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監査役会設置会社とは?|メリットやデメリット、監査役の役割も紹介
「監査役会設置会社という言葉は聞いたことがあるが、具体的にどのような会社なのか分からない」という方も多いのではないでしょうか。そこで今回は、監査役会設置会社の定義やメリット・デメリット、監査役の役割を紹介します。
目次
監査役会設置会社とは、株式会社の統治形態の一つ
公開会社である大会社(資本金5億円以上または負債額200億円以上の会社)は、監査役会設置会社、監査等委員会設置会社、委員会設置会社の3通りの統治形態を選択することができます。監査役設置会社はこの3つのうち最も古い形態であり、上場企業の多くが監査役会設置会社の形態を採用しています。
監査役会設置会社では、取締役会から独立した監査役会が業務や会計に関する監査を担います。監査役会は3人以上、かつその過半数は社外監査役である必要があります。つまり、最低でも2名の社外監査役を用意する必要があります。
また監査役と取締役との兼任は禁止されているため、社外取締役を登用したい場合は、監査役以外に別途で社外役員を用意する必要があります。そのため、この場合は最低でも3人の社外役員が求められます。
監査等委員会設置会社との違い
監査役会設置会社に似た株式会社の統治形態に、監査等委員会設置会社が挙げられます。監査役会設置会社では、取締役から独立した監査役会が事業や会計に関する監査の役割を担いますが、監査等委員会設置会社では、取締役会の中に設置された監査等委員会がそれらの監査を担当します。
監査役会設置会社では監査役と取締役の兼任はできませんが、監査等委員会設置会社では、監査を担う人が取締役としての地位を有するため、取締役会における議決権を有しています。
また、監査役会設置会社では最低1名以上の常勤監査役が求められますが、監査等委員会設置会社では監査等委員が常勤であることまでは求められていないという違いもあります。
監査委員等設置会社についてより詳しく知りたい方には、こちらの記事が参考になります。
監査役の職務や権限
監査役の職務には、「業務監査」と「会計監査」の二種類がある
監査役の職務は、会社の業務が適切に行われているかを監査する「業務監査」と会社の会計が適切に運用されているかを監査する「会計監査」に分けられます。非公開会社では、監査役の監査の範囲を会計監査に限定することが認められていますが、監査役会設置会社では監査役が業務と会計の両方を監査することが求められます。
監査役は、事業報告や取締役会の招集を求める権限を有する
監査役は、業務や会計の監査を行う役職ですが、それ以外にも様々な権限が認められています。監査役の権限には以下の4つが挙げられます。
- 会社および子会社に事業報告を求める権限
- 会社および子会社の業務及び財産の状況を調査する権限
- 取締役会の招集を請求し、その二週間以内に召集の通知が発せられない場合に自ら取締役会を招集する権限
- 取締役が定款や法令違反の行為をし、会社に著しい損害が生じる恐れがある場合に、その行為をやめさせる権限
監査役会設置会社のメリット・デメリット
メリット①:独任制であるため、監査をより強力に行える
監査等委員会設置会社では、監査委員会という合議制の組織によって監査が行われますが、監査役会設置会社における監査役会は独任制であり、監査役一人一人が単独で権限を行使することができます。
また、監査役会は取締役会から独立した機関であるため、より厳しい監査が期待できます。このような仕組みを持つ監査役会設置会社の形態を採用することで、社外に対して会社の透明性のアピールが可能です。
デメリット①:報酬や登記に費用がかかる
監査役会設置会社では、社外取締役を登用する場合は少なくとも3名の社外役員(社外監査役2名+社外取締役1名)を用意する必要があります。一方で監査委員等設置株式会社は、2名の社外役員で足ります。そのため、監査役会設置会社では社外役員に支払う役員報酬が多くなりやすい傾向があります。
また、監査役は取締役と同様に任期(取締役は2年、監査役は4年)が定められていて、登記が必要です。これらの任期は定款によって変更可能であり、同じ周期にしていれば問題ありませんが、周期にずれがあると登記の頻度が増え、それにかかる費用も増大します。
デメリット②:海外における認知度が低い
監査役会設置会社は日本では一般的ですが、委員会設置会社が主流である欧米をはじめとした海外では、あまり馴染みのない統治形態です。海外の投資家は、会社の将来性だけでなく、コーポレートガバナンスが適切に行われているかといった会社の透明性も出資への大きな判断材料にする傾向があります。そのため、海外の投資家などから会社の仕組みについて理解してもらい、出資を得ることに困難を伴いやすいというデメリットがあります。
いかがでしたか?監査役会設置会社は株式会社の統治形態の一つで、日本では一般的に用いられています。また独任制であることや、必要な社外役員の人数などにおいて監査等委員会設置会社と異なります。
今回紹介したポイントを参考にして、監査役会設置会社への理解を深めましょう。
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