原因が潜んでいる可能性もあります。こうした原因を見つけるには、主観的な判断に頼らず、多くのデータと視点を取り入れることが重要です。
主観的な判断をしないために、問題の症状だけでなく、誰が、いつ、どのように発見したかなど、基本的なデータも漏らさず集めましょう。また、分析メンバー全員が積極的に発言することで、1人では見つけられなかった原因にも気づきやすくなります。
「誰が悪いか」ではなく「何が悪いか」を追及する
ほとんどの問題には、多かれ少なかれ人的ミスが含まれています。問題の原因を明らかにするには、そうしたミスも全て認識しなくてはなりません。
しかし、この分析においてはミスの責任を追及するべきではありません。分析メンバーの活発な発言を妨げますし、人的要因のみが原因である問題は稀です。むしろそのミスを引き起こした現場の仕組みに解決すべき原因があります。根本原因分析は「誰が悪いか」ではなく「何が悪いか」を追及し、いかなる責任も発生しない、この認識をしっかりチームで共有しておきましょう。
分析自体のプロセスを記録し、今後の業務改善に役立てる
根本原因分析に正解はありません。問題ごと、企業ごとにふさわしいやり方は異なります。今回行なった分析の記録を詳細に残しておき、有効性検証の段階で、そのプロセスの適切さも検証しましょう。効果的でもそうでなくても、プロセスの記録があれば将来の業務改善に役立てられます。
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