クレショフ効果という言葉をご存知でしょうか?意味は知っているけれどマーケティングへの活用方法や活用の際の注意点については知らないという方も多いのではないでしょうか。
今回は、クレショフ効果の意味やマーケティングに活用する手順、活用する際の注意点について解説します。
目次
クレショフ効果とは、関連性のない映像や画像を無意識のうちに結び付けてしまう心理効果のこと
クレショフ効果とは、関連性のない映像や画像を無意識に結び付けてしまう心理効果のことを意味します。クレショフ効果は、ロシアのレフ・ウラジミロヴィチ・クレショフ氏が提唱したモンタージュ理論の中で示されました。クレショフ効果によって、本来は全く関係ない映像や画像であっても、前後に配置する順番によって異なる印象を相手に与えることができます。
クレショフの実験
クレショフ氏はモンタージュ理論において、クレショフ効果を確認するための実験を実施しています。実験の内容として、1つ目のグループには「スープの入った皿」の写真を、2つ目のグループには「棺に入った遺体」の写真を、3つ目のグループには「ソファに横たわる女性」の写真をそれぞれ見せた後に「無表情の男性」の写真を見せて、写真の男性の表情に感じた印象を尋ねました。
実験の結果は、「スープの入った皿」の写真を見たグループは「空腹」の感情、「棺に入った遺体」の写真を見たグループは「悲しみ」の感情を男性の表情から読み取ったと回答しました。一方、「ソファに横たわる女性」の写真を見たグループは「欲望」の感情を男性の表情から読み取り、同じ「無表情の男性」の写真でも直前に見た写真によって感じる印象が異なることが示されました。
文脈効果との違い
クレショフ効果と似ている心理効果として文脈効果があります。文脈効果とは、知識や経験をはじめとする文脈から推測して物事に意味を持たせる心理効果を指します。例えば、ある人が泣いているときに、悲しくて泣いているのか嬉しくて泣いているのかはそれだけでは分かりませんが、「直前に大学受験の発表があってその人が合格していた」という文脈から判断すれば嬉しくて泣いていると理解できます。
クレショフ効果と文脈効果は、他の情報から物事に意味を見出そうとする点で共通します。しかし、クレショフ効果は関連性のない情報を無意識に関連付ける一方で、文脈効果は物事を理解するために意識的に情報を関連付けようとする点で異なります。
プライミング効果との違い
クレショフ効果と関係のある心理効果としてプライミング効果があります。プライミング効果とは、事前に受けた刺激がその後の行動に影響する心理効果を指します。クレショフ効果は、刺激を受ける対象が画像や映像に限定されますが、プライミング効果はそれに限られないという点に違いがあります。
プライミング効果についてさらに詳しく知りたい方は、以下の記事もご覧ください
クレショフ効果をマーケティングに活用する手順
1. 顧客に伝えたいイメージを決める
まず、最終的に顧客に伝えたい自社商品・サービスのイメージを決定しましょう。例えば、比較的年齢層の低い若者を対象とした化粧品を売りたいのであれば、「安い」「美肌効果がある」などのイメージを選ぶことになるでしょう。
2. 選んだイメージを連想しやすい対象を決める
次に顧客に伝えたいイメージを連想しやすい映像や画像を選びます。「安い」「美肌効果のある」などのイメージを伝えたい場合は、肌がきれいで年齢の若い女性を対象とすれば、若者でも手を出しやすい値段で美肌効果もあると連想できるでしょう。
3. 商品・サービスと対象を結びつける
選んだ対象を組み合わせて商品・サービスに持たせたいイメージを顧客に伝えましょう。化粧品であれば、肌がきれいで年齢の若い女性が実際に化粧品を使用している場面を広告やCMで放送することで、安くて美肌効果のある化粧品であると顧客に伝えられます。
クレショフ効果をマーケティングに活用する際の注意点
想定していないイメージが顧客に伝わらないようにする
顧客に伝えたいイメージとは異なるイメージが伝わらないように注意が必要です。もし想定していないネガティブなイメージが伝わってしまうと、顧客の間でそのイメージが定着してしまい、その後にイメージを払拭するのは困難です。
曖昧すぎる表現を用いないようにする
顧客にイメージを伝える際は、曖昧過ぎる表現を用いないようにしましょう。曖昧な表現を組み合わせて特定のイメージを伝えることは確かに効果的ですが、曖昧過ぎる表現だとかえって何を伝えたいのか分からなくなるおそれがあります。
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