コンプライアンス違反とは？違反が生じる理由やリスク、対策も紹介

コンプライアンス違反について意味は知っているけれど、リスクの大きさや対策方法についてまで理解している方は少ないのではないでしょうか。
今回は、コンプライアンス違反の概要やリスク、具体例、対策について解説します。

コンプライアンス違反とは、法令や規則などのルールに違反すること

コンプライアンス違反とは、企業活動において法令や規則などのルールに違反することを意味します。国や地方公共団体が定める法令や条例、規則に限らず、企業が定める規則や社会倫理、モラルなどに違反することもコンプライアンス違反に含まれます。

国内において企業の食品偽造や粉飾決算が相次いだことで、違反した場合のリスクや経営に対する影響の大きさが認識され、コンプライアンス違反が注目されるようになりました。

コンプライアンス違反が生じる原因

コンプライアンス違反が生じる原因としては、経営者や従業員のコンプライアンスに対する知識の不足や意識の欠如が挙げられます。法令違反などの判断が容易な事例を除いて、どのような行為がコンプライアンス違反に該当するのかが判断しづらいため、知らないうちにコンプライアンスに違反する行為をしてしまう事例も数多く存在します。

また、コンプライアンス違反を事前に防止する体制が企業内で十分に整備されていないことも、コンプライアンス違反が生じる原因の1つと言えるでしょう。

コンプライアンス違反によって生じるリスク

不祥事が多発する

コンプライアンス違反を防ぐ体制が不十分な企業では、不正や不祥事が多発します。不正や不祥事が発生することで、被害を受けたステークホルダーからの損害賠償請求や行政処分による制裁を受けるおそれがあるだけでなく、場合によっては刑事罰の対象にもなります。

企業の社会的信用が低下する

コンプライアンス違反が発生すると、違反した事実が社会全体に公開されてしまい、企業の社会的信用が低下します。特にSNSが普及した現代社会においては、企業の不祥事がより多くの人へと拡散されやすいため、一度低下した社会的信用を取り戻すことは困難を極めると言えるでしょう。

事業を継続できなくなるおそれがある

コンプライアンス違反が発生すると、企業への評価が悪化して企業価値が低下するため、事業の継続が困難になります。コンプライアンス違反の事実を金融機関や投資家がネガティブに評価することで融資を受けられなくなってしまい、資本不足に陥って倒産する可能性があります。また、法令違反の制裁として行政処分による営業停止に陥り、事業を継続できなくなるおそれもあります。

コンプライアンス違反の具体例

コンプライアンス違反の主な具体例としては、以下のようなものがあります。

• 法律違反（景品表示法や下請法違反、著作権侵害など）
• 過労問題（長時間労働によるうつ病や過労死問題、サービス残業など）
• ハラスメント（セクシャルハラスメントやパワーハラスメント、モラルハラスメントなど）
• 不正会計（粉飾決算など）
• 情報漏洩（企業秘密の入ったUSBメモリの紛失や外部からの不正アクセスによる情報流出など）
• 商品偽装（商品の性能偽装や検査偽装、産地偽装など）

社会的に容認されない行為は社会からコンプライアンス違反と評価されるおそれがあることに注意が必要です。企業としては、どのような行為が社会的に容認されないのかを正確に判断して、発生を未然に防ぐなど適切な対応をとらなければなりません。

コンプライアンス違反を防止するための具体的な方法

コンプライアンス遵守の体制を整備する

コンプライアンス違反の防止のために、コンプライアンス遵守の体制を企業内で整備することが重要です。具体例として、コンプライアンス違反に関する相談窓口の設置や監視・監督体制の構築が考えられます。企業内の事情に恣意的な関心を持ち込まないため、第三者機関を設置することも公平な監視・監督の観点から効果的です。

コンプライアンスを徹底的に周知する

コンプライアンス違反を防ぐために、コンプライアンス遵守について社員に対して徹底的に周知することが大事です。コンプライアンスに関する制度や社内規則を社員に周知し、コンプライアンス違反に対して迅速に対応できるようにしましょう。また、定期的にコンプライアンス研修や講演会を実施することも、コンプライアンス意識を高めるためには有効です。

ガイドラインを作成する

コンプライアンス違反を防止するには、コンプライアンスに関する明確なガイドラインを企業内で作成することが不可欠です。ガイドラインによって、コンプライアンス上許容される行為と許容されない行為の区別が明確になり、社員が判断に困ることなく業務に取り組めるようになります。