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合弁会社とは?設立の手順やメリット・デメリットを解説
合弁会社という言葉を知ってはいるものの、その形態や株式会社との違いまでは知らないという方もいらっしゃるのではないでしょうか?
今回は合弁会社のメリット・デメリットや設立する手順を解説します。
目次
合弁会社とは複数の会社の出資で設立される会社のこと
合弁会社とは、事業を共同で行うことを目的として、複数の会社が共同で出資して設立する会社のことを指します。ジョイント・ベンチャーと呼ばれることもあります。また、複数の会社が既に存在している企業の株式を、共同で取得し運営する場合も合弁会社とされます。
合弁会社は会社法に規定された法人形態ではない
会社法で規定される法人会社には、株式会社・合同会社・合名会社・合資会社の4つがあります。それぞれの特徴は以下の通りです。
- 株式会社
出資者は株主であり、間接有限責任を負う。 - 合同会社
持分会社の一種。出資者は社員であり、間接有限責任を負う。 - 合名会社
持分会社の一種。出資者は社員であり、直接無限責任を負う。 - 合資会社
持分会社の一種。出資者は社員であり、直接無限責任または直接有限責任を負う。
※間接有限責任・・・倒産の際などに、債権者に対し出資額を上限として間接的に弁償する
※直接無限責任・・・倒産の際などに、債権者に対し上限無く直接的に弁償する
※直接有限責任・・・倒産の際などに、債権者に対し出資額を上限として直接的に弁償する
一方、合弁会社は、これらの4つの法人形態とは違って会社法に規定されていません。複数の会社の共同出資で設立する会社を、慣例的に合弁会社と呼んでいるに過ぎないのです。つまり、合弁会社は会社法に規定されている株式会社・合同会社・合名会社・合資会社のどの形態で設立されるかに明確な決まりはありません。
しかし、倒産の際などに債権者に対し、出資額分だけ弁償する必要がある「株式会社」または「合同会社」の法人形態で設立される場合が大半です。
合弁会社の出資比率は公平な場合が多い
合弁会社を設立する際の出資比率は公平に設定される場合が多いです。例えば、2つの会社で合弁会社を設立する場合は50%ずつの出資比率に設定されます。ただし、どの程度新設会社の運営を担当するかといった貢献度や、会社を設立した目的などを踏まえ、出資比率に差をつける場合もあります。
合弁会社設立のメリットとデメリット
メリット
合弁会社を設立するメリットは以下の通りです。
- リスクを分散できる
複数の会社で出資して会社を設立するため、コストを抑えられる。また、損失が出た際の賠償も複数社で行うため、リスクが小さくなる。 - 提携先の経営資源を活用できる
提携先の会社が保有しているインフラや技術、ブランド力などの経営資源を活用できるため、事業を立ち上げるハードルが低くなる。 - スムーズに海外進出できる
新たに海外に進出したい場合、現地の会社と合弁会社を設立することで、現地の会社の人脈や販売ルートなどのインフラを活用できる。
デメリット
合弁会社を設立するデメリットは以下の通りです。
- 経営資源が流出するリスクがある
共同出資会社と経営資源を共有するため、場合によっては技術やノウハウが外部に流出してしまう恐れがある。 - 経営方針を巡ったトラブルが発生するリスクがある
複数の会社で新設会社を運営するため、経営方針に対する考え方の違いなどで対立する恐れがある。また、複数の会社の同意が必要なため、素早い意思決定が困難になるという問題もある。 - 共同出資企業の評判に影響される
共同出資企業が不祥事を起こした場合に、自社の評判に影響する恐れがある。
合弁会社を設立する手順
1. 共同出資企業を選定する
共同出資企業をリサーチし、選定します。どの会社を選ぶかは合弁会社が成功するかを分ける重要な要素になるので、徹底したリサーチが必要です。企業が持つ経営資源などの調査の他に、過去に不祥事を起こしたことが無いかなども調べることが大切です。
リサーチには、IR情報や企業情報誌などの一般公開情報を調査する他、該当企業に関わりのある人にヒアリングするなどの方法があります。
2. 基本合意を締結する
共同出資企業が決まったら、基本合意を締結します。基本合意は、会社設立にあたっての基本方針などを決定することを指します。
3. 各種条件を確認する
共同で会社を設立するにあたって必要な事項を決定していきます。具体的には以下のような事項を確認します。
- 法人形態
既存の会社の株式を取得して合弁会社とするのか、新たに法人を設立するのかなどを決定する。 - 出資比率
新設会社の運営に従事できる度合などを踏まえ、最適な出資比率を定める。 - 撤退条件
新規事業が失敗した際の、撤退タイミングを見極める条件を定める。
これ以外にも、役員体制や利益の分配方法など、いくつかの条件を確認する必要があります。
4. 合弁契約を締結する
各種条件を確認した上で、共同出資する全ての企業の合意が取れたら、合弁契約(ジョイント・ベンチャー契約)を締結します。協議した各種条件は、合弁契約の内容に反映されます。
合弁会社を設立したいときにはシナジー効果の有無を考慮すべき
シナジー効果とは、複数の企業や部門を組み合わせることで得られる相乗効果のことを指します。合弁会社は複数企業で設立するという特徴があるため、シナジー効果の有無を考慮することは必須であるといえます。また、予想されるシナジー効果が、合弁会社を設立するリスクに見合ったものであるかを慎重に判断することも必要です。
シナジー効果に関しては、事業シナジーや財務シナジーなど、複数のシナジーについて多角的に考えることが大切です。シナジー効果に関する詳細は以下の記事を参照してください。
いかがでしたか?
合弁会社の設立には、リスク分散や提携先の経営資源を活用できるなどのメリットがある一方で、経営資源の流出などのデメリットもあります。この記事を参考に合弁会社に関する理解を深めましょう。
まずはこれだけ。新規開拓営業を始める時の心得
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