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ティール組織とは|組織が進化する過程や重要な3つの要素を解説

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ティール組織という言葉をご存知ですか?ティール組織は次世代の組織形態として、現在注目されていきています。
今回は、ティール組織の概要やティール組織までの進化過程、重要な3つの要素を解説します。

ティール組織とは、全社員が意思決定権を持ち、目標達成のために行動する組織のこと

ティール組織とは、組織内にヒエラルキーが存在せず、全社員が意思決定を持つ組織のことです。各個人が裁量権を持ち、目標達成に向けて自分で考えて行動するため、管理職や上司という階層的な役職が存在せずとも組織として成長していきます。ただし、全てを社員に放任しているわけではなく、組織独自のルールや仕組みは存在し、各個人はそれを理解した上で主体的に行動します。

ティール組織は、2014年にフレデリック・ラルー氏が著書『Reinventing Organizations』で提唱した概念です。ラルー氏は、従来の組織形態には改善の余地があるとして、新しいモデルの組織を提案しました。
ティール組織では、組織内の階層的な役職や定期的なミーティング、売上目標などの慣習や文化を撤廃できます。

ティール組織とホラクラシーの関係性

ティール組織と似た言葉に「ホラクラシー」という組織形態があります。ホラクラシーとは、2007年にブライアン・J・ロバートソン氏が提唱した概念で、組織内に階層的な役職が存在しないフラットな組織のことです。ホラクラシーでは、意思決定権が各チームや個人に分散され、チームそれぞれが自律して行動します。

ティール組織とホラクラシーは階層がないという点で類似していますが、組織を作る際の自由度の高さが異なります。ティール組織ではチームごとの役割や給与制度などのルールを自由に決めることができますが、ホラクラシーでは各チームに必要な役割や給与制度の型がある程度決まっています。つまり、ティール組織という抽象的な概念に明確なモデルがいくつか加えられたのがホラクラシーで、ティール組織の中の一形態にホラクラシーがあると言えます

ホラクラシーについての詳細は、以下の記事をご覧ください。

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ティール組織までの5段階の進化過程

ラルー氏は、ティール組織に至るまでには組織として5段階の進化過程が必要であると捉えました。つまり、ティール組織は突発的に生まれるわけではなく、組織が成長を遂げて初めて成立する組織形態であると言えます。そのため、ティール組織は進化前の4つの組織で生み出されたものを含んでいます。ラルー氏は、5段階の進化過程にある組織を色によって区別しました。

第一段階:レッド(衝動型)組織

レッド組織とは、リーダー個人の圧倒的な力で、チームを支配してマネジメントする組織形態です。レッド組織は「オオカミの群れ」と比喩され、目の前の結果を出すことに固執します。リーダー個人の力に依存するため、リーダーの存在がなければチームとして行動できなくなります。

第二段階:アンバー(順応型)組織

アンバーとは「琥珀色」のことで、アンバー組織とは上から下に命令を出して、下はその指示に従い役割を果たすという組織形態です。アンバー組織は「軍隊」と比喩され、指揮命令系統が明確であることが特徴と言えます。アンバー組織では階層的に役割が分担されて特定の個人に対する負担は小さくなります。しかし、周りの環境が変わってしまうとパフォーマンスを発揮できない脆さがあります。

第三段階:オレンジ(達成型)組織

オレンジ組織とは、ヒエラルキーが存在しながらも、成果を出せば昇進できるという組織形態です。オレンジ組織では、数値によるマネジメントが徹底されており、組織内での競争が激しいために必死で働かなければならないことから「機械」と比喩されます。オレンジ組織は、レッド組織・アンバー組織と比べてヒエラルキーの強制力が弱く、能力や才能のある人が活躍できる点が特徴です。

第四段階:グリーン(多元型)組織

グリーン組織とは、多様性が認められて主体性を発揮しやすい組織形態です。グリーン組織は「家族」と比喩され、社員個人の性格や考え方が尊重されます。単に目標を達成するだけではなく、自分で考えて行動するという主体性が重要です。ただし、ヒエラルキーが存在するままであるため、組織内での意思決定に時間を要してしまう弱さがあります。

第五段階:ティール(進化型)組織

ティールとは「鴨の羽色」という青緑に近い色で、ティール組織は「生命体」と比喩されます。ティール組織では、組織が構成員全ての人のものと尊重され、ヒエラルキーが撤廃されます。そのため、各個人が組織の目標達成に向かって自分で意思決定を行い、主体的に行動します。上司からの指示命令がなくとも、お互いに信頼して独自のルールに従いながら行動することで、組織の進化へとつながっていきます。

ティール組織で重要な3要素

ラルー氏は、従来の組織からティール組織へ進化するために重要な要素として、「セルフマネジメント」「ホールネス」「組織の存在目的」の3つを挙げています。

セルフマネジメント

ティール組織では全社員に意思決定権が与えられるため、他者からの指示を仰ぐことなく自分で判断して行動しなければなりません。また、自身のモチベーション管理も行い、高いパフォーマンスを保つ必要があります。そこでティール組織では、組織の目標達成や成長のために、自らの目標や行動指針を設定し、業務を遂行するという各個人のセルフマネジメントが求められます。

また、従来の組織では部門化されていた経理・人事などの業務も各個人に与えられるため、組織の状況を俯瞰的に考えられるような経営者視点を持った人が集まっていることが重要です。

ホールネス

ホールネスとは、組織内で全社員がありのままの自分を出せるという状態にあることです。従来の組織形態では、個々に与えられた役割を果たすために本心を隠すことが重要と考えられていました。しかし、社員が高いパフォーマンスを出すには、全員が互いの個性を尊重し、心理的安全性を確保することが重要です。

組織の存在目的

従来の組織では、組織のビジョンやミッションなどは不変なものと考えられていました。一方で、ティール組織では組織のビジョンや業務内容などを、構成員が自ら更新していくことで組織の存在目的を進化させます。そのためティール組織は、全社員が組織の変化を感じ取って行動を変化させるという柔軟性が求められます。

ティール組織に進化した企業の例

フランスの「FAVI」

FAVIは、自動車の変速機部品の製造を行う企業で、世界の50%の市場シェアを誇っています。FAVIでは特定の役割を持つ部門が存在せず、各チームごとにそれぞれの目標を掲げて行動します。チームにはマネジメントや上司の概念がなく、全社員に権限が与えられており、チームごとに決めた独自のルールに従って責任を果たします。

社員1人ひとりが何をすべきか考え、チームの仲間を信じ合うことで偉大な業績を出しているのです。

アメリカの「AES」

AESは、アメリカの電力会社で世界約30カ国の発電所・送電網を運営しています。AESでは15名程度のチームがそれぞれ独立して経営を手掛けています。チームごとに作業量や評価、予算や設備投資などのルールを決めており、各個人が組織の存在目的を考えて主体的に行動しています。

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