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エンハンシング効果とは?やる気を高める褒め方や活用のポイントを解説
エンハンシング効果という言葉をご存知ですか。これは、報酬とモチベーションに関する心理現象の1つです。この記事では、エンハンシング効果を活用し、やる気を高めるためのポイントを解説します。
目次
エンハンシング効果とは、報酬などの外発的動機付けによって内発的動機が高まる現象のこと
エンハンシング効果とは、言語的な報酬などの外発的動機付けによって内発的動機が高まり、モチベーションが向上する現象のことです。エンハンシング(enhancing)には、英語で「高める」「強化する」といった意味があります。
外発的動機付けとは、他人から報酬や評価を得るため、または罰を回避するために行動しようとすることです。一方、内発的動機付けとは、好奇心や興味関心、やりがいなどをもとに自発的にやりたいと考えることを指します。
例えば、初めは「親に褒められる」という理由でピアノを習っていた子どもが、次第にピアノそのものに楽しみを見出して練習に打ち込むようになることがあるでしょう。この場合、「親に褒められる」という外発的動機をきっかけに、ピアノへの興味ややりがいといった内発的動機が高まったといえます。
エンハンシング効果は、人材育成や教育現場、スポーツなど様々な場面で成績向上のために活用されています。企業の成長を継続させるには、エンハンシング効果を活用して従業員に内発的動機付けをさせることが重要になります。
エンハンシング効果を実証した実験
エンハンシング効果は、アメリカの発達心理学者エリザベス・B・ハーロック氏が1925年に賞罰実験を通して実証しました。この賞罰実験では、子どもを以下の3つのグループに分けて、それぞれに算数のテストを5日間にわたって複数回受けさせます。そして、答案を返却する際に、グループごとに教師の態度を変えました。
グループ1: 結果にかかわらず、できていた点を褒め続ける
グループ2: 結果にかかわらず、できていなかった点を叱り続ける
グループ3: 結果にかかわらず、何も言わない
実験の結果、褒め続けたグループ1では日ごとに成績が向上しました。一方、叱り続けたグループ2では、初めは成績が向上したものの、その後は徐々に成績が低下してしまいました。そして、何も言わなかったグループ3では、最初は少し成績の向上が見られましたが、その後は大きな変化はありませんでした。
この結果から、人は褒められた方が成績が向上するということが明らかになりました。
エンハンシング効果を活用するためのポイント
気持ちを込めて褒める
褒めることは重要ですが、表面的な言葉だけだと見透かされてしまい、エンハンシング効果は期待できません。抑揚や表情、仕草にも注意して、相手に賞賛する気持ちが伝わるようにしましょう。
第三者がいる前で褒める
エンハンシング効果を活用するには、第三者がいる前で褒める方がより効果的です。他の人の前で褒められることで自尊心が満たされ、モチベーションの向上につながります。
また、褒めていることを他の人から間接的に伝えてもらうと、さらに高い効果が期待できます。
能力や結果だけでなく、そこに至る過程を褒める
エンハンシング効果を活用するためには、能力や結果だけでなく、そこに至るまでの過程や努力を褒めることが重要です。能力や結果だけを褒めると、失敗を恐れるようになる可能性があります。結果に至る過程を褒めることで、褒められた相手は「自分自身が認められた」と感じます。
また、うまくいかず良い結果が得られなかった場合でも、それまでの過程や努力は褒めることができます。
アンダーマイニング効果で意欲を低下させてしまわないように注意する
アンダーマイニング効果は、エンハンシング効果とは対照的に、内発的動機から行なっていた行為に対して報酬が与えられることでモチベーションが低下してしまう現象です。好奇心や興味などからしていた行動でも、他者から金銭などの報酬が与えられることでその報酬が目的になってしまいます。その結果、報酬なしではモチベーションが上がらなくなってしまうのです。
すでに内発的動機付けがされている行為に報酬を与える際には、アンダーマイニング効果が生じないように注意しなければなりません。
アンダーマイニング効果については、以下の記事も参考にしてみてください。
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