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トヨタ生産方式とは|2つの柱と4つの仕組み、メリット・デメリットを解説

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「トヨタ生産方式」という言葉をご存知ですか?聞いたことはあるけれど、詳しい内容は分からないという方もいらっしゃるのではないでしょうか。

今回は、トヨタ生産方式の2つの柱や4つの仕組み、メリット・デメリットを解説します。

トヨタ生産方式とは、ムダを排除して合理化することで利益を最大化する生産方式

「トヨタ生産方式」は生産ラインのムダを徹底的に排除し、生産体制を合理化することで利益を最大化する生産方式です。英語では、「Toyota Production System」と言われ、略して「TPY」などと呼ばれることもあります。

トヨタ生産方式は、アメリカのフォード社が始めた自動車産業における流れ作業の効率化を基に、トヨタ自動車の創業者である豊田喜一郎氏が考案し、トヨタ自動車工業(現在のトヨタ自動車)の元副社長である大野耐一氏が体系化しました。

トヨタ生産方式の2つの柱

トヨタ生産方式は、「自働化」「ジャスト・イン・タイム」という2つの柱を基本思想として考えます。

自働化

「自働化」とは大野耐一氏が考案した造語で、生産ラインに異常が発生した場合、ただちに機械をストップすることで、不良品を作らないという仕組みです。

具体的には、機械が生産ラインの異常を感知すると担当者に内容が通知され、担当者は生産ラインを止めて原因究明にあたります。こうすることで、製品ができてから不良品を発見するのではなく、生産の大きな無駄になってしまう不良品を作らない仕組みを構築します。

自働化は、人間の作業を機械に置き換えることを指す”自動”と区別するために、「ニンベンの付いた『自働化』」と呼ばれます。

ジャスト・イン・タイム

「ジャスト・イン・タイム」は、必要なものを、必要な時に、必要な量を作ることで、生産性を向上させるという考え方です。各作業間やライン間、工程間のムラ・ムリ・ムダを排除することで、効率的な生産体制を確立しています。豊田喜一郎氏が考案した考え方で、英語の頭文字を取って「JIT」と言われることもあります。

ジャスト・イン・タイムの詳細は、以下の記事をご参照ください。

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トヨタ生産方式の4つの仕組み

カイゼン(Kaizen)

トヨタ生産方式の4つの仕組みの1つ目「カイゼン」とは、トヨタ生産方式が目指している「よりよいものを、より早く、より安く」を実現するために、現状の生産体制に満足せず、さらなる生産効率や安全性を求め改善する仕組みです。

通常の「改善」は、物事の悪い面を改めてよくすること、よい方向へ改めることという意味を持ちます。一方で「カイゼン」は、現場の生産効率をさらによくするという意味があり、通常の「改善」と区別されます。海外では、「Kaizen」と表記されます。

問題の見える化

トヨタ生産方式の4つの仕組みの2つ目「問題の見える化」とは、問題が発生した際、その問題を全員で共有して知恵を出し合い、解決させる仕組みのことです。トヨタ生産方式の「自働化」では、生産ラインの異常を感知すると生産ラインを止めて原因を究明します。このようなルールを元に、問題を隠すのではなく全員に見えるようにすることで、問題の早期解決や再発防止を目指します。

なぜを5回繰り返す

トヨタ生産方式の4つの仕組みの3つ目「なぜを5回繰り返す」とは、問題が発生した際、「なぜ」という質問を5回繰り返して「なぜこのような問題が発生したのか」深く追求する方法です。責任を追求するよりも、根本の原因特定を重視することで、再発防止につなげられます。

7つのムダどり

トヨタ生産方式の4つの仕組みの4つ目「7つのムダどり」とは、日々の業務の生産性を向上させ、必要なものを必要なときに必要なだけ造れるようにするため、7つのムダを排除することです。

7つのムダは以下の通りです。

  • つくりすぎのムダ
    必要のないものを過剰に生産するムダのこと。注文されたもの以外は造らずムダを排除する。
  • 手待ちのムダ
    することがなく、手が空いている従業員が発生していることによるムダのこと。
  • 運搬のムダ
    必要以上にモノを動かすムダのこと。工程間の距離や設備のレイアウトを改善することでムダを排除する。
  • 加工のムダ
    本来必要のない加工を施してしまうムダのこと。
  • 在庫のムダ
    必要以上の完成品や部品、材料などすぐに使用しない在庫のムダのこと。
  • 動作のムダ
    付加価値を生まない、探す・調べる・持ち変えるなどの動作のムダのこと。
  • 不良を作るムダ
    本来必要のなかった不良品の手直しや破棄などによるムダのこと。

トヨタ生産方式のメリット・デメリット

メリット:在庫量を最小限に抑えられる

トヨタ生産方式のメリットの1つに、在庫量を最小限に抑えられることが挙げられます。材料が使用された段階で発注を行うため、ムダな在庫が発生せず定期的な在庫管理の手間が省けます。

メリット:人件費が削減できる

トヨタ生産方式の2つ目のメリットに、人件費が削減できることがあります。在庫量を最小限に抑えることで、在庫管理に関わる人件費を大幅に削減できます。在庫管理が必要な材料や部品の量が多くなる規模の大きい企業ほど、大規模な人件費削減につながると言えます。

デメリット:平準化生産できないと導入が難しい

トヨタ生産方式のメリットを最大限に活かすには、平準化生産が前提になります。平準化生産とは、製品の量や種類、生産時間や工程を均等に振り分けて生産する方法です。

平準化生産のためには、生産ラインを一旦停止したり、必要に応じて切り替えたりしなければならないため、多種多様な製品を製造する場合や製品の需要の波が大きい業界ほど、平準化できないと導入が難しいというデメリットがあります。トヨタ生産方式を成功に導くためには、受注前に取引先と平準化を前提にした計画を立てることが必要です。

デメリット:在庫の欠品により生産ラインが停止するおそれがある

トヨタ生産方式では、在庫の欠品により全ての生産ラインが停止するおそれがあります。しかし、トラブルを想定して在庫を多く持ち過ぎると、トヨタ生産方式のメリットを最大限活かせません。そのため、スピード感を持ったカイゼンを推進し、在庫欠品のリスクを最小限に抑えることが重要です。

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