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買収に対抗する焦土作戦とは?リスクや事例についても解説

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ビジネスにおける「焦土作戦」とは、敵対的買収に対する防衛策を指す言葉です。
今回は焦土作戦について、実行に伴うリスクや事例を解説します。

焦土作戦とは、重要な資産や事業を売却することなどによって、買収の意欲を下げる買収防衛策

焦土作戦とは、重要な資産や事業の売却や、負債の保有などによって企業の魅力を下げ、買収の意欲を削ぐ買収防衛策を指します。クラウンジュエルと呼ばれることもあります。
元々は戦争における戦術を指す言葉です。防御側が、攻撃側に奪われる地域の施設・食料などを焼き払い、利用価値を残さない戦術をいいます。

焦土作戦は、以下のような方法を用いて企業の魅力を下げることで実行されます。

  • 事業の譲渡
  • 重要財産の売却
  • 子会社の譲渡、分社化
  • 負債の引き受け

このうち、事業の譲渡、および子会社の譲渡の一定の場合には、取締役会での決定に加えて株主総会での承認が必要になります。

焦土作戦のリスク

重要な資産や事業を失ってしまう

焦土作戦のリスクのひとつは、買収防衛と引き換えに重要な資産や事業を失ってしまうことです。資産を売却する場合、適正価格で売ると資産に見合った対価を得ることになるため、魅力を下げることにはなりません。
そのため、適正価格以下で処分する必要があり、確実に損をすることになります。企業としての魅力や競争力を失うだけでなく、既存の株主にも大きなダメージを与えることになりかねません。

自分の資産を失うことを避けたい株主は、焦土作戦に反対するおそれがあります。そうした場合には、買収がスムーズに進められてしまいます。焦土作戦による防衛を試みる際には、目的や必要性をアピールし、株主からの協力を得ることが必要です。

取締役が善管注意義務違反・忠実義務違反を問われるおそれがある

企業の取締役には、企業の資産を、経営のために責任を持って運用する「善管注意義務」企業に忠実に行動する「忠実義務」が課せられています。
焦土作戦によって重要な資産を処分した場合、売上や企業価値の低下などによって経営が傾き、取締役による資産の処分が善管注意義務や忠実義務に違反したと判断されるおそれがあります。株主がクラウンジュエルに反対していた場合には、株主から義務違反を追及されて訴えられることもあり得ます。

このように、焦土作戦は既存の株主に不利に働く場合も多く、買収防衛策として焦土作戦を実行するのは現実的ではないと考えられています。

焦土作戦の事例

ライブドアによるニッポン放送の買収

国内において焦土作戦が見られた事例のひとつは、2005年のライブドアによるニッポン放送の買収です。ライブドアは、ニッポン放送の買収を通じてその子会社であるフジテレビの経営権を握ることを目的に、ニッポン放送に対して敵対的買収を仕掛けました。

これに対して、ニッポン放送はフジテレビの株式の売却をほのめかしました。しかし、ライブドアが買収から手を引いたため、ニッポン放送による焦土作戦が実行されることはありませんでした。

前田建設による前田道路の買収

最近の例には、2020年の前田建設による前田道路の買収が挙げられます。前田建設の買収の目的は、前田道路の持つ豊富な資金であるといわれていました。これに対し、前田道路は現金などの有価物約850億円のうち60%超に当たる約535億円を特別配当金として社外に流出すると発表しました。

前田道路は、焦土作戦に加えてホワイトナイト(友好的な第三者に買収してもらう形の防衛策)も検討するなど、徹底抗戦の姿勢を見せましたが、結果的には前田建設による買収が成立しました。

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まとめ

いかがでしたか?

焦土作戦は敵対的買収に対する防衛策として有効なものの、重要資産の喪失や取締役の善管注意義務違反など、いくつかの大きなリスクが伴います。

この記事を参考に、事例もあわせて焦土作戦について理解しておきましょう。

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