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ストレスコーピングとは|ストレス対処行動の種類やポイントを解説
ストレスコーピングという言葉を聞いたことはありますか?これは、ストレスに対処するために重要な手法です。
今回はストレスコーピングの概要やポイント、ストレスの仕組みを解説します。
目次
ストレスコーピングとは、ストレスに対して何らかの対処行動をとること
ストレスコーピングとは、ストレスに対して何らかの対処行動をとり、ストレス反応を和らげるための技法です。アメリカの心理学者であるリチャード・S・ラザルスによって提唱されました。
もともとはメンタルヘルスに関する用語でしたが、企業でストレス対策としてストレスコーピングが広まり、一般的に使用されるようになりました。
ストレスを構成する要素
ストレスは「ストレッサー」「認知」「ストレス反応」の3つの要素で構成されています。
- ストレッサー
ストレスの原因となる刺激のことを指します。
ストレッサーは4つの種類があり、下図のように分類されます。
物理的なストレッサー | 労働環境・通勤時間・体調・気温など |
科学的なストレッサー | 工場などの粉塵・臭いなど |
生物的なストレッサー | アレルゲン・ウイルスなど |
心理・社会的なストレッサー | 人間関係・評価・ノルマ・気候の変化・降格・職場環境の変化など |
- 認知
自分の価値観や今までの経験、またそれに基づく思考の癖などから、ストレスをどう捉えるか、ということが「認知」です。受けたストレスが自分の害になるか、どの程度の脅威なのか、ストレスが軽減できるのかということを評価し、その結果によってストレスの状況が変わります。
- ストレス反応
認知したストレスが軽減できず、その状況に晒され続けることで現れる反応のことをストレス反応といいます。ストレス反応は以下の3種類に分けられます。
心理的な反応 | 抑うつ・集中力低下・怒り・イライラなど |
身体的な反応 | 自律神経の乱れ・胃痛・免疫の低下・過呼吸など |
行動面の反応 | 過食・仕事でのミス・出社拒否など |
ストレッサーや認知に働きかけストレス反応が現れないようにするのが、ストレスコーピングの目的です。
ストレスコーピングの種類
ストレスコーピングは、働きかける対象によって「問題焦点型」「情動焦点型」「ストレス解消型」の3つに分けられます。
問題焦点型
問題焦点型とはストレッサー自体を変化させ、問題を解決しようとする考え方です。例えば、「職場の先輩に頻繁に怒鳴られる」ということがストレスになっているのであれば、ストレッサーである職場の先輩に直談判する、「職場が寒い」ことがストレスになっている場合は上着を羽織るなどが挙げられます。
この方法は、ストレス元に直接働きかけるため、根本的な解決が見込めます。ただし、ストレッサーに直接アプローチしなければならないため、自分や対象の立場や状況によっては難しい場合が多いという問題点もあります。
*社会支援探求型コーピング
問題焦点型の一種に「社会支援探求型コーピング」というものがあります。
これは、ストレッサーへ働きかける際に、上司や友人など周囲の人の協力を求めるという手法です。自分一人では対処が難しい場合は、この手法を用いることでよりよい解決法や対策が見つかる場合もあります。
情動焦点型
情動焦点型は、ストレッサーによって生じた自分の感情をコントロールしようとする手法です。怒りや辛さ、悲しみなどの感情を、親しい知人やカウンセラーなどに話すことで、感情を整理したりストレスを発散したりします。ストレッサー自体を変化させることが難しい、ストレスからすぐに離れることが難しい場合などには、情動焦点コーピングを行うのがよいでしょう。
*認知的再評価型コーピング
情動焦点型の一種に認知的再評価型コーピングという手法があります。これは、ストレッサーに対する自分の考え方や感じ方といった認知を変える手法です。例えば、「上司に頻繁に注意される」というストレスを抱えている場合でも、「自分は期待されているんだ」と考え方を変えることでストレスを緩和できます。
ただし、無理に考え方を変えようとするのは逆効果です。自分で心から納得できていないと、さらなるストレスにつながってしまいます。
ストレス解消型
既に感じてしまったストレスを発散する手法がストレス解消型です。一般的に言われる「ストレス発散」の方法がこれに当たります。他の手法よりも簡単にストレスを軽減できますが、根本的な解決には繋がりません。
*気晴らし型コーピング
買い物に行く、おいしいものを食べる、友達と遊ぶなど、自分の好きなことをして気分転換する方法です。
*リラクゼーション型コーピング
リラクゼーションとは「緊張を緩める」「くつろぐ」という意味です。頭痛や肩こりなど、身体的なストレス反応に特に効果があると言われています。具体的な方法には、ヨガや瞑想、アロマテラピー、腹式呼吸、自律訓練法などが挙げられます。
ストレスコーピングのポイント
現状を把握する
強いストレスがかかっている状態では、正確な状況把握が難しくなり、普段では何でもないようなことを一大事だと感じてしまう場合もあります。例えば、普段通りに注意されただけなのに、強く否定されたように感じてしまうことなどが挙げられます。
ストレスコーピングを行う上では、友人や知人、カウンセラーに相談し客観的な意見をもらうなどして、現在の状態を正しく把握することが重要です。
「自分が問題を解決する」という意識を持つ
ストレスコーピングを効果的なものとするためには、主体的に問題に向き合う意識を持つ必要があります。漠然と「何とかしたい」と思うだけでは、受けているストレスを具体的に把握できず、解決することができません。
また、自分がどんな手法を用いているのかを意識しなければ効果的なストレスコーピングは行えないため、「自分が問題を解決する」という意識を持つことが重要です。
様々な手段を持っておく
ストレスコーピングの手段をたくさん持っているほど、ストレスに対処しやすくなります。前述の方法のほかにも思いつくものを書き出したりして、実践しながら自分に合った方法を見つけるとよいでしょう。初めのうちはうまくできなくても構いません。量をこなしていくことで成功例を蓄積できるため、自分なりのパターンを得られます。
また、成功体験を積み重ねることで、ストレスコーピング自体にポジティブな印象を持つようになれます。
企業がストレスに対して行うべき対策
ストレスは仕事とは切り離せないため、企業は従業員のストレス対策を行う必要があります。企業が取り入れられるストレス対策には、以下のようなものがあります。
- ラインケアを行う
従業員に対して、定期的に労働環境のストレッサーを調査するアンケートを実施する。この結果をもとに、労働環境の改善や、1on1ミーティングによる従業員の不安解消を図る。 - 専門家によるカウンセリング体制導入
社外機関や産業医などによるカウンセリングが受けられる体制を用意する。プライバシーが守られるため、評価などにつながることを恐れずに利用出来るメリットがある。 - 講座・研修の開催
メンタルヘルスを意識してもらう場を設けることで、セルフケアを促すことができる。また、管理職側には労働環境の向上やハラスメント防止を目的とした研修を行うことで、従業員へのストレッサーを減らせる。
ストレスマネジメントについては、以下の記事でも詳しく解説しています。
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