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【事例紹介】リスキリング実施例から学ぶ、成功させるためのポイント

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デジタルを活用した経営戦略、いわゆるDXが社会の標準となっていく中で、新たなIT人材を確保することは生き残りに欠かせません。そのための施策の一つが、リスキリングです。

しかし、学び直しという意味は知っていても、実施後のイメージを掴みかねるという人も多いのではないでしょうか。そこで本記事では、具体的な事例を紹介しつつ、リスキリングを成功させるためのポイントを紹介します。

リスキリングとは、業務上必要な新たな知識やスキルを社員に獲得させること

リスキリング(reskilling)とは、業務上必要なスキルや知識を社員に獲得させることであり、「学び直し」とも呼ばれます。現在進行しているDXに対応するには、これまで求められていたスキルとは異なるITの知識が必要です。そこで、DXを円滑に進めるべく、新たなスキルや知識を習得するためのリスキリングが注目されています。

リカレント教育との違い

リスキリングと同じような文脈で使われる言葉に、リカレント教育があります。この言葉は、会社員が大学に再度入学して「学び直す」ようなときに使われることが多いです。二つの言葉は学び直しという意味では同じですが、リカレント教育が社員が自分の意思で学び直すのに対し、リスキリングは企業が主導して社員に教育を促すという点で意味が異なります。

リスキリングの具体的事例

AT&T:教育を促進する環境づくり

AT&Tは、アメリカにおいてリスキリングを積極的に導入した最初の企業であるとされています。スマートフォンの普及によって、それまでの主要事業であったハードウェア領域に限界を感じたため、2020年までに新たに必要となるスキルを特定し、それを社員に身に付けさせる目的でリスキリングを実行しました。

AT&Tは従業員10万人に対して10億円を投じ、リスキリングのための様々な施策を実行しました。例えばキャリア開発支援ツールやオンライン学習プラットフォームの提供に加え、社内ジョブとそれに必要なスキルの明示、スキルアップに伴う報酬体系の確立など、社員自らが積極的に学習を行なうことを促進するような環境の整備に、特に力を入れています。

日立製作所:独自の学習教材を開発

日立製作所は、新規のDX事業をけん引できる人材を2021年度に3万人規模に強化する方針を打ち出し、デジタルスキルを持つ人材の育成を推進しました。

日立製作所のリスキリングの特徴は、グループ企業の日立アカデミーと協力して自社用の学習教材を開発したことです。教材は多数の学習コースを含んでいますが、DX人材育成のためのプログラムである「デジタルリテラシーエクササイズ」は、4つのステップを通じ、ITの基礎や課題の定義、課題解決計画の立案など、初心者でもITスキルを身に付けられるよう、丁寧なロードマップを提示しています。

サッポロビール:リスキリングの意義を明確化

サッポロビールは、全社員を対象にITスキルを身に付けさせるためのリスキリングを行なったうえで、学習コースを全社員向けの基礎である「全社員ステップ」、専門知識を習得する「サポーターステップ」、DX事業のポストを担うための最終段階である「リーダーステップ」の3つに分けました。こうしたコース作りは、ITスキルを身に付けることの意義や目的を明確化し、学びを促進するための風土作りに役立っています。

ワークマン:教育を通じた経営分析の自社完結化

ワークマンは、全社員向けにエクセル研修を4年間のカリキュラムで実施し、結果として全員が品揃えに対する売上を分析・検証して、品揃えを改善していくというスキルを獲得できるまでになりました。このように経営分析を自社で完結できるようにリスキリングを行なったことで、他社に外注した場合に発生したであろう資金の削減に成功しました。

キヤノン:研修プログラムによる新規事業強化

キヤノンは、長らくその主要事業であった事務用品やデジタルカメラの市場が縮小傾向にあるため、IT技術を活用した新規事業の開拓が急務となっています。そこで、社員に対して3~6カ月の研修を行なったのちに新しい部署に配属する、「研修型キャリアマッチング」を導入しました。これにより非デジタル人材にIT知識を身に付けさせたうえで、その知識が必要な新規事業の部署に配属し、事業の強化を目指しています。

リスキリングを成功させるためのポイント

企業自体が目的意識を持つ

リスキリングを成功させるためには、企業が明確な目的意識を持つことが重要です。DXが、デジタル技術を使った新たな経営戦略の創出を旨とする以上、DX人材とは、単にIT知識を身に付けた人材ではなく、新たな経営戦略を実行できる人材を意味します。

DXに必要な人材を育成するには、社員自らが経営分析できるようにするため、あるいは、新たな事業を開拓するためなど、企業自体の目的意識とそれに基づいた教育が必要になります。

企業が求めるスキルと役割を明確にする

リスキリングの目的が決まったら、その目的に必要なスキルと役割を明確にし、社員に提示しましょう。ただ単に学び直しをさせるのではなく、現在自社がどのような役割を求めていて、そのためにどのようなスキルが必要なのかを社員に明示することが大切です。

リスキリングの目的や、学び直した結果として予想されるキャリアプランが分かっていると、社員の学習に対するモチベーションの向上につながります。

学習を促す環境を作る

社員が自発的に学習を行なえるような環境を構築することはとても重要です。リスキリングは企業主導の学習ですが、そもそも、新たな知識を今から学び直すということは、社員にとって大きな負担になります。リスキリングを行ない良い結果を得るには、企業側が積極的に学習のための環境を作る必要があります。

学習を促す環境を作るためには、研修やスキルアップに伴う報酬など、リスキリングを円滑にするための制度を整えたり、IT初心者の割合や今後必要となるスキルなどに鑑みて、学習内容を調整したりすると効果的です。

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