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会計帳簿の「主要簿・補助簿」とは|種類ごとに特徴も解説

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会計帳簿が主要簿と補助簿に区別されることはご存じですか?主要簿と補助簿はそれぞれ役割が違い、その中でもさらに分類され、記録する内容が異なります。
今回は、主要簿・補助簿について、記録する項目を種類ごとに解説します。

会計帳簿は大きく「主要簿・補助簿」に区別される

会計帳簿とは、取引によるお金の流れを記録するもので、主に決算書を作成するために用いられます。会計帳簿は、日々の取引全てが記録されている「主要簿」とその記録を補う「補助簿」に区別され、単式簿記複式簿記かで必要な帳簿が異なります。

単式簿記は、6つの補助簿(現金出納帳・預金出納帳・買掛金元帳・売掛金元帳・経費帳・固定資産台帳)のみの提出が求められます。一方、複式簿記ではこれらに加え、主要簿(仕訳帳・総勘定元帳)も提出しなければなりません。

会計帳簿を記録する理由は大きく以下の2つです。

会計帳簿の作成は法律で定められている

会社法第432条によって、企業は正確な会計帳簿の作成が義務づけられています。また、10年間保存することも法律によって定められています。

【会社法第432条】

株式会社は、法務省令で定めるところにより、適時に、正確な会計帳簿を作成しなければならない。

青色申告で65万円の控除を受けるためには、主要簿が必要

補助簿のみの提出でよい単式簿記は、簡単に作成できますが、青色申告で10万円の控除しか受けることができません。一方、主要簿も含む複式簿記では、青色申告で65万円の特別控除が得られます。複式簿記は単式簿記よりも手間がかかり、簿記に関する専門的な知識もいる分、得られるメリットが大きいわけです。

主要簿とは、簿記上の全ての取引を記録する会計帳簿のこと

主要簿は日記帳・仕訳帳・総勘定元帳に分かれ、この順に書くことで主要簿を正確に記録しやすくなります。

主要簿に記載する「借方・貸方」とは?

主要簿の記入項目に「借方(かりかた)」「貸方(かしかた)」があります。借方とは「資産の増加・費用の発生を計上するもの」で、貸方とは「負債・純資産の増加・収益の発生を計上するもの」を言います。主要簿を書くときは、同じ取引における借方と貸方の金額が一致することに気をつけなければなりません

詳しくはこちらの記事を参照ください。

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日記帳

日記帳は日々の全ての取引を発生順に記録し、仕訳帳・総勘定元帳を作成するときの備忘録として活用します。日記帳の作成は法律では義務化されていませんが、正確な仕訳帳・総勘定元帳を作成するためにも、日々の取引を記録しておくことは有益です。

仕訳帳

仕訳帳は、日々の取引を発生順に、勘定科目と金額を借方・貸方に分けて記録したものです。摘要欄には、その取引が発生した具体的な内容を書きます。
書き方の例を以下に示します。

日付 借方勘定科目 貸方金額 貸方勘定科目 借方金額 摘要
11/25 現金 ¥1,000 売上 ¥1,000 家具

総勘定元帳

総勘定元帳は、全取引を勘定科目ごとに分類して仕訳帳から転記することで作成します。それぞれの勘定科目ごとに、全ての取引における残高を一括で把握できるメリットがあります。仕訳帳から転記する際に、写し間違いなどが起こらないように気をつけましょう。

補助簿とは、取引を内容ごとに記録する会計帳簿のこと

補助簿は「得意先との取引」のように、取引の内容別でお金の流れを把握するために作成します。総勘定元帳では、勘定科目ごとの取引は分かりますが、より詳細な項目を見ることができません。自分が確認したい取引ごとに補助簿を作成しておくと、見返す際に手間が省けて便利です。

現金出納帳

現金出納帳とは現金での取引を記録する帳簿で、入金伝票と出金伝票を基に作成します。現金のやりとりをした日付、勘定科目・取引内容、入金額・出金額および差引残高を記入します。差引残高とは「前日の差引残高+当日収入金額-当日支払金額」で計算される数値です。

現金出納帳を利用すれば、日々の現金の増減が確認できるほか、帳簿上の現金残高と実際の現金残高に誤差が生じていないかを見ることもできます

預金出納帳

預金出納帳とは、銀行口座ごとに取引を記録する補助簿です。当座預金や普通預金に着目して、現金の流れを把握することができます。預金出納帳には、取引の日付、勘定科目・摘要、入金額・出金額および残高を記録します。

売掛金元帳(得意先元帳)

売掛金元帳とは、得意先ごとに売掛金をまとめた補助簿で、商品名、個数、単価、取引金額および残高を詳細に記載します。過去の取引をまとめることで、得意先との関係の把握が容易になるほか、見込みの掛売上も予測できます。

買掛金元帳(仕入先元帳)

買掛金元帳とは、仕入れ先ごとに買掛金をまとめた補助簿で、売掛金元帳と同様に各項目について詳細に記録します。将来必要になる支払額や、債務を管理することができます。

固定資産台帳

固定資産台帳とは、減価償却する固定資産ごとに取引を記録した補助簿で、固定資産を有する企業が作成します。固定資産とは、購入時にかかった全金額が10万円以上で1年以上使用する資産にあたり、身近な例として車や工場設備などが挙げられます。固定資産台帳には、資産名、購入日・使用開始日、取得価額、当年償却額、年初・年末帳簿価額を記入します。

経費帳

経費帳とは、仕入以外の必要経費を勘定科目ごとに記録する補助簿です。経費帳を分類する勘定科目には、消耗品費、地代家賃、水道光熱費、給与賃金などが挙げられます。経費帳には日付、摘要、支払金額を記入します。

その他の補助簿

代表的な補助簿について説明してきましたが、その他の補助簿についても解説します。

  • 受取手形記入帳
    受取手形記入帳には、手形を受け取った際に振出人、期日、金額、手形の種類などを記録します。
  • 支払手形記入帳
    支払手形記入帳には、手形を振り出した際に、日付や金額、手形の種類などを記録します。
  • 売上帳
    売上帳では、商品・サービスの販売に関する取引を、発生順に記録します。値引きや返品が行われた場合についても正確に書く必要があります。
  • 仕入帳
    仕入帳では、商品の仕入れに関する取引を、発生順に記録します。
  • 商品有高帳
    商品有高帳では、取引が行われた商品ごとに数量、単価、金額を記録します。商品有高帳を書くことにより、商品ごとの在庫数を把握できます。

 

まとめ

いかがでしたか?

会計帳簿は大きく主要簿と補助簿に分かれ、役割が異なります。自分にとって必要、または役に立ちそうな会計帳簿を確認し、正確に作成することを心掛けましょう。

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