「好意の返報性」という言葉をご存知ですか?人は他者から好意を受けると、ついその好意に応えたくなる心理が働きます。この心理現象を「好意の返報性」と呼びます。好意の返報性を理解し活用できると、人間関係やビジネスにおいて強力な武器となります。
今回は、好意の返報性の意味や成り立つ条件、ビジネスで活用する際の注意点を紹介します。
目次
好意の返報性とは、相手に好意を示されるとお返しをしたくなる心理のこと
好意の返報性とは、他者から好意を受けると、自然とその好意に応えたくなる心理のことです。相手から受けた親切や好意に対して、何かしらの形でお返しをしたくなるというのが、この心理の基本的な仕組みです。
好意の返報性は、社会心理学における「返報性の原理」の一つです。返報性の原理とは、人から何かをしてもらったらお返しをしなければならないという感情になる心理作用のことです。
「返報性の原理」の詳細は、以下の記事をご参照ください。
その他の返報性の原理
返報性の原理には好意の返報性以外にもいくつかの原理が存在し、それぞれ異なるシチュエーションで発揮されます。
- 敵意の返報性
敵意を向けられた際、その相手に対して敵意を返したくなる心理のこと
例)他者から嫌がらせや否定的な態度を受けた場合、その人に同様の敵意を向けてしまう - 譲渡の返報性
何かを譲ってもらったとき、相手に何かを返したくなる心理のこと
例)チームメンバーが仕事で手助けしてくれたとき、そのお返しとして自分も彼らのプロジェクトに協力するなど、行動での返礼を行おうとする - 自己開示の返報性
相手が自分に対して本心を開示すると、それに対して自分も同じように本心を開示しようとする心理のこと
例)同僚が仕事のストレスや悩みを話してくれた場合、自分も同様に悩みを打ち明けようとする
好意の返報性が成り立つ条件
相手との関係性が最低限構築されている
信頼関係が築かれているなど、相手との関係性が一定以上構築されている方が好意がより深い影響を与え、返報性が高まりやすいと言われています。
反対に、相手との関係が構築されていない状態で好意を示すと、相手にとって不快感を与えるおそれがあるため注意が必要です。
表情や態度から相手に好意が伝わっている
好意の返報性を成り立たせるには、言葉だけでなく表情や態度も重要です。相手に対して友好的な態度を示すことで、好意の返報性が成り立ちます。
相手に余裕がある
相手が何かに追われているような状態では、好意の返報性が発揮されにくいことがあります。相手に余裕があるタイミングで好意を伝えることで、好意の返報性が成り立ちやすくなります。
ビジネスで活用する際の注意点
「お返し」を期待しすぎない
ビジネスにおいて他者に好意を示すことは重要ですが、その際には相手に「お返し」を期待しすぎないようにしましょう。相手に対して何かをしたからといって、同じようなお返しを期待することは避けるべきです。ビジネスはお互いの協力と信頼に基づくものであり、無理な期待は逆効果となる可能性があります。
相手からのお返しを期待しすぎると、嫌悪感を抱かれるだけでなく、悪い口コミが広がるおそれがあるため注意が必要です。見返りを求めず、相手に喜んでもらいたいという気持ちで接することが大切です。
ギブ&テイクのバランスを考慮する
ビジネスの世界では、ギブ&テイクのバランスが重要です。自分が他者に提供する価値と、他者から得る価値を考えながら行動しましょう。一方的な好意やサービスを提供しすぎず、お互いに利益が生まれるようなバランスを心がけると良いでしょう。持続的なビジネス関係を築くためには、お互いが満足できる形を構築することが必要です。
好意が相手の負担にならないようにする
相手に一方的に好意を示すと、下心を疑われたり、「ちゃんとお返しをしなければ」と負担に感じさせたりしてしまいます。相手との関係性を加味した上で、プレッシャーを与えすぎないような手段で好意を示しましょう。
さらに、相手の負担にならない「お返し」の仕方を提示するのも効果的です。例えば、好意として自社サービスの無料体験を提供し、代わりに簡単なアンケートを提示しておくという方法が挙げられます。アンケート回答をお返しとすることで、「無料体験させてもらったのだから契約するべき」というプレッシャーを和らげて気軽に体験してもらえるようになり、サービスの認知拡大につながります。
また、好意を示す際には相手の状況を考慮することも大切です。人は繁忙期やトラブルの渦中にあるとき、好意を受け取る余裕がなくなるものです。相手の状況を把握し、好意を示すタイミングにも注意する必要があります。
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