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返報性の原理とは|分類やビジネスへの活用法を紹介します

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「返報性の原理」とは何かご存知ですか?返報性の原理は日常生活やビジネスシーンでも幅広く活用されています。

この記事では、返報性の原理とは何かというところから、分類やビジネスへの活用方法までを紹介します。

返報性の原理とは、他人からしてもらったことに「お返ししなければならない」と感じる心理作用のこと

返報性の原理とは、他人から何かしてもらったときに「お返しをしなければ申し訳ない」と感じる心理作用のことをいいます。返報性の原理は、社会心理学者ロバート・B・チャルディーニ氏の著書「影響力の武器」で紹介され、日本でもよく知られるようになりました。

返報性の原理を活用した日常生活でよくある例として、スーパーマーケットでの試食コーナーが挙げられます。スーパーを訪れたお客さんに試食してもらい、商品を買ってもらうという手法は返報性の原理を利用しており、「試食させてもらったのに、何も買わずに帰るのは申し訳ない」と思わせる効果があります。スーパーの試食だけでなく、洋服売り場での試着やバレンタインデー、ホワイトデーといった行事でも同じ心理作用が働いています。

返報性の原理の分類

好意の返報性

好意の返報性とは、相手から受けた好意や親切な対応をしてもらったときに、同等かそれ以上の行為をお返ししなければならないと感じる心理です。バレンタインデーやホワイトデーなど、恋愛にかかわる例が挙げられることが多いですが、恋愛に限らず、相手が親切にしてくれたり、褒めてもらったりすると、それをお返ししたくなるという気持ちが働きます。

敵意の返報性

敵意の返報性とは、相手から敵意を向けられたときに敵意を返したくなる心理で、好意の返報性とは真逆の意味を持ちます。皆さんも相手に悪口を言われたり、自分を蔑ろにされたりすると同じような態度で返したくなることもあると思います。

このように、好意の返報性がポジティブな意味での「お返し」であるのに対し、敵意の返報性はネガティブな意味での「お返し」を指します。

譲歩の返報性

譲歩の返報性とは、相手が自分を気遣って譲歩してくれたときに自分も同じように譲歩したくなる心理です。例えば、電車やバスで相手が席を譲ってくれたときや、エレベーターに乗るときに相手が「開く」ボタンを押して待っていてくれたときは、同じようにお返ししたいと思うのではないでしょうか。相手から受けた親切を返したくなるという点では、好意の返報性に似ているといえます。

ビジネスシーンで譲歩の返報性を活用したテクニックに、本命の要求を受け入れてもらうために大きな要求を先に提示する「ドア・イン・ザ・フェイス」というテクニックがあります。ドア・イン・ザ・フェイスについて詳しく知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。

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自己開示の返報性

自己開示の返報性とは、相手がオープンな態度で接してくれたときに、自分も同じように心を開いて接したいと思う心理です。初対面の人やまだあまり親しい関係ではない人と接するときは、失礼がないように委縮してしまいがちです。しかし、このような場面でも思い切って自己開示をすることで相手も心を開いてくれやすくなり、心理的な距離が縮まりやすくなるのです。

ビジネスシーンにおいては、チームに新しいメンバーが加わったときや営業での交渉の場面で活用できます。

返報性の原理をビジネスに活用する方法

無料のお試し商品・サービスを提供する

いきなり有料の商品やサービスを勧めるのではなく、第一段階として無料のお試し商品やサービスを提供することで、有料商品の購入へと誘導しやすくなります。例えば、無料で商品を提供する代わりにアンケート調査に協力してもらう、数日間のトライアルといった無料サービスを提供後に有料プラン加入を勧めるなどの手法があります。

質の高い商品・サービスを無料で提供することで、ユーザーの好感度を向上させ、将来の売り上げにつなげられます。

営業先には頻繁に足を運ぶ

返報性の原理は営業の場面でも活用できます。営業先への訪問回数を増やすことで、相手先の「こんなに熱心に通ってくれているのだから、契約しないと悪いのではないか」という気持ちを引き出す効果が期待されます。商品やサービスを新しく用意する必要がないため、比較的取り入れやすい手法といえます。

一貫性の原理との違い

返報性の原理と似た心理作用で「一貫性の原理」があります。一貫性の原理とは「自分の発言や行動、信念などに矛盾を起こさず、一貫した行動を取りたい」という心理作用のことです。
一貫性の原理は「自分に対する他人の行動」ではなく、「自分の言動の一貫性」が重視される点が返報性の原理と異なります。

一貫性の原理を活用した心理テクニックに「フット・イン・ザ・ドア」があります。このテクニックは「段階的要請法」とも呼ばれ、小さな要求から先に提示し段階的に要求の内容を大きくしていくことで本命の要求を通しやすくする交渉術です。また「フット・イン・ザ・ドア」は、返報性の原理を活用した「ドア・イン・ザ・フェイス」と対をなします。

一貫性の原理について詳しく知りたいという方は、こちらの記事もご覧ください。

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