デジタル化には様々なメリットがあり、多くの企業で導入しようとする動きが見られます。一方で、デジタル化にはリスクも存在するため、導入を進める際は十分に注意を払うことも重要です。
今回は、デジタル化の基本やメリット、実施する際の注意点を解説します。
目次
デジタル化とは、アナログな業務をデジタルに移行する取り組みのこと
デジタル化(デジタイゼーション)とは、紙媒体を用いた業務といったアナログな業務をデジタルに移行する活動のことです。紙と印鑑を用いた契約プロセスを、デジタル書面での承認へと変更するといった取り組みが挙げられます。
また、チャットツールを導入することで、直接話すか日報を書くかでのみコミュニケーションをとっていた状況から、いつでも気軽にメッセージを送信できる状況へと変える例も挙げられます。
DX(デジタルトランスフォーメーション)との違い
デジタル化と似た言葉にDX(デジタルトランスフォーメーション)がありますが、DXはデジタル化によって新たな価値を創出することを指します。つまり、デジタル化は広くデジタル技術を導入することを意味し、DXはデジタル化の中でも価値を創出するために意味のあるデジタル化を定義しています。
目的意識のないデジタル化では、紙媒体と電子媒体が混在しかえって業務が煩雑になるといったことが起こり得ます。一方で、目的意識を明確に持つデジタル化、つまりDXでは、例えば業務効率化や新規サービスの提案など、利益につながる取り組みを実施できます。
DXに関する詳細は、以下の記事をご覧ください。
デジタル化と関連深い「2025年の崖」
2025年の崖とは、「デジタル化に踏み切らない企業は2025年までに重大な損失を被る」として経済産業省が2018年に記した言葉です。社会全体がデジタル化する流れの中でデジタル化を進めない企業は、消費者のニーズに対応したり競合との差別化を図ったりすることが難しくなり、取り残される可能性が高まります。
また、少子高齢化に伴う労働人口の不足や、海外の技術発展スピードを考慮しても、業務効率化や幅広い情報源の観点からデジタル化を進めることは非常に意味のある取り組みです。
2025年の崖に関する詳細は、以下の記事をご覧ください。
デジタル化を行うメリット
生産性を向上できる
デジタル化を進めることで単純作業を自動化したり、無駄な業務を省いたりして、本来力を割くべき業務に注力できるというメリットが得られます。同時に、チャットツールの導入による社内コミュニケーションの活性化や、リモートワークなど個人の事情に合わせた働き方を推進することで、社員のモチベーションを高め生産性を向上できます。
また、諸々の手続きや決裁をデジタル化すれば承認にかかるスピード感が高まり、機会損失などのリスクを低減できるでしょう。
知識の属人化を防げる
デジタル化を推進して企業の活動履歴や個人のノウハウを蓄積すれば、他の社員がそれを参照しやすくなり、教育効率の向上やノウハウの引き継ぎが容易になります。紙での管理では、疎かにするとどこにどの情報があるのかが分からなくなり、情報を取り出すのに時間がかかることが多々あります。
デジタル化により構造的に情報を整理することで誰でも取り出せるようにしておくと、知識の属人化を防げるでしょう。
プロジェクト管理が容易になる
デジタル化により情報管理ツールやチャットツールを導入することで、プロジェクトを円滑に進めることができます。コミュニケーションが活性化されるとともに、プロジェクトメンバーのタスクの進捗状況を一目で分かるよう管理できるため、容易にスケジュール調整やリソース配分の変更が可能となります。
デジタル化で注意すべきこと
厳重なセキュリティ対策を行う
デジタル化では蓄積されたノウハウや顧客情報、コンフィデンシャルなど企業にとって重大な情報をデバイスおよびネット上に保存します。誰かが情報を持ち出して紛失したり、外部から攻撃されて情報が漏洩したりすれば、信用問題にもつながりかねません。
厳重なセキュリティ対策を行うとともに、情報の扱いには十分注意するよう、全社員に周知しましょう。
デジタルとアナログを共存させない
デジタルとアナログが共存すると、かえって業務が煩雑になり仕事の効率が下がってしまうことがあります。例えば、ある電子書面を印刷して手書きで文章を加えた後にスキャンする工程では、PC上で文字を打つだけの工程に比べ工数が多くなります。
デジタル化を進める場合は、可能な限りデジタル上で業務が完結するよう工夫しましょう。一方で、食品や飲料品といった製品の品質チェックでは人の経験と勘に頼る必要もあるため、デジタルと人の役割を明確にすることも重要です。
システム障害時の対応を練っておく
業務をデジタル化した場合、システム障害が発生すると業務が滞ってしまうリスクがあります。システム障害時のような緊急事態でも可能な限り通常通り業務を行えるよう、十分な対策を練っておくことが重要です。
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