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ドミナント戦略のメリット・デメリットは?コンビニや飲食店を例に紹介
同じコンビニチェーンがお互いのすぐ近くに店舗を構えている光景を見たことはありませんか?
一見顧客を取り合ってしまいそうに見える店舗展開ですが、実はこのような店舗展開を行うドミナント戦略には様々なメリットが存在します。
今回は、ドミナント戦略のメリット・デメリットを解説します。
目次
ドミナント戦略とは特定のエリア内で集中的に出店する戦略である
ドミナント戦略とは、特定のエリア内で集中的に出店し、占有率を上げることによって全体の利益を上昇させる経営戦略です。
集中的に店舗展開を行う市町村や地域であるドミナントエリアを決め、そのエリア内でフランチャイズ展開などを実施します。
ドミナント戦略による経営展開の例
ドミナント戦略の最も代表的な例として挙げられるのは、セブンイレブンなどのコンビニチェーンによる店舗展開です。
特に都心部などで、道路の向かいに同じコンビニがあったり、数百メートルおきに同じコンビニチェーンが出店しているのもドミナント戦略の一環です。
コンビニチェーン以外にも、多くのスーパーなどの地域限定の小売店舗、ファミレスなどの飲食店もドミナント戦略を取っています。
同じ町や地域の中で集中的に出店することで、地域の信頼や認知度を高めています。
ドミナント戦略をとることのメリット3つ
店舗同士が近く、物流コスト・店舗間の移動コストが抑えられる
店舗が特定のエリア内に複数存在していることで、
- 店舗へ商品を配送するためのコストが抑えられる
- 店舗間の物や従業員の移動コストが抑えられる
などのメリットがあります。
店舗同士が離れていると店舗間で商品・食材を移動させたり、従業員が店舗間を移動したりするのに時間がかかってしまいます。
そのため、店舗を密集させることによって移動・物流コストの削減が可能になります。
また、1つのエリア内に店舗がまとまっている場合、一度の配送でより多くの店舗を回れるようになります。
エリア内で認知度が上がり、より地域に浸透しやすい
店舗は密集して立地していると、日常的に目につき、認知度が上がります。
地域に新しく参入したブランドの場合、はじめは不信感を持たれてしまうことがあります。
しかし、店舗が複数存在することで住人も見慣れるようになり、地域に浸透し始めるほか、メジャーなブランドであると認識され、安心感が生まれます。
これによって広告宣伝コストが削減できるだけでなく、周辺地域の住人に安心感や信頼を与えることができます。
また、エリア内の店舗と共同で地域に適した施策を実施できるようになります。
例えば、同じエリア内の店舗において地域の名産を販売したり、地域のイベントに関連したキャンペーンを実施したりすることが可能です。
競合の参入を防ぐことができる
地域内で独占的になっていると、他の企業の参入を防ぐことができます。
特に地方の場合、特定のスーパーや飲食チェーン店が既に独占的な市場を築き上げていることがあります。
このような場合、地域の人も使い慣れたスーパーを使うことを好むため、他のチェーンは顧客を奪い取るのが難しく、参入を躊躇します。
ドミナント戦略をとることのデメリット3つ
災害時や不祥事が発生したときに、他の店舗も共倒れしやすい
1つのデメリットとして、地震などの災害が地域に発生した場合、エリア内の店舗が一斉に被害に遭うことが考えられます。
特に、他の地域に店舗を持っていない場合、エリア外からの支援を受けることができなくなり、災害復旧が遅くなってしまいます。
また、1つの店舗において食中毒や事故、不祥事などが発生した場合も悪いイメージがエリア内のすべての店舗についてしまいます。
関係のないチェーン店までも印象が悪くなってしまい、特に地域限定ブランドだった場合、ブランド全体のイメージダウンに繋がります。
カニバリゼーションが起き、店舗間で顧客を取り合ってしまう
カニバリゼーションとは、グループ内で市場が重なり、商品の売上や顧客を奪い合ってしまう現象です。
特に同じコンビニチェーンの店舗が林立してしまった場合、地域内の顧客数は限られているため、結果として顧客を取り合ってしまいます。
そのため、ターゲットとする顧客のエリアがなるべく被らないように店舗を配置する必要があります。
需要が減少したときに、供給過多になってしまう
地域内の人口が減少してしまった場合や、新しく登場した競合に顧客を奪われてしまった場合、エリア内に店舗が多く存在しすぎてしまう可能性があります。
このようなケースでは、一部店舗の廃業やエリアから一部事業の撤退を行う必要が出てきます。
また、AmazonなどのECサイトの普及により、消費者にとって店舗の位置があまり関係なくなり、実店舗への需要が減少しています。
そのため、1つのブランドが特定の地域で独占的であることがあまり意味を持たなくなってきています。
地域限定の宅配サービスを実施したり、地域に関連したキャンペーンを実施し、エリア内の顧客を逃さないような施策を取ると良いでしょう。
ドミナント戦略を取る際に押さえたいポイント
地域にどのような属性があるか
ドミナント戦略は特定の地域を対象に行うので、その地域がどのような属性を持っているかは重要な判断要素です。判断材料は具体的には
- 現在の人口と将来予想される人口の増減
- 昼間の人口の増減(ベッドタウンであるかなど)
- 人の移動がどれくらいあるか(周辺に人通りの多い道路や駅などが存在するか)
などが挙げられます。
また、年齢層や世帯構成など、人口の構成要素も考えることが必要です。というのも、自社の提供価値と地域の住民のニーズが合っていないと、ドミナント戦略をとっても成功しないからです。
様々なセグメントから地域の属性を調べ、市場規模が拡大中または拡大予定の地域を選ぶようにしましょう。
地域にどのような需要があるか
ドミナント戦略を取りたい地域にどのような需要があるのかを調べることも重要です。というのも、需要の特性は地域によって違うので、自社が提供する商品自体がそもそもその地域の風土やライフスタイルには合わないということもあり得るからです。
例えば、関西風の味付けの商品を専門に扱っている食品店が関東に出店したとしても、その地域で売り上げを伸ばすのは困難だと予想できます。どうしても関東にもシェアを伸ばしたい場合、関東風の味付けの商品を開発するところから始めるべきです。
ドミナント戦略を取る際には、地域の需要の特性をしっかり考慮しましょう。
地域にどのような競合が存在するか
ドミナント戦略において非常に重要なのが競合の存在の有無です。というのも、ドミナント戦略はそのエリア内で優位性を築き、競合の参入を防ぐ狙いがあるからです。
したがって、「△△といえば○○」といったように競合のイメージがすでに定着している地域に参入することは賢明ではないといえます。
例えば、沖縄でアイスクリーム屋のドミナント戦略を取りたいと考えたとしても、すでに沖縄では「アイスといえばブルーシール」といったイメージが定着しているので、シェアを伸ばすのは容易ではないと予想できます。
発想を転換させれば、まだ特定のチェーン店や企業がドミナント戦略を取っておらず、イメージが定着していない地域に関してはドミナント戦略を取る余地が残っていると言えるでしょう。
いかがでしょうか?
今回は大手コンビニチェーンやスーパーが実施するドミナント戦略を紹介しました。
メリット・デメリットを参考にして独占的な市場の形成を目指しましょう!
まずはこれだけ。新規開拓営業を始める時の心得
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