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株主価値を正しく理解し、企業価値の把握につなげる|基本を解説

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「株主価値」「企業価値」「事業価値」という言葉をご存知ですか?
一見似ている用語同士ですが、それぞれ異なる意味や用途を持っています。

今回は、「株主価値」を理解するために、「企業価値」「事業価値」も合わせて解説します。

株主価値とは実際に株主に帰属する額

株主価値」について理解するには、株主価値と密接な関係にある「企業価値」や「事業価値」についても理解する必要があります。
株主価値、企業価値、事業価値には以下の図のような関係があります。

株主価値は、企業価値の中でも株主に帰属する価値のことを指します。

企業価値とは、企業そのものの経済的な価値を示します。企業が生み出すフリーキャッシュフロー(企業が自由に使えるキャッシュ)、「将来獲得する通貨と現在獲得する通貨の価値は違う」という考えのもと、現在価値に直したもので表されます。

フリーキャッシュフローや割引率については、以下の記事を参考にしてみてください。

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株主価値だけでは企業価値は判断できない

株主価値は「企業価値ー負債価値」でも表されます。負債価値とは、債権者から借り入れた価値なので、いずれ返却する必要があります。そのため、株主価値が高くても負債価値も多い場合、企業が自由に使える金額は実際は少なく、あまり有望な企業ではない場合も考えられます

例えば、企業価値が1000万円のうち、株主に帰属する価値と債権者に帰属する価値の割合が、「株主:債権者が8:2のA社」「株主:債権者が2:8のB社」を比べると、企業価値の割合の多くを株主から獲得しているA社のほうが、将来的に期待ができると考えられます。

企業価値をもとに株価が定められる

企業価値は時価総額と等しいとみなされ、時価総額(=企業価値)を発行済株式総数で割ることで、株価が求められます。かつては、企業を経営する上で、売上高や利益が重視されていました。しかし、現在では時価総額が高い企業は「安定している」「将来性がある」「企業規模が大きい」と判断されるため、経営者は企業価値の最大化を目指します。

また、企業価値はM&Aを検討する場合の買収額に直結するため、買収額が高い企業は企業価値も高い企業とみなすことができます。

株主価値は、事業価値、非事業資産価値、負債価値でも表される

株主価値は、下の図のように「株主価値=事業価値+非事業資産価値ー負債価値」とも表されます。

事業価値とは、実際の事業によってもたらされるキャッシュフロー

事業価値とは、製造業であれば商品の売上、サービス業であればサービスの報酬など、実際の事業によって生じるキャッシュフローです。事業価値は一般的に、DCF法を用いて算出されます。 DCF法に関する詳しい説明は、以下の記事を参考にしてみてください。

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非事業資産価値とは、資産運用など、事業以外でもたらされる価値

非事業資産価値とは、現金預金や貸付金、有価証券、出資金、遊休不動産、保険積立金などの、事業価値には関係なくても、売却することでフリーキャッシュフローを獲得できる資産を指します

このように、「事業で生まれるフリーキャッシュフロー」と「事業以外で生むことができるフリーキャッシュフロー」を足すことで企業価値が求まり、ここから債権者から借りている負債を引くことで、株主価値が求められます

企業価値の3種類の算出方法

株主価値と密接な関係を持つ企業価値について、最もメジャーとされている3種類の算出方法を解説します。

マーケットアプローチ
マーケットアプローチは、類似する企業や同じ業界の他企業の株価を参考に、企業価値を決める方法です。市場株価を参考にするため、客観的な評価ができる一方、相続を前提としている点や、類似企業がない場合は評価が不正確なことがデメリットとして挙げられます。

インカムアプローチ
インカムアプローチは、企業の収益獲得能力やキャッシュフロー予想、固有の特徴などを反映させる評価方法です。それぞれの企業の特徴を反映できる反面、将来性を考慮する手法なため、恣意性が排除しづらく、客観性を欠いてしまうことがデメリットです。

コストアプローチ
コストアプローチは、貸借対照表に記されている純資産価値をもとに企業価値を算出する方法です。清算など、企業の資産を全て売却する際に使用されることが多く、客観的に企業価値を算出できる一方、収益獲得能力やブランド力などの固有価値を含まないことがデメリットです。

まとめ


いかがでしたか?
今回は、株主価値をメインとして混合されがちな企業価値と事業価値について解説しました。一見似ているように見える3つの価値ですが、それぞれが異なる意味や用途を持っています。
正しく理解し、混同しないようにしましょう。

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