ユニットエコノミクスという、LTV（顧客生涯価値）とCAC（顧客獲得コスト）から計算される指標をご存知でしょうか。ユニットエコノミクスは、SaaSといったサブスクリプションモデルの有効性を評価するために重要な指標です。
今回は、ユニットエコノミクスについて、要素であるLTVとCACと一緒に解説します。
目次
ユニットエコノミクスとは「LTV÷CAC」で計算される、事業投資の健全性を評価する指標
ユニットエコノミクスとは、事業投資を効率よく行えているかを評価するための指標で、「LTV÷CAC」で計算されることから、LTV/CAC比とも呼ばれます。近年、SaaSといったサブスクリプションモデルの事業が注目を集めています。このような事業では継続的な利用や、さらに高価なサービスへの誘導を前提としており、長期的な視点で事業の有効性を評価することが重要です。
ユニットエコノミクスの要素の1つであるLTVが「お金」と、ある程度「長い期間」から計算されるため、算出されるユニットエコノミクスも長期を見据えた利益を示します。そのため、サブスクリプションモデルの事業を行う際は、ユニットエコノミクスによる評価が求められます。
ユニットエコノミクスの要素である「LTV」と「CAC」
LTV（顧客生涯価値）とは、1人の顧客が生涯で自社にもたらす利益のこと
LTVとは「Life Time Value」の略で、1人の顧客が生涯で自社にもたらす利益を表す指標です。顧客生涯価値とも呼ばれ、計算方法はいくつかありますが、以下の式から算出されるLTVが最も代表的なモデルです。
LTVを計算するときは、売上ではなく利益（売上からコストを引いたもの）を用いましょう。LTVが大きいほど、顧客1人から得られる利益が大きく、事業の収益性が高いと評価されます。
LTVに関する詳細は、以下の記事をご覧ください。
CAC（顧客獲得コスト）とは、1人の顧客を獲得するためのコストのこと
CACとは「Customer Acquisition Cost」の略で、1人の顧客を獲得するために要した全てのコストです。顧客獲得コストとも呼ばれ、以下の計算式から算出されます。
CACはコストなので、小さいほど効率よく顧客を集められている状態であり、LTVとは真逆の性質を持つことに注意してください。
CACに関する詳細は、以下の記事をご覧ください。
ユニットエコノミクスは「LTV÷CAC>3」を目指すべきとされている
ユニットエコノミクスで事業投資の健全性を評価する際、その値が3より大きいことが重要であると言われています。これは、サブスクリプションモデルの目安として重要視される、CACの回収期間が12ヶ月以内と、チャーンレート（退会率）が3%以内を同時に満たせる範囲に当たります。
ユニットエコノミクスは、LTVとCACをさらに分解して整理すると、以下の式でも表すことができます。
この計算式からも3より大きければ、CAC回収期間とチャーンレートの事業収益性が高い目安を同時に満たせていることが分かります。
チャーンレートに関する詳細は、以下の記事をご覧ください。
ユニットエコノミクスを高める方法
ユニットエコノミクスを高めるには、LTVを向上させるか、CACを低下させる必要があります。そこで、LTVを高めるため、あるいはCACを低くするための方法について、いくつか例を紹介します。
顧客満足度を高める
LTVの向上と同時にCACの低下を図る最も効率的な方法が、顧客満足度を高めることです。顧客満足度を高めれば、退会率が低下してサービスの利用期間が増えたり、さらに高価なサービスへの登録へとつながったりすることで、LTVが向上します。そして、現在のユーザーから、口コミなどでサービスの評価が伝われば、大きな広告を打ち出さずとも顧客獲得につながり、CACを低下させることができます。
SEO対策を行う
SEO対策を実施することで、CACを低下させてユニットエコノミクスを高められます。SEO対策は広告よりも費用がかかりにくく、企業の知名度を高められるために有効な施策で、上手に活用することでCACを下げられます。
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