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【事例付き】ノーレイティングとは│メリット・デメリットを解説
ノーレイティングという言葉を聞いたことはありますか?
これは、従来のランク付けによる人事評価に代わる新たな人事評価制度です。
今回はノーレイティングについて、メリット・デメリットや報酬などの決定基準を解説します。
目次
ノーレイティングとは、ランク付けを行わない人事評価制度のこと
ノーレイティング(No Rating)とは、従業員に対して「S」「A」「B」「C」といったランク付けを行わず、日常的な1on1ミーティングとフィードバックの中で評価を行う人事評価制度を指します。あくまでランク付けをしないだけであり、「人事評価を行わない」ということではないので注意が必要です。
ノーレイティングの基礎となっているのは、「パフォーマンスマネジメント」と呼ばれる組織マネジメントの手法です。パフォーマンスマネジメントでは、次の5つのルールをもとに人事評価と目標管理を行います。
- リアルタイム評価:高い頻度で面談を行い、目標の再設定やフィードバックによってパフォーマンスを向上させる
- 未来志向:過去の仕事内容や成績には触れず、将来的な成長を意識した評価を行う
- 強みの重視:従業員個人の強みを生かせる目標設定を行う
- 個人単位の目標設定:会社全体の目標を個人に落とし込むのではなく、個人起点で目標を考える
- コミュニケーション促進:従業員どうしの競争を促進するのではなく、協調をサポートする
ノーレイティングは、パフォーマンスマネジメントの考え方が具体的な制度となった一例であるといえます。
従来型のランク付けによる人事評価の問題点
従来の人事評価では、期末や年度末に従業員を成績によってランク付けし、それによって報酬や昇進などの判断を下していました。このような評価方法には、次のような問題点が存在します。
【ランク付けによる人事評価の問題点】
・画一的な基準で評価するため、 独自の強みやスキルを持った人材が評価されにくい
・相対的な評価のため、高い評価と低い評価の中間に位置する従業員が多くなりやすく、モチベーションが低下する
・期末や年度末に過去の成績に基づいた評価を行うため、「過去の自分」への評価になってしまう
近年ではこのような問題に対処できる人事評価制度として、ランク付けを行わないノーレイティングが注目を集めているのです。
ノーレイティングのメリット
ノーレイティングのメリットとしては、次のようなものが挙げられます。
- 従業員のモチベーションとパフォーマンスが向上する
1on1ミーティングを通して従業員一人ひとりと向き合って人事評価を行い、短いスパンで目標設定とフィードバックを繰り返すため、従業員のモチベーションを高められる。その結果としてパフォーマンスも向上する。 - 外部環境の変化に対応できる
定期的に1on1ミーティングを行うことで、業界や市場の変動を反映させて目標を設定できる。状況に応じた柔軟な評価や目標設定が可能である。 - 評価に対する納得感が高まる
従来のランク付けのような相対的な評価ではなく、従業員一人ひとりに対して個人目標を設定しながら評価を行うため、従業員も自身に対する評価や目標設定に対して納得できる。
ノーレイティングのデメリット
ノーレイティングのデメリットは、評価を行う管理職の負担が増大することです。ノーレイティングにおいては、管理職が部下との1on1ミーティングを通して評価を行うため、必然的に多くの時間と労力を要します。
また、ノーレイティングでは画一的な基準がなく、評価が管理職の裁量に任されているため、管理職に高いマネジメント能力がなければ制度が十分に機能しないおそれがあります。
ノーレイティングにおける報酬や昇進の決定基準
報酬の決定基準
ノーレイティングにおいては、人事評価を担当する上司が、部下の働きぶりを見て給与・賞与といった報酬の配分を決定するのが一般的です。上司は1on1ミーティングを通じて部下の業績や能力に応じた柔軟な評価が可能であり、部下も自身への評価を実感しやすくなります。
昇進の決定基準
昇進についても、人事評価の担当者である上司が昇進の可否を決定します。その際、従来のランク付け評価における昇進決定の場合と同じく、個人の業績や能力だけでなく、リーダーシップなどの適正も含めて総合的に判断します。
また、上司が人事担当者と相談し、その従業員をどんな人材に育てたいかを考慮して昇進の決定を行う場合もあります。
ノーレイティングを導入している企業の例:アクセンチュア
ノーレイティングを導入している企業の例として、大手コンサルティング会社のアクセンチュアがあります。アクセンチュアでは、従業員自らが目標設定を行い、会社がそれを支援する「パフォーマンス・アチーブメント」という独自の評価制度を実施しています。
また、従業員一人ひとりに対してキャリアに関するアドバイスを行うカウンセラーを割り当てるなど、個人と向き合った人材育成に取り組んでいます。
いかがでしたか?
ノーレイティングとは新たな人事評価制度であり、ランク付けを行わずに、日常的な1on1ミーティングによって評価するものです。
この記事を参考に、ノーレイティングのメリットやデメリット、報酬や昇進の決定基準について押さえておきましょう。
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